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キネマ旬報の読者評で一次選考通過まで行って掲載されなかった「マイ・ブロークン・マリコ」評



まあ、私は今年既に2回掲載されてるので。私のは載ってませんが、23歳の学生さんの同作品の評が載ってました。

コピーしておいたので、以下掲載します。

「マイ・ブロークン・マリコ」(タナダユキ)

2年間で、両親を立て続けに亡くした。父は特殊な考えを持っていて、「葬式など何の意味もない。人間は死んだら骨になるだけだ。オレが死んで焼かれたら、遺骨はオレの地元の熊本の海に流してくれ」。実際はそうもいかず、葬式は行った。しかし、独り者の私に墓を作る意味が感じられず、両親ともに遺骨の箱はそのまま家に置いてある。特に仏壇も無い。もし私も死んだら、これは捨てられるのだろうか。

主人公は、「ゴリゴリのブラック」で働くシイノ(永野芽郁)。親友であったマリコ(奈緒)には「シイちゃん」と呼ばれていた。さびれたラーメン屋で一人ラーメンを食べていると、テレビでマリコが亡くなったことを知る。遺骨を奪いに行くと決断する。

シイちゃんがマリコの両親のアパートに訪れるシーン。まず、アップでシイちゃんの表情を撮ってから遺骨を奪い、ここで長回しでシイちゃんがマリコの過去を一気に語る。一瞬シイちゃんにマリコが憑依するかのように乗り移る。そして、裸足で川に飛び降りるのをスローモーションで描く。前半屈指の圧巻のシーンである。ここで語られてる過去が、その後ほどかれるように描かれていくので重要なシーンだ。なお、裸足になった後に靴をどうするかのシーンが出てくるオマケ付きである。

少し変わったシスターフッド映画でありながら、どこかロードムービーのような一面もある。その先で、マキオ(窪田正孝)という男性に出会う。彼が救いの存在である。

見事なクライマックスと言えるのが、たどり着いた岬で抱き合うショット。なお、遺骨がどうなるかまでは書かないが、予想もし得ない形で私のできなかったことを描く。

ラーメン、アメリカンドッグ、牛丼、駅弁当にギョーザと、何かを食べてるシーンが良いのだが、牛丼をああいう風に描いた映画は観たことが無い。


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