Wi-Fiが人体に与える7つの影響

今回は私が密かに敬愛するワシントン州立大学の名誉教授(生化学)であるマーティン L. ポール博士が執筆された論文「Wi-Fiは人間の健康にとって重要な脅威である。Environ Res. 2018 Jul:164:405-416.」をご紹介させて頂きます。

ポール博士は慢性疲労症候群、化学物質過敏症、および低強度マイクロ波周波数電磁界(MWV-EMF)の人体への影響の専門家です。彼は5G 携帯電話ネットワークの拡大とワイヤレステクノロジーの使用が人間の健康に悪影響を与えることを科学的に検証されています。

この論文では、下記7つの影響について述べられています。
私見を交えながらお伝えしますね。
そもそも、天才が書いた超大作の論文を凡人の私がまとめようとしているので、かなり無理があることをご理解下さい・・・。

①酸化ストレス

電磁波曝露の主な病態生理学的影響は、過剰なカルシウムシグナル伝達とペルオキシナイトライト経路を介して生じる。ペルオキシナイトライトレベルが上昇するのは、[Ca2+]iの増加によってNOとスーパーオキシドの両方が上昇し、NOとスーパーオキシドが互いに反応してペルオキシナイトライトを形成するためである。ペルオキシナイトライトとそのCO2 付加物は、分解して反応性のフリーラジカル、ヒドロキシラジカル、炭酸ラジカル、NO2ラジカルを 生成し、酸化ストレスを引き起こす。
これらの様々な酸化物質は、NF-κB活性を著しく上昇させ、炎症を引き起こす(本論文より引用)。

酸化ストレスとは、活性酸素が産生され障害作用を発現する生体作用と、生体システムが活性酸素を直接解毒したり、生じた障害を修復したりする生体作用との間で、均衡が崩れた状態のことである。生体組織の通常の酸化還元状態が乱されると、過酸化物フリーラジカルが産生され、タンパク質脂質そしてDNAが障害されることで、様々な細胞器官が障害を受ける(Wikipedeiaより引用)。

酸化ストレスの人体への影響は大きい。判明しているだけでも、ADHDがんアテローム動脈硬化症パーキンソン病心不全心筋梗塞アルツハイマー病自閉症うつ病慢性疲労症候群、およびアスペルガー症候群などの疾患・症候等が酸化ストレスと関与している。
(Wikipedeiaより引用)。

酸化ストレスはヒトの慢性疾患のほとんどにおいて原因的な役割を担っており、細胞のDNA損傷はがんを引き起こす可能性があるため、電磁波による発がんを部分的に説明することができる(本論文より引用)。

つまり、電磁波曝露により人体で活性酸素が過剰発生して、さまざまな病気の元になるということですね。

②精子・精巣の損傷

Wi-Fi暴露が精巣に影響を与え、男性の生殖能力を低下させるという知見が下記文献などで報告されています。

最近のメタアナリシスでは、世界中の多くの国々で精子数と精子の質が大きく低下しており、先進技術国ではすべて50%以上低下していることが示されている(Levine et al.)この研究の筆頭著者は、この影響だけで人類が絶滅する可能性があることを示唆した(No authors listed, 2017)。ヒトおよび動物実験において、EMF曝露が精子の数と質に大きな影響を及ぼすことを考えると、男性の生殖能力に関する証拠のパターンは非常に憂慮すべきものである(本論文より引用)。

男性諸君、気をつけましょうね。

③脳波の変化を含む精神神経への影響

EMFが動物の脳に与える影響については、Tolgskaya and Gordon (1973)で概説され、Pall (2016b)で議論されている。最初のうちは1~2ヶ月の曝露で、脳と神経細胞の構造に比較的緩やかな変化が生じ、曝露を止めると構造変化のほとんどは消失した。しかし、数カ月以上の暴露は、脳と神経細胞の構造にはるかに深刻な影響を及ぼし、これらは不可逆的であった(Tolgskaya and Gordon, 1973,Pall, 2016b)。

家庭や、学校、職場などで電磁波に長時間曝露され続けるのは、やはりよろしくないということですね・・・休日は自然に囲まれた電磁波フリーの空間にできるだけ行きましょう。登山なんかもおすすめですよ。

④アポトーシス

アポトーシスとは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死のこと(Wikipediaより引用)。

正常細胞が電磁波曝露によってがん化するくらいなら、自滅を選択するということでしょうね・・・。

⑤細胞DNAの損傷

電磁波曝露に伴うDNA修復の低下とDNA損傷の増加は、幼い子供がこのような曝露を受けるとがんに罹患しやすくなる可能性を強く示唆している。

また幹細胞に対する電磁波の作用により、幼児は特に脳の発達が阻害されやすくなる可能性があり、これらはすべて非常に問題である。

RedmayneとJohansson(2015)は、若い人ほどEMFの影響に敏感であるなど、年齢に関連した影響があることを示す文献をレビューしている。

このような様々な知見から、Wi-Fiを全国の学校に設置することは、子供たちの健康を脅かすだけでなく、教師や教師が身ごもる可能性のある非常に敏感な胎児にとっても、高レベルの脅威である可能性がある。(本論文より引用)。

学校などの教育現場にWiFiやiPadなどの無線機器が増え続けていることに対して、私は医師として危惧しています。
海外では有線通信に変えるべきだという意見がでているのに、日本はなかなか難しいようですね。

⑥内分泌の変化

非ステロイドホルモンの放出は、VGCCの活性化と[Ca2+]iの上昇によって生じる。EMF曝露の直接的な影響は、ホルモン分泌を増加させ、ホルモンレベルを上昇させることである。
しかし、多くのホルモンシステムは、慢性的なEMF曝露の結果として「疲弊」する。疲弊のメカニズムはまだ不明だが、酸化ストレスや炎症が関与している可能性がある(本論文より引用)。

ステロイドホルモンは、チトクロームP450酵素の作用によって合成される。これらのホルモンの活性は、高濃度の一酸化窒素(NO)の結合によって阻害され、ホルモン合成の低下につながる(本論文より引用)。

⑦カルシウム過多

二次的なカルシウム過負荷は、酸化ストレスによってTRPV1、TRPM2、そしておそらく他のTRP受容体が活性化され、これらの受容体のカルシウムチャネルが開くことによって生じる(本論文より引用)。

いかがだったでしょうか?
本論文を読みながら⑥⑦を記載する頃には、頭がくらくらしてきました。
この論文には電磁波がもたらす人体への悪影響やその詳細なメカニズム、そしてこれまでの電磁波研究の問題点など、さまざまなことがこれでもかと記載されており、読み応えがありすぎて、なかなか読破(理解)できません・・・。

マーティン L. ポール博士が天才であり、人工的な電磁波曝露が人類に多大な悪影響を及ぼすことを確信していることだけは間違いないでしょう。
いつかお会いしたいものです。

私としては、この研究論文がもっと世界に知られるようになるといいのにな~と願いながら、今日もまた患者さんに電磁波障害対策をこんこんとアドバイスしております・・・。

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