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理論的にワインという飲み物を学ぶ。

どうも、丹治です。

 2022年12月よりワインを飲み始め今ではいろんなコミュニティの中でも上位集団に位置するくらいの知識レベルを得ました。まだ、ノムリエ経験や実践経験が浅いので、頭でっかちにならないように謙虚に鍛えていきたいです。

「ワインを知りたい」となった時、やることは2つのいずれかです。

・いろんなワインを飲む。
・ソムリエ試験等の勉強を行い知識武装をする。
 ※
ソムリエ試験:J.S.A.ソムリエ呼称資格を指します。

 一番はどちらもできることですが、前者は非常にお金がかかります。後者はラーニングコストがかかり、勉強方法によっては遠回りになる可能性があります。

 今回のnoteはソムリエ試験の勉強をせずにブドウという作物の特徴からできるだけお金をかけず好みのワインを見つけることを目標に執筆しました。

 一点注意事項として、ソムリエ試験は体系的にワインに関する知識を学べるため、趣味以上の領域で楽しみたい場合は勉強することをお勧めします。ワイン業界の方や年配のワイン好きと話ができるボーダーラインと思ってください。

 少しでも学びがあったらスキ押してくれると嬉しいです。

ワインというもの

ワインとは

 ワインはブドウから作られた醸造酒を指します。一般的に原材料はブドウと発酵を支援する酵母だけであることから、どのお酒よりも生産地の特徴が出るお酒と言われています。ブラインドでワインが出されて、「このワインはニュージーランドのピノ・ノワールです!」と当てられるのはワインならではの魅力の1つです。

ワインと日本酒

 日本酒は生産地の特徴が出ないのか?と思ってしまいますが、お米自体の特徴や酵母の特徴、使用するお水の特徴は出ますが、どこで作られたかまでは判別することはワインよりも困難です。これは以下3点が理由かなと私は考えています。

①田んぼというほとんど同じ性質のの土壌で育つこと。
②深く根を張らず、覆っている水も流動しているため育つ土壌の影響を受けにくいこと。
③ブドウは皮や房ごと利用されるのに対し、米粒の心白部分しか利用しないので不純物が少ないこと。

 ブドウは痩せた土壌を好むとはいえ、さまざまな土壌で生育することができますが、稲は田んぼという特定の環境以外では生育が困難です。また、水分は表層にあるため、根を張る必要もありません。

 日本酒の主原料は米ですが、収穫された穂から磨きに磨かれ、白米のわずか50%ほどまで小さくなってしまいます。それはある意味で不純物の除去につながり、その土地の個性を掻き消すことにつながります。

 一方でワインは場所によりますが、酸を足すことも、糖分を足すことも、加水することもできないお酒です。つまり、収穫後のブドウの皮についた汚れすら水で落とすことはありません。そのようにして残った不純物がブドウの産地特性を増長させる結果になります。

 ちなみに、ブドウはバナナや桃のような追熟をしない果物の1つです。追熟は果物ごとに決まっており、エチレンの反応が生じる果物と生じない果物で分かれています。そのため、ブドウは収穫後ずっと置いていても糖度が上昇することはないため、枝についた状態で適切な状態になることを見極める必要があります。ちなみに追熟の根本原因である、収穫後にエチレンの作用によって呼吸が増大することをクリマクテリック・ライズと言います。


ワインの酸と糖

 ブドウは果物であり、皆様の周知の通り、未熟なうちは酸っぱく、完熟を迎えるにつれて甘くなっていきます。これは未熟な蜜柑と完熟の蜜柑を思い浮かべれば理解できると思います。

 では、酸と糖はどこから来ているのでしょうか

 まず、酸はそもそも種が所有しているものと考えてください。初めの頃から蓄積されている有機酸であり、リンゴ酸やコハク酸、クエン酸などがあります。これらは果実の呼吸と共に代謝によって分解され減退していきます。光合成による酸の生成について文献を見つけられませんでした。ご存じの方、コメントにてアドバイスを頂けますと🙇‍♂️

 一方、糖は光合成により生成される有機酸であり、酸と同様に呼吸を行うことで減退してしまう特徴があります。つまり、酸は右肩下がり、糖は生成されては減少するものということです。

 では、どうやって糖を保持していくか。簡単です。呼吸を少なくすればいいのです。呼吸は気温が低いと抑制がなされます。気温が低いのはもちろん夜です。

 ということは、良いブドウを作るには光合成はしっかりできる日照量と適切な温度、光合成が行われない夜に呼吸を抑制できる冷涼さが必要、ということになります。

 この日較差は色素沈着にも影響を与えます。色素も光合成によって生まれる有機物ですので、夜に消費されないことが望ましいです(もちろん、色合いには品種特性はあります)。一日中寒くて日照量が非常に多い地域、例えば高山地帯がいいのかといえばそういうわけではありません。日中ほどよく暖かくないと植物が稼働しないので笑

 カルフォルニアは恵まれた気候と2700時間/年もの日照時間を確保し、夜は太平洋の韓流の影響も相まって冷涼です。ブルゴーニュですら2000時間/年ですから、生育期間の日照量だとまた変化するとはいえ、ブドウの熟度は大幅に変化します。

 余談ですが、紫外線はブドウの皮を厚くし、色を濃くさせる影響があります。アルゼンチンは高山地帯でブドウを栽培してています。ここでは標高ゆえに紫外線が強く、強いストレスから果実を保護するために皮が厚くなり、独特の風味が生まれます。


ワインと土壌

 植物の成長に最も重要なのは水です。表面の土壌に水が少なければ乾燥ストレスを受けて水を求めて根は地中深くまで進んでいきます。ワイン用ブドウは痩せた土地の方が栽培に向いているという理由の1つは地中まで根を張った方が地中の栄養素をしっかり吸収した良質なブドウがつくれるためとされています。

 ワイン用ブドウの好まれる土地として、粘土質土壌がよく挙げられますが、粘土質土壌は一般的に水を多く含んでいるようなイメージで、根を深く張らなくてもいいようなイメージがあります。

 実際は、粘土質土壌は水を含むが粘土の粒子が細かく、表面張力が強い特徴があります。結果として根っこの水の吸引力(表面張力)が粘土の表面張力に負けて水を吸収できないという状況が発生します。

 結果として乾燥ストレスを受けてしまうため美味しいブドウの生産には望ましい状況になります。粘土質土壌での水補給源は意外なことに粘土質土壌より上の土壌(表層の腐葉土や薄い砂礫層)か粘土質土壌より下の土壌になってしまいます。


ワインとミネラル

 ワインのミネラル系(リンやカリウムなど)の栄養素は母岩由来とされています。例えばテラロッサ、酸化鉄を多く含む土壌では鉄に影響されたブドウになります。

 ちなみにブドウ(植物)はミネラルは水に溶けてイオン化したものしか取り込めません。これは、石灰岩土壌にだったとしても、ブドウが石灰をそのまま吸収しておらず、水にとけたCa+でしか吸収できない、という意味です。

 さらに、植物は自身の成長に必要な分のみを根から吸収し使い切ります。その結果、果実にはほとんど蓄積されません。ましては、香りまで影響することはほとんどないようです。

 では、海っぽい香りや鉄っぽい香りはどこからきているかということが疑問に浮かびます。これは風に運ばれブドウの果皮についたものに影響していると言われています。

 例えば、白亜紀に堆積した土壌が露出しているとしましょう。このような土壌は当時は海底にあり、地殻変動で隆起等が起こり今の状態となっています。となると、当時の岩盤、土壌には当時の海塩(ミネラル)が多少なりとも含まれているはずです。それが風化し埃となって果皮に付くという訳です。

 ワイン用のブドウは収穫後他の野菜のよう洗浄することはありません。これはブドウに極力水分を含ませたくないためです。その結果、それらの誇りがついたまま圧搾され、ジュースの中にそれらの埃が混ざり合います。

 アメリカのカルフォルニアの火災によってブドウに燃えたにおいがついてしまい使い物にならなくなったという話もあります。活火山が近ければ活火山の影響(火山灰)を受けるのも理解できます。


ワインと樹勢

 ワイン用のブドウにおいて成長させすぎることは好ましいとされていません。目標は凝縮されたブドウの果実の収穫です。樹勢が強くなりすぎると果実へ向かうべき栄養が幹で消費されてしまいます。また、剪定など樹勢管理を行わないとブドウの房が多く実ることで、そのぶどうは生食用としては食べやすいけどワインにするとシャバシャバになってしまいます。

 樹勢の強弱は肥沃な土壌かどうか、水分を吸収しやすい環境がどうかに依存します。とはいえ樹勢がワインの味の大半を決めるわけではありません。樹勢の強い土地、弱い土地があったとして、樹勢を同程度になるようにコントロールしたとしても味に変化は必ず生まれます。テロワールと言われるものです。

 一般的に樹勢が強いブドウは粒が大きくなり果皮より果汁の体積比率が大きくなりジューシーに仕上がります。

ただ、ワイン栽培においては粒が小さい方が望ましいとされています。粒同士が押しつぶしあうことで傷んでしまうことため、選果という意味でも効率的になります。また、樹勢が弱いということは植物にストレスがかかるため、よりエキスを充填(凝縮)させるとこができるとのことです。

そのため、ワインにおいては樹勢管理と収量制限(1つの木から収穫する葡萄を減らす)ことが重要になっていきます。

ワインと品種

 ワイン用品種において、栽培条件、というものがあります。例えば、ピノ・ノワールは栽培条件がとても厳しい早生品種として有名です。意外なことにブドウ栽培において適正な土壌はあるものの、条件になる土壌はほとんどありません。それほどまでに気候条件(気温、日較差、日照時間、気候など)が重要です。

 最近はワイン用の品種は様々な場所で栽培されています。アルゼンチンのパタゴニアではピノ・ノワールが、オーストラリアやサンタバーバラではネッビオーロが、ラインガウでは甲州が栽培されています。

 ひとえにリースリングは石灰岩土壌がいい、ガメイは花崗岩土壌がいいということはありません。古くから有名な生産地がそういう土壌であったにすぎません。

 日本は典型なのですが、最近はその国のテロワールを表現することが重要になっており、それを実現できる品種が選択される傾向があります。

 近年では地球温暖化に適応できるようにワイン法において使用できる品種の追加や、実際に試験的に様々な品種を育てている生産者もいます。


好みのワインのみつけかた

専門店へ通う。

 wine@ebisuは体験型のワインショップです。まず最初にアンケートに答えるとAIが好みのワインを「品種」や「産地」ではなく、「どっしり」「エレガント」「フルーティ」のような日常的に利用する表現に変換し、自身の好みに合ったワインをお勧めしてくれます。

 あとは店内常時20種類も飲めるワインを試飲し、好きをたぐっていくだけで翌日からは○○なワインが好き。と言えるようになります。本当に画期的で大好きです。

 その他、毎週月火はブラインドテイスティング、店内で購入したワインは恵比寿の提携店にBYO可能など、ワインと食事の掛け合わせまで幅を広げることができる発見を広げるお店です。


体系的に好みであろうワインを予測する。

 前述の内容の応用編です。これを理解することで今後自身でワインを選ぶというハイレベルなスキルを身近にすることができます。次回のnoteにて書けたらと思っています。


参考文献


https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/10/11/10_11_470/_pdf


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