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想いを載せて巡るお金

こちらこちらのnoteでもご紹介した、ビストロ・ル・プュイドールの渡辺シェフ。
年始にお邪魔した時に、「俺のファンっていうやつ(男性)がいてさ」
「これ、カード切って買ってくれた」と。

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ワインボトルにくっついているこちらは「CORAVIN」(コラヴァン)というもので、飲みさしのワインを酸化させることなく保存出来るというものだそう(詳しくはこちら)。

よくよく聞いてみると、そのファンという方は、
「いいワイン頼んでくれるんだけど、2杯位しか飲まなくて、あとは(お店の方で)どうぞって」
ということで、こちらのnoteで言うところの「パトロン的な人」な感じ。

ビストロ・ル・プュイドールは、シェフとマダム2人だけのお店。
そのファンの方は「あとはどうぞ」という形で、いいワインを「ごちそう」しつつも、「酸化しないうちに2人で飲み切れるかな?」「それが負担になってないかな」という思いが、常に頭の片隅にあったのではないかと。

そしてCORAVINの話を聞いた時に「これだ!!」となって、即座にご自身のカードを切ってプレゼントしたんだと思う。

想いを現実的な形に出来るという点で、お金があることは「便利」だし、日常の中でそれが積みあがると「快適」なんだろうな、と、正直この値段を即カードで切るなんてムリな私は、そう思う。

でもそれを「羨ましい」ではなく「清々しい」と思えるのは、きっとそれが
「想いを載せたお金の使い方」だから。

ところで、シェフがこのCORAVINを見つけたのは「月に1度は行くようにしている良いレストラン」で、だそう。
「そういう視察や勉強の為にレストランに行くのは経費なんだから、行ってください」と、税理士さんから背中を押された、とシェフ。

そういえば、何年か前からシェフの口からは税理士さんの話が時折ぽろっと出るようになっていた。もちろんがっつり機密事項なのでその具体的な内容はここでは書けないけれど、シェフがなさりたい事とお店の安定的な経営を両立するような、そんなアドバイスをされているようで、「パトロン的ではないシェフのファン」の私は、勝手に心強く思っている。

およそお金との付き合い方が上手とは言えない私は、お金について考える時は、きっと大抵しかめっ面をしていて、重々しい気分だ。
けれどこの日、「想いを載せて巡るお金」に思いを馳せながらの帰り道、気分はとても軽やか、だった。

ビストロ・ル・プュイドール シェフのプロフィールはこちら


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