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落書き② 調べもの

──退屈だ。
 そう感じるのは、海と坂と猫くらいしかない“ソラとウミのアイダ”に挟まれただけのこの町のせいだろうか。

 いや……自分のせいだ。

 同級生達は、部活なり趣味なり勉強なりに勤しんでいるのに、私と来たら防波堤のベンチに腰掛けて、からさわのアイスを食べながら退屈を感じるばかり。

──なんかいい事ないかなぁ

「幸せは歩いては来ないよ」

 いつの間にやら隣に座っていたメガネの女性は、私の心の声に勝手に答えた。

「またあんたか……」

 ため息混じりの声が出る。
 いつの間にか現れて、偉そうなことを言って消える、そんな彼女がどうも苦手だ。私はさっさとここから離れようと残ったアイスを一口で平らげる。

「人の生ってやつは思ったより短い。のちのち退屈を感じてた時間が勿体なく感じるほどにはね。後悔する前に町を散歩してみるといい、意外と面白いものはあちらこちらに転がってるよ。」

 自分の倍も生きてないだろう彼女に、年寄りの説教みたいな事を言われた私はムッとして思わず異を唱える。

「退屈するくらい何も持ってない人間は、勿体ないも後悔もクソもないのよ。」

「まぁそうカッカせずに、幸せに歩み寄ってみなよ。焦らなくとも、あの“ノラ猫”と一緒にいれば嫌でも愉快な事がおこるさ。」

 彼女はまた、遥か坂の上から見透かすように物事を語る。
 気味の悪さを感じた私は思った事を口から零してしまった。

「あなたは一体“なに”?」

「それをここで教えるのは退屈だろ?図書館で調べてみるといい。」

海風に吹かれて思わず目を閉じる。
再び目を開けた時には彼女の姿はなかった。


あとがき
このキャラも、この話も、欠片を集めていつかひとつの形にしたいもんだなぁ。

活動の糧にします。次はもっといい記事を