見出し画像

バスの話

夏休みに水泳大会があった。
バスで隣町の小学校まで行って、記録を取るだけのイベントだった。
ただ、みんなで市営のバスに乗り込んで、帰りもバラバラに帰るという、なんとなく遠足と違った特別感があった。

水泳大会の帰りのバスで、メンバーは大半途中下車していった。下車するバス停の名前を忘れた私は周りに流されてバスを降りた。

バス停で散り散りになった同級生を横目に私は歩き出した。途中で通行人に近所の小学校の方向を聞いた。歩いている道と逆だった。

私は小雨の中、ずっと歩いた。恐らくバス停2〜3個分はあっただろう。すごい長い道のりに感じた。

ようやく見たことのある十字路に着いて、近くのバス停の名前を見る。多分この名前は一生忘れない。次からはこのバス停で降りる。

そう決めて、家に帰った。

すっかり辺りも暗くなって、雨で濡れた足をタオルで拭いたら、その日一番の心地よさだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?