田中美帆|台湾ルポライター🖋《大港的女兒》翻訳中

在住11年 / 勝手口から見た台湾を発信 / note「台湾ひとり研究室」 / Yah…

田中美帆|台湾ルポライター🖋《大港的女兒》翻訳中

在住11年 / 勝手口から見た台湾を発信 / note「台湾ひとり研究室」 / Yahoo!ニュースエキスパートオーサー / 編集者→40歳で留学→国際結婚→台湾師範大学台湾史研究所修士 / 食べること、本読むこと、そして書くこと。/ フォローやマガジン登録で応援願います!

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台湾ひとり研究室:翻訳編「#01台湾の時代小説《大港的女兒》を翻訳することになりました。」

こんにちは。台湾ルポライターの田中美帆です…と表看板に「ルポライター」を掲げる身ですが、その実、フリーランスでいろいろな種類のお仕事をいただきます。そしてこのたび、台湾の時代小説《大港的女兒》の日本語訳を担当することになりました。文芸作品の出版翻訳を1冊丸ごと行うのは初めてです。お話をいただいた時には(えっ!?私?)と思いましたが、できるかどうかよりも、ぜひ!という答えが先に立っていました。 本書は、台湾の作家である陳柔縉(チェン・ロウジン)さんという方が、初めて手掛けられ

    • 台湾ひとり研究室:翻訳編「#39翻訳者の原稿料事情と有料マガジンに込めた思い。」

      この話をするかどうか、ずいぶんと迷いました。ですが、翻訳作業の実態を明かし、これから台湾書籍の翻訳をしてみようと思った人がいたとして、作業のことだけを伝えるのはどこかでフェアではない、と思っていました。 そう、翻訳者の金銭事情です。 金銭に対する感覚の変遷 日本文化に育ったひとりとして、お金の話をするのは「はしたない」ことと考えていました。強烈だったのは、若かりし編集時代、明確にせずに取材執筆を依頼したライターさんに「お金のことは最初に話してほしい」と詰め寄られたこと。

      • 台湾ひとり研究室:翻訳編「#38翻訳原稿の推敲作業で気づいた中→日の訳出ポイント3つ。」

        相変わらず推敲作業が続いています。勝手に始めたこの連載、週1で2,000字というのは、ギネス世界記録に認定され、今も連載回数が更新され続けている林真理子さんのエッセイ「夜ふけのなわとび」とほぼ同じ字数。こちとらわずか38回。これだけでヒイハア言っている身としては、平伏すしかないのであります。その世界記録の連載に去年、ひょんなことから名前を載せていただきました。ここでリンクを貼らせていただきます(参考リンク)。 ……ええと、推敲作業の話です。 第一稿ができてからというもの、

        • 台湾ひとり研究室:映像編「イチ推し映画祭TIDFがチケット販売開始。」

          5/10-19開催の台湾国際ドキュメンタリー映画祭(TIDF)で会員向けのチケット販売が4/17からスタートしました。 オープニングは4/3に逝去した写真家・張照堂監督の「紀念.陳達」。台湾月琴の名手として知られた陳達(1906-1981)の姿を収めた作品。今回、個人的に大注目の1本です。 陳達の曲を初めて聴いたのは、去年。夜の中正紀念堂で行われたダンスパフォーマンスのBGMとして流れる曲に、心底、シビれました。「思想起」と題する台湾民謡で、月琴の弾き語りで陳達が歌ったも

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        • 台湾ひとり研究室:取材メモ
          20本
        • 台湾ひとり研究室:貓咪編
          3本
        • 台湾ひとり研究室:映像編
          19本
        • 台湾ひとり研究室:本屋編
          23本
        • 台湾ひとり研究室:台所編
          6本

        記事

          台湾ひとり研究室:取材メモ編「台湾、ペットIDをスタート。」

          4月10日、ペットの日(4/11)にあわせる形で、台湾農業部(農産省に相当)が記者会見を行い、今後、犬と猫のID登録制を設けると同時に、専用サイトの設置を発表しました。 2017年にペットの殺処分ゼロに踏み切った台湾では、近年も特に猫を飼う人が増加。2021年には台湾に密輸された250匹の猫が殺処分される事件が起きました。フランスでは動物の生体販売禁止になりましたが、台湾では今も販売が続けられる一方で、保護犬、保護猫の引き取り先確保、ペットの避妊・去勢手術、予防接種や健康診

          台湾ひとり研究室:取材メモ編「台湾、ペットIDをスタート。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#37推敲作業、続いています。の巻」

          (うわ、めちゃめちゃ勘違いしてた!) …こんな瞬間が幾度となく訪れる翻訳原稿の確認・推敲作業が続いています。 推敲作業の大切さ 作業的には、推敲した原稿を詹さんにネイティブチェックしてもらう流れです。第一稿、自分なりに気合い入れたつもりでしたが、出るわ出るわ……全身の力が抜けるようなミスがあって、冷や汗ものです。推敲、本当に大事ですね。 間違い、というわけではなくても、読み直してみると流れが滞っていたり、読み取りにくかったりする個所は点在していて、それらを整えていく作

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#37推敲作業、続いています。の巻」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#36作品の舞台を取材した中で最も収穫の多かった場所を紹介します。」

          台湾東部地震に際して 連載の話に入る前に、4月3日に発生した台湾花蓮地震に際し、お亡くなりになった方にお悔やみを申し上げ、被災なさった方にはお見舞いを申し上げます。また、日本から多くの関心と義援金が寄せられていることを、在住者のひとりとして深く御礼申し上げます。 発生直後から、自分にできることは現地からの情報発信ととらえ、Yahoo!ニュースに掲載される台湾関連のニュースに対し、でき得る限り補足情報をコメントしていますが、時間が経つにつれて被害の大きさに心がすくむ思いでし

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#36作品の舞台を取材した中で最も収穫の多かった場所を紹介します。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#35《大港的女兒》の舞台、高雄へ取材旅行に行ってきました。」

          台湾南部の港湾都市、高雄。台湾第二の都市ともいわれる街です。台湾に嫁いでからというもの、何度もここには足を運んでいましたが、今回は「取材旅行」という体で、ちょっと趣が違います。どんな旅だったのか、概要からご説明していきますね。 訳者に現地視察は必要か?

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#35《大港的女兒》の舞台、高雄へ取材旅行に行ってきました。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#34こ、これは最強⁉︎ 新たに見つけたデータライブラリーのお知らせ。」

          前回の舌の根も乾かぬうちに、最強か!?という調べ物サイトを発見しました。使い始めたばかりですが、早速、ご紹介しておきたいと思います。 戦前と戦後を跨いで調べたい 改めて触れておきますが、《大港的女兒》は戦前から戦後の台湾史、日本史にかかわる時間軸が流れる作品です。前回ご紹介した日本統治時代の史料だけでは、全く十分ではありません。とりわけ戦後台湾の状況がどうであったか、やっぱり確認する必要があります。 戦前台湾に生まれた方のライフヒストリーについて修士論文を書いた時、戦後

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#34こ、これは最強⁉︎ 新たに見つけたデータライブラリーのお知らせ。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#33台湾の日本統治時代の調べ物によく使うツールは?」

          本欄では、各種辞典、表記ガイド、翻訳作業ソフトと、翻訳作業中に使っているツールをあれこれご紹介しました。どれも必要かつ大事な仕事道具です。この他にも「台湾」は専門領域ということで、台湾の史実や歴史的事物を調べる際、さまざまなリソースを活用しています。 初めてリソースの所在を知った瞬間 少し余談になりますが、台湾でライターの仕事をするようになった頃、海外で情報リソースに触れる難しさを痛感していました。何をどうやって調べればいいのかわからない。大きな壁を前に、途方に暮れました

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#33台湾の日本統治時代の調べ物によく使うツールは?」

          台湾ひとり研究室:映像編「映画《青春18×2 通往有你的旅程》に見る台日交流の深化」

          台湾ではホワイトデー封切りの前日、台日合作映画《青春18×2通往有你的旅程》の劇場試写会に参加してきました。邦題は『青春18×2 君へと続く道』として5月3日に劇場公開が予定されている1本です(日本公式サイト)。 台湾では本日(3/14)公開ということで訪台していた藤井道人監督、主演の清原果耶も加わり、ダブル主演で今や韓国でも大人気のシュー・グァンハン(許光漢)、そしてエグゼクティブプロデューサーのチャン・チェン(張震)も揃っての舞台挨拶がありました。ひと言で言って「贅沢」

          台湾ひとり研究室:映像編「映画《青春18×2 通往有你的旅程》に見る台日交流の深化」

          台湾ひとり研究室:取材メモ編「求めるのは尊厳。——国際女性デー「学校における月経をめぐるヘルスプロモーション」

          2024年3月9日、国際女性デーにちなんだシンポジウムが大阪大学佐治敬三メモリアルホールで行われた。タイトルは「学校における月経をめぐるヘルスプロモーション」である。幸いなことに、オンライン配信も行うのでいかがですか、とお声がけいただき、参加した。 取材によるご縁から訪問団来台へ。 今回のシンポジウムを主催した大阪大学の杉田映理さんとは、台湾にできた月経博物館に関連して日本の状況について伺う取材を通じて知り合った。著作である『月経の人類学』では、開発支援として始まった研究

          台湾ひとり研究室:取材メモ編「求めるのは尊厳。——国際女性デー「学校における月経をめぐるヘルスプロモーション」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#32 本日、情報解禁!シリーズの1冊になります。」

          「アジア文芸ライブラリーというシリーズを立ち上げる予定です」 春秋社の担当編集さんからご依頼のメールを頂戴した際、この文言に心をつかまれました。過去にいろいろな依頼文をいただいてきましたし、《大港的女兒》の翻訳という仕事内容自体ももちろん興味があったわけですが、シリーズの中の1冊になるという点は、もしかしたらこのひと言が私的ランキング1位の「引き受けポイント」かもしれません。シンプルに(わ、おもしろそう)と心が躍ったんですよね。依頼メールでそんなふうに思えたのは、久しぶりの

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#32 本日、情報解禁!シリーズの1冊になります。」

          台湾ひとり研究室:映像編「中国ドラマ《繁花》が単なるノスタルジーではないわけ。」

          「最近観ておもしろかったのは《繁花》かな」 ある会食の席上で大哥の友人が挙げたのは、2023年末から放送が始まり、大陸で大人気になったドラマのタイトルだった——といっても、それより前に知っていたわけではなく、あとで検索して理解したことなのだけれども。 台湾でも年明けごろからドラマ《繁花》の人気は伝えられていたようだ。タイトルから何本もの関連報道が出てくる。 早くもロケ地巡りがスタート ある台湾の報道によれば、ドラマの舞台となった上海外灘や黄河路、南京路ではファンがすで

          台湾ひとり研究室:映像編「中国ドラマ《繁花》が単なるノスタルジーではないわけ。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#31原稿を推敲する時に欠かせないツール。」

          突然ですが、質問です。次の文のどちらを読みやすく感じますか。 夏目漱石『吾輩は猫である』の冒頭でした。さあ、次はどうでしょう。 こちらは石牟礼道子『食べごしらえ おままごと』の同じく冒頭です。 漢字表記の目安

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#31原稿を推敲する時に欠かせないツール。」

          台湾ひとり研究室:取材メモ編「台北国際ブックフェア、大盛況で閉幕。」

          2024/2/20-25に開催された「台北国際ブックフェア」、最終日にようやく会場へ行ってきました。 週末で、とにかく人、人、また人! ここは東京かと思うくらいの人出と熱気を感じました。公式発表によれば参加者数はのべ55万人! 1日あたり約9.2万人が参加した計算。多いと思った! ひと言でいうなれば「本にはまだまだ希望がある」と感じられました。さまざまな試みがなされていたので、ざっとピックアップしてみます。 ✔️実質、入場料無料  交通系ICカードで入場可。とにかく入

          台湾ひとり研究室:取材メモ編「台北国際ブックフェア、大盛況で閉幕。」