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【日記】 ドラマ『怪獣倶楽部』の仕掛け

起きたのは16時だったが、それを朝だと思うことにした。思い込みのため、ラジオ体操第一を流してとアレクサに頼んだ。一曲3分、真剣に取り組むと体がぽかぽかしてくる。いい朝だ、と思った。大成功。

朝食に冷凍しておいたクロワッサンを食べた。パンを解凍するときはコストコの常連客のブログが大変参考になる。食事パンの解凍はいつもうまくいくが、クロワッサンの解凍はというとオーブンの使用が推奨されていて途端に面倒になる。起きてすぐ、予熱の要るオーブンを使うのは気が進まない。だから少し湿らせた解凍ワッサンをアルミホイルに包んでトースターで4分強焼く。これが寝ぼけまなこでできる最良の心配りなのだが、やはりバターの風味がどこかへ行ってしまう感じがしてよろしくない。

どうしても本が読めないときというのがあって、今日がちょうどそんな感じだった。文字を読もうにも気が他に逸れてしまう。それでも読まなくてはいけないものがある場合には、もう声に出して読むことにしている。音読を続けていると、だんだん声に出さなくてもすらすらと読めるようになっていることに気づく。音にすることは、自分が調子に乗るために必要なエンジンのようなものなのだと理解する。

スーパーから帰っても特に何か食べようという気にはなれなかったので、20時に大学へ行って1時間本を読んで帰ってきた。課題図書を読み切って明日の集まりで話すことをある程度考えておかなくてはならない。帰りは少し遠いコンビニまで足を伸ばして、アイスを買った。

アイスを齧りながら、ドラマ『怪獣倶楽部〜空想特撮青春記〜』を観終える。全4話。喫茶にみんなで集まって、特撮ファンジンを作る話。特撮界のレジェンドたちの若かりし頃がそれぞれのキャラクターのモデルとなっている。ドラマの多くを占めるのが、喫茶での会合のシーンである。その会合には毎度誌面に取り上げる怪獣(本人)が同席している、という変わった演出がなされる。例えば「狙われた街」の特集号を作るなら、主人公の前に座るのはメトロン星人だ。喫茶の外でも「怪獣のことばかり考えている」主人公の頭の中をそのまま出力したかのように、怪獣は主人公の後ろを半ばスタンドのようについて回る。彼女との映画館デートでも斜め後ろの席にはガッツ星人がいる。

会合では塚地武雄演じる「キャップ」が必ずお誕生日席に座る。怪獣倶楽部のメンバーは6名で、順当に座れば偶数人なのでお誕生日席は本来必要ない。ところが、このドラマは「怪獣のための席」を要する。だからキャップはお誕生日席に座ることになる。ここにおいてはキャップが上座に座る必然性より、怪獣に席を用意することの優先度が上回っていたことが予想される。しかし、この怪獣たちは『ウルトラゾーン』に登場する怪獣などとは違って、声を上げることも特別大きなリアクションをとることも会話に混ぜてもらうこともない。ましてや主人公以外のメンバーは「いる」ように扱う素振りすら見せない。

怪獣はただじっと座っているのみである。
しかし、そのための席が必ず用意されている。

「いる」か「いない」かというのはもはや問題ではない。作中の誰も指摘しない。指摘なんてしたらきっと「冷めてしまう」だろう。「怪獣のために用意された席」というのは、一途に、時に盲目的に、登場人物たちがそれぞれに怪獣に対して熱を上げていることが演出によっても垣間見える面白い仕掛けだと思った。


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