種村またこ

意識の高くない、しょうもないエッセイを書いてます。

種村またこ

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最近の記事

バスの話

夏休みに水泳大会があった。 バスで隣町の小学校まで行って、記録を取るだけのイベントだった。 ただ、みんなで市営のバスに乗り込んで、帰りもバラバラに帰るという、なんとなく遠足と違った特別感があった。 水泳大会の帰りのバスで、メンバーは大半途中下車していった。下車するバス停の名前を忘れた私は周りに流されてバスを降りた。 バス停で散り散りになった同級生を横目に私は歩き出した。途中で通行人に近所の小学校の方向を聞いた。歩いている道と逆だった。 私は小雨の中、ずっと歩いた。恐らく

    • キャンプの話

      毎年家族でキャンプに出かけていた。 キャンプはすごい。空気が美味しい。自然で溢れている。 父は自然の中で存在感を発揮する。 薪割りでは、ナタをどのように振れば一発で薪が割れるのか。どのようにくべば火が付くのか。どんな場所で星が綺麗に見えるのか。キャンプで学んだことは多い。 そんな父でも釣り堀ではイワナを釣ることができなかった。 釣り堀はヤマメとイワナがいた。 ヤマメは比較的釣りやすく、エサ(ソーセージ)をたらして待っていれば釣れた。 一方でイワナは大変注意深く、エサを垂

      • 雷の話

        体育の時間、途中で雨が降ってきて中止になった。 体操着から普段着に着替えると、鼻血が出てきた。 昔から鼻の血管が弱いのか、何かの拍子に、すぐ出血していた。そのため特にパニックにもならず、鼻をティッシュで押さえていた。 すると バカラーン!!! 突然雷が鳴った。女子たちは悲鳴をあげ、私は目を丸くした。 「あれ…?」 私は鼻に違和感を感じた。 押さえていたティッシュを恐る恐る外すと、鼻血が止まっていた。 これまで鼻をかんだり、冷やしたり、どうすれば鼻血が止まるか確かめてき

        • 猫の話

          小学生のころの話だ。 その日は家族で買い物するため、車で移動していた。 私は後部座席で、目的地に着くまで外の景色をながめていた。 すると、運転していた父が「危ない!」と叫んで急ブレーキをふんだ。 自転車に乗った中学生の兄ちゃんが、道に飛び出してきたのだ。 そのあと、赤信号で止まっていると、猫が道を横切った。 信号は青、しかも横断歩道を渡っている。 私はびっくりした。 ねこにすら出来たことが中学生はできないのか。 ああ、情けない…情けない。