風も強く大雨の中
小さな屋根の下で
雨宿りする女性がいた
一度は通り過ぎたが　
何だか気になる
やみそうもないこの大雨の中
どうやって帰るのだろう？
立ち止まり振り返ってみた
やっぱり気になる
私は孫に言った
『この傘を使ってもらおうか？』
孫は笑顔でうなずいた

突然傘を差し出された女性は
とても驚いていた
そして申し訳なさそうに
『ありがとう』と言って
傘を受け取ってくれた
とまどいながらも
受け取ってくれた孫への優しさが
本当に嬉しかった

近頃電車やバスで席を譲っても
断られる事の方が多くなっている
『どうぞ』と立ってしまった若者は　
また同じ場所に座る事もできず
恥ずかしいと言う気持ちなのか
うつむき扉の端に立っていた
とても素敵な光景だったはずが
とても残念で悲しい場面と変化する

私はあの女性のように
人の優しさに
『ありがとう』と言える
そんなおばあちゃんになりたい
そう思ってようやく気づいた　
あの女性が気になって
仕方なかったのは
幼い頃に見ていた
母の姿に似ていたからなんだ
母に伝えよう
『今日は素敵な人に出会ったよ』ってさ