わがままな君には白いベールがよく似合う(2)
ランチを食べすぎたせいで、スーツのウエストの部分が少しだけ苦しい。昼休みのオフィスはよれたような雰囲気のなかでも、空気感が少しだけ弾んでいるようで、私はそれが嫌いではない。きっちりとしたタイムスケジュールのなか、私達は仕事をこなし、休憩時間になると束の間の休息を取り、そして、仕事が終われば各々の帰るべき場所へ帰って行く。社会人になって五年、二十七歳にもなると、この繰り返しにはとうに慣れが出てくる。
「経理部の杉本さん、結婚するんですって」
「そうなの? 仕事はどうするのかし