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夜更かしした日に『よふかしのうた』

寝るのも起きるのも苦手だが、近頃は特に酷い。

日中は完全に使い物にならないし、かといって夜も布団に潜ったところで眠くはならない。足りない睡眠時間は数日に一度「数時間おきに眠くなり数時間ずつ眠り続ける日」を迎えることで帳尻を合わせている(のだと思う)。

数日、大学の講義にも顔を出せないでいる。

とはいえ、何もせずに1日を終えるのも癪にさわるので、昨晩はせっせと部屋の掃除をして回っていた。家具のレイアウトを変えたり、やたらと蔓延る電子機器の配線の類も綺麗にしてやった。今なら家に人を呼べるだろう。

布団に入ったのは、明け方4時半頃であったか。シーツを敷き変えたのもあって、寝室の具合は良かったが目は冴えていた。

枕元には友人に借りたまま、長らく読めていなかった『よふかしのうた』1~4巻。ベッドメイキング時の自分の善意にグッドボタンを押しながら、1巻を手に取る。

思えば、紙の漫画を読むのは久しぶりだった。漫画はいつもkindleで買ってiPad miniで読むことにしているので、思ったより分厚くてざらざらとしたマンガ本の紙の手触りをしばし指先で弄んでいた。

登場人物の少ない1巻には好感が持てた。
するりと読める話の展開であっという間にあとがきに至ったが、そこに「タイトルは、大好きなHIPHOPグループの『Creepy Nuts』様にお願いして使わせていただいたものです」とあってハッとした。そういえばCreepy Nutsが先か、コトヤマ先生が先か、考えたこともなかった。でも、Creepy Nutsが先だった。なるほど。

なるほど、と思っているうちに借りている4巻の終わりまで読み切ってしまった。作中「余裕かましてくる年上の女の子」がやたら出てくるのだが、少年から見た大人はみんなそのように見え、なおかつ魅力的に映るのだろうなどとと考えていたら、窓の外はもう白んでいた。

また眠るのに失敗した。
諦めて体を起こした。長い1日が始まる。

夜更かししながら『よふかしのうた』なんて読むものだから、妙に「朝」を意識した。朝、窓を開けたのだっておそらく半年ぶりくらいだ。アスファルトが濡れていて、まだ少し雨が残っていた。

朝と雨の混ざった匂いを嗅いで、窓は早々に閉めた。開けたままにしておくには季節が深まり過ぎている。立ち止まって少し考えて、ひとりぼっち惑星のサウンドトラックをかけた。いつもなら夜にかけるCDだけれど、眠っていないのだから仕方がない。体は朝なのか、夜なのか全くわかっていないみたいで何だか可笑しかった。

朝食はファミマで買っておいたホットビスケットを食べようか。シナモンとバターで炒めたりんごでも良いかもしれない。こんな朝くらい、コーヒーとよく合う気持ちのよい食事がしたいと思った。

いくつか書類を作って送ったら、バイトの前に覗きに行きたいイベントもある。今日は日曜日だ。


これは2022年12月4日の記録。

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