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キャンプの話

毎年家族でキャンプに出かけていた。
キャンプはすごい。空気が美味しい。自然で溢れている。

父は自然の中で存在感を発揮する。
薪割りでは、ナタをどのように振れば一発で薪が割れるのか。どのようにくべば火が付くのか。どんな場所で星が綺麗に見えるのか。キャンプで学んだことは多い。

そんな父でも釣り堀ではイワナを釣ることができなかった。

釣り堀はヤマメとイワナがいた。
ヤマメは比較的釣りやすく、エサ(ソーセージ)をたらして待っていれば釣れた。
一方でイワナは大変注意深く、エサを垂らしても全然近づいてこなかった。

小学生の私はエサを垂らしてヤマメを待ち続けた。
するとそれに気づいた一匹のヤマメが口にエサをくわえた。

私は力のある限り、大きく釣竿を振り上げた。
手応えあり。一匹の魚が池の外に放たれた。

父が慌てて見にきた。
「おい、これイワナじゃないか!」
なんとそれはヤマメではなくイワナだった。
それも釣り針が魚の肛門に引っかかっており、エサの姿は無かった。

どうやら思いっきり振り上げた際にヤマメがくわえたエサから釣り針が抜け、そのまま全然関係の無いところを泳いでいたイワナの肛門にひっかかったようだった。

父は大爆笑。私は少し得意気になった。
その次のキャンプから、イワナを釣る際はエサを付けず、釣り針を引っ掛けて釣るようになった。父もちゃっかり釣れるようになった。

釣り堀の店員さんは何でそんなにイワナが釣れるのか不思議そうに見ていた。

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