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2023WE一次試験合格までのまとめ

■趣旨

 ワインエキスパート(以下WEと略す)一次試験の勉強内容を備忘等をかねて詳細に記載します。このメモによってWEを取得する仲間が増えること、ワインを飲み交わす仲間が増えることを楽しみにしています。

■スタート地点/教材

勉強開始日:

⇨2022/12/3

目的/ゴール設定/行動背景

・相手をもてなす引き出しの拡充。
・自力でワインを選ぶ能力を得ること。
・ワイン系のコミュニティへの参加。
・自身の発信コンテンツへの権威性向上。

勉強開始時点での知識レベル:

・カヴァもシャブリもメルロも知らなかった。
・2000円以下の安物ワインを買ったことしかない。
・ワインは3日で美味しくなくなるもの。
・蒸留酒は好きだったのでそこの知識はそれなり。
・地理系の研究をしていたので各国の気候風土は少しわかる。

メイン教材:

・フリーのWE保持者によるワイン講習
 フリーのWE保持者による体系的にワインの話を受ける(テスト特化ではなく、広く浅く知識を取得したイメージ)。ワインの知識が全くなかったため、最初に全ての範囲を軽く見れたのが収穫。

ソムリエ試験対策講座(2022年)  ※以下、テキストとします。
 12月より使用。主要教材(4000円)として採用。他の紙冊子の購入なし。試験範囲はソムリエ教本であるが、そこから今まで出てきた問題を抽出し、イラスト付きでより分かりやすく書かれている。ここに記載の内容だけで試験問題の内容の7割は補完できる。

 最新版の販売月は四月下旬頃なので最新を待たずに既存のものを購入してもOK。試験範囲の増加に応じて内容が追記されているだけで9割同じ内容なので2022年持ってる人は2023年ではなく2024年を、2022年持ってない人は2023年購入で良いかと。

とみワイン
 過去問・類問集、シェリーや甘辛度など部分的な勉強に使用(無料)。一問一答形式の問題集がスマホなどで利用しやすい。問題数は物足りない。

ワイン受験.com
 6/12より問題集のみサブスク契約(5000円)。詳細は後述します。

 2023年の問題形式に対応済み、支払日より1年間利用できるので早めにサブスクして周回するのがおすすめ。

ソムリエ教本
 WE受験するともらえる公式の試験範囲。タウンページ。公式から購入できる。

・kindleのサブスクできる模擬問題集
 最初は気軽に一問一答できて重宝したが素人作成の問題集のため、設問ミスが多くパフォーマンスは微妙、お勧めしない。

サブ教材:youtubeは視覚的な勉強の補助に使用

chun吉のワインチャンネル
TOKYO WINE GIRL
sommelierforfree(固く正直おすすめしないが網羅的)
・酒屋(実際にモノをみて覚える)
・wine@ebisuとかで試飲(実際に飲んでラベルとか産地を覚える)
・神の雫(kindleで勉強始めに一周、春先にもう一周。興味の種。)

■勉強概要

12月3日: 
・勉強開始
 ⇨網羅的な講習。1月までにワイン概論、フランスの一部を履修。
1月〜4月:
・ワイン講習の都合が合わなくなり、3月まで休暇
・本業のITエンジニアの試験にコミット。
・とみワインの問題集、kindleを解き始める。
・多対一の形式で講義再開。
5月:
・GWより本腰を入れて勉強を開始する。
・過去問等に触れ始めるのはこれくらいから。
・5末頃、講習は修了。
6月:
・教材の拡充のためワイン受験.comのサブスクを開始
・「試験範囲を2割捨て、ヤマを張る作戦」へ移行。
・今までテキストに書き込んで勉強していたが、ノートを利用して視覚的な勉強を始める。
7月:
・本業のピークシーズン、なにもできない期間が多かったが空いている時間で模擬試験に着手。当時のおおよそ正答率は6割後半。
・食わず嫌いしていた分野に対し意識を向け始める。
 ⇨模擬試験の正答率上昇。
8月:
・追い込みシーズン。chun吉のyoutubeにて、
 今年の問題の出題傾向が異様であることを知る。
 ⇨ヤマを張りを辞め、東欧などマイナー国を注力開始。
・中旬は模擬試験を控え、マイナー国の体系的な勉強に移る。
 ⇨スイスなどの正答率が上がり、模擬試験の正答率上昇。
・8/26 午前中は新世界の単元別問題に取り組み、午後試験、合格。

試験の感想

 120問70分の試験、120問中36問は新情報(そもそも見たことない問題)でした。複数選択問題、地図問も数問。最初に重箱の隅を突く問題が多く出たものの、50問目以降から急激に易化した印象です。多分ですが、若干の正答率調整がCBT内にて行われていそうな印象。40分で全回答、2回見直し。試験終了まで生きた心地しなかったです。

■ワイン受験.comの着手記録

週単位での記録

 ワイン受験.comには大きく「講座のサブスク」と「問題集のサブスク」の2コースがあります。自分は後者のみサブスクしました。問題量は10万以上あるとのことで、この問題量がチョイスの決め手になりました。

 自分は約3ヶ月の間で9000問近くの問題を解きました。合格の目安となる模擬問題の着手量は1万問程度とのことです。解いた問題のうち、2割くらいの問題が被っていたので10万問、本当かな、とは思っています。

 模擬試験の正答率は最終的に9割に到達しました。ただ、模擬試験は単元別の問題集から抽出された100問が出てきますので、既知の問題もよく出てきます。ここで点が取れてもあくまで模擬、です。


■意識したこと

瞬発力:

 試験は70分120問です。大体1問30秒の計算です。つまり、ほとんどの問題を問題文読んだらすぐ解答できるレベルにならないといけません。ただし、模擬問題ではこの速度を目標にしてはいけません。というのも、緊張感などにより普段通りのパフォーマンスができるとは限らず、模擬問題のように知っている問題が多く出てくるわけではないためです。私は最低20分台で100問解き終わる速度、最終的には10分台で解いて8割の正答率まで持っていきました。

統計的分析、多角的分析、消去法:

 WEの正答率を上げるためにとても重要な方法だと思います。WEの問題は単なる暗記以外に、言語、語源、地理、数字に頼ることで効率的に正解を見つけることができます。また、過去問でもそうであるように問題文が短く、長文で定義されるような単語が答えになることが少なく、知っているか知らないかという問題が多い所感です。
 「AQUA PANNA」、この単語を初めて見た人でもイタリアのお菓子、「パンナコッタ」を知っていればこの単語はイタリアの水なのかな?と予測を立てることができます。勉強を全くしていないプルミエクリュを答える問題が来ても、残りの選択肢がグランクリュなら消去法で解答することができます。このように、自分の知っている知識のどの部分が解答の選択肢と結びつけられるかを考えて間違った問題の復習を行いました(どうしようもないクソ問題は捨てました)。

実際にワインを飲む

 冒頭に記載した通り、恥ずかしながら去年の12月まで全く飲んだことがありませんでした。しかし、自分が口にしたワインに意味、情報を含ませてあげるとそのワインが記憶に定着し、記憶に幅ができました。例えば、1er Cru、モノポールは飲んだことがある畑は比較的楽に覚えられました。銀座のグラン・マルシェならお店で数千円かかるワインを1000円以内で飲むことができます。

WE受験者向け勉強方針(概要)

 WEを来年受験する予定の方がどのくらいのペースで勉強すればいいかのロードマップを記載します

4月まで

三月下旬より受験申込ができるので申込を行う。
 ⇨2週間後に試験範囲のタウンページ(教本)が届きます。
・一次試験の受験回数は1or2回を選択できる。差額は5000円程度。
 ⇨1回で合格したら2回目は受験しなくていい。
・ワイン受験. com の問題集サブスクを行う。
・試験範囲が届くまでは基本的にソムリエ試験に記載されている情報をもとに網羅的に覚えていく。
・統計は次年度に更新される可能性があるので、変化の少ない歴史や各産地の使用品種、生産可能色などを網羅的に覚えていく。
この段階で一度ティスティングシートに則って赤白どちらも飲んでみる(2次試験のテイスティングコメントは一次試験の問題範囲に含まれる)。

4月~6月

・4,5月頃に受験日が予約できるので8月初旬~下旬に試験予約する。
 ⇨この時期になるとyoutuberのコメント欄に問題傾向が書き込まれるようになり今後の勉強の方針になる。
・教本が届くのでここから統計について目を通していく。
・youtubeなどで昨年の教本と比較し追加された項目をマークする。
・ワイン受験. comの模擬問題集を利用し反復して解いて、分からなかった部分は教本を辞書のように引いて覚えていく
・基本的にテキストの利用は表や地図をチェックするに留め、教本をメインに目を通すようにする。
・この段階で各スクールで河合塾模試みたいなことをやっているところがあるが、ワイン受験. comが7割取れていないなら受ける必要は無い

7月以降

・ワイン受験. comの模擬問題集を利用し反復して解いて、正答率8割までは持っていく。
・教本で調べた際に、隣の単語も意識的に覚えていく。
・苦手な分野は単元を絞って反復して攻略する。
 ⇨何が苦手か?それは単元か?品種など横の広がりがあるものか?暗記の不足かなど、課題は出てくると思うが、WEの試験は正解が教本に書いてあるので落ち着いて1つ1つ覚えれば受かります。 



実際にWEを受けた人間がつくった模擬問題

 実際でた問題を丸パクリすると罰則があるので、問題の長さ、ほぼ同じ難易度で作成した類問です。問題の雰囲気は限りなく近づけています。8/12が合格最低ラインと思ってください。

問題

第1問(ドイツ)
「ブルゴーニュの門」と呼ばれる低地があり、1980年台よりブルゴーニュの手本とするワインの生産が行われている産地はどこ?
A:ザクセン
B:バーデン
C:ラインガウ
D:アール

第2問(酒類飲料概論)
カクテル"CINDERELLA"で利用しない材料はどれ?
A:レモン・ジュース
B:オレンジ・ジュース
C:パイナップル・ジュース
D:ドライ・ジン

第3問(イタリア)
以下のD.O.Pのうち、2つの州と重なっているのはどれ?
A:Chanti
B:Orvieto
C:Colli Asolani Prosecco
D:Frascati

第4問(フランス)
Vin de Pailleに利用できない品種を選んでください。
A:Altesse
B:Chardonney
C:Savagnin
D:Poulsard

第5問(スイス)
以下の説明に最も関連のある葡萄品種を選んでください。
「ヌーシャテル州発のA.O.C認定されており、美しい色調が特徴の"Oeil de Perdrix"に使用される。」
A:シャスラ
B:ガラノワール
C:ガメイ
D:ピノ・ノワール

第6問(スロヴェニア)
スロヴェニア最大のワイン産地を選んでください。
A:Primorska
B:Podravje
C:Plešivica
D:Posavje

第7問(チーズ)
シェーブルタイプのチーズでないものを選んでください。
A:Charolais
B:Chaorce
C:Chavignol
D:Valençay

第8問(スペイン)
リベラ・デル・ドゥエロの現在の生産可能色はどれ?
A:赤
B:赤・ロゼ・白
C:赤・白
D:赤・ロゼ

第9問(イギリス)
P.D.O Welsh Wineのスパークリングワインの規定において、トラディショナル方式で澱とともに何ヶ月以上瓶内熟成か?
A:9ヶ月以上
B:12ヶ月以上
C:15ヶ月以上
D:そもそも規定が存在しない。

第10問(アメリカ)
Napa Countyに属するA.V.Aを2つ選んでください。
A:Fort Ross-Seaview
B:Petaluma Gap
C:Russian River Valley
D:Stags Leap District
E:Diamond Mountain District
F:Oakville

第11問(日本)
山梨県北西部の説明として正しいものを選んでください。
A:甲府市周辺地域であり、近年はスパークリングワインの生産で有名。
B:2008年にワイン特区に認定された地域があり最近注目されている地域。
C:日本のワインづくり発祥の地。ワイナリーの7割が拠点を置いている。
D:りんごや梨の産地であることからシードルづくりが活発化している。

第12問題(南アフリカ)
ブドウ生育期間中に大きな影響を及ぼしているのは以下のどれ?
A:川
B:風
C:雹
D:政治的催事


解答

 実は最初の2問以外はソムリエ対策講座(テキスト)の情報だけで解答できるようになっています。本試験も同様で、テキストの内容を100覚えていれば何とか行けるものが多かった印象です。教本を見なくても受かる、という意味ではなく、テキストの内容を網羅した上で、知識の補足として教本を読む勉強がいいのかなと。

第1問(ドイツ):B
 
これはテキストに載っていない情報ですが、ドイツの産地を頭に浮かばせ、フランスに面しそうな地域を探せばいけます。ちなみにモーゼル川はルクセンブルグを経由します。

第2問(酒類飲料概論):D
 
ノンアルカクテルです。テキストに載っていない情報で教本には書いてあります。よく見るカクテルの主要構成は来年も聞かれるかも、、、

第3問(イタリア):B
 
ウンブリア州とラツィオ州にまたがっています。またがっているD.O.Pは他にもリグーリアとトスカーナ(テキスト未記載)、ヴェネトとフリウリヴェネチアジューリアで確認できます。ちなみに「Colli」は集落とかそういう系の意味です。

第4問(フランス):A
 
選択肢+Trousseauの4品種です。ヌフに利用できない品種、マデイラに使用する品種とかも同様にマークは必要かなと。

第5問(スイス):D
 
"Oeil de Perdrix"=ウズラの目という意味です。間違えやすいところですと、テンプラニーニョのシノニム"Ull de Liebre(兎の眼)"でしょうか。

第6問(スロヴェニア):B
 スロヴェニアの大きな産地は大きく①プリモルスカ(西)、②ポサウイエ(南東)、③ポドラウィエ(東)で、①は赤/最近活発/沿岸、③は白泡/最大最古/大陸、それ以外は②。
 例えばロゼなら①③該当しないので②。レフォシュクは赤なので①。こんな感じで上記の知識レベルだけでこの国の産地問題はクリアできます。

第7問(チーズ):B
 
有名どころは押さえていた方がいいかなと。チーズは地理的保護を受けた名称のため、村名が名称になっていたり、語源がしっかりしているものが多いので、そこから予測解答ができるものも多い。

第8問(スペイン):B
 
”現在の”がミソ。2019年より3色になりました。

第9問(イギリス):A
 
今回の試験でマイナーなスパークリングの問題が3問でました。最終調整の際に表にして対策する方針立てたため事なきを得ましたが国ごとに熟成期間が異なるし、ドイツなんて法改正して新たなゼクトのカテゴリができてたり、オーストリアはトラディショナル方式とシャルマ方式で期間が変化するので別途対策が必要です。

第10問(アメリカ):D、F
 
今回の正解は講習で「覚えてね」と言われたところにしました。ソノマはA.V.Aに”ヴァレー”とつく傾向が多く、スペイン、ロシアに由来する産地も多いです。ロシアが軍事基地を作っていた縁がありフォートレス(要塞)です。ナパはマヤカマス山脈とヴァカ山脈に挟まれているのでseaviewは除外可能。Bはソノマの新しいA.V.Aです。A.V.AはA.O.Cのように明確に土地を区分するものではないため、A.V.Aの中にサブA.V.Aとかザラにあるので注意です。なんちゃらディストリクトは暗記ですガンバッテクダサイ。

第11問(日本):B
 
北杜市がワイン特区に認定されています。このレベルが瞬殺にならないと試験で死にます。同時期に長野県東御市がワイン特区になっています。ちなみに、Aは中央、Cは東部、Dは長野の天竜川ワインバレーの説明です。

第12問題(南アフリカ):B
 
ケープドクターという乾燥した風が病害虫の繁殖を抑えてくれます。個人的にマイナー国は口頭で以下情報を1~2分で紹介できるようになるとその国の輪郭をつかめて先の理解が深まると思います。
⇨南アフリカなら、場所は?ざっくり緯度?どんな気候?ブドウの主要品種と特徴は?いつ頃からワインづくり始めた?どこらへんで盛ん?
おわりに

さいごに

 WEの試験勉強は80~400時間を要するという話を聞きました。8h/日でも50日は必要となるようで、さらに、試験範囲は年々増え続けています。問題もCBT形式となり、問題はランダムで、出題傾向がわかりづらくなりヤマ張りも難しくなりました。

 ですが、少なくとも一次試験では「絶対量」の知識は必要になると結論づけます。効率的な勉強は必要ですが、最低限の勉強では無理です。約2000文字/頁が敷き詰められた約900ページのある教本が試験範囲なのですから。

 正直ベースでスクールに通わなくても、誰かに師事しなくても一次試験は合格できます。ただ、あの試験範囲を手探りで勉強していくのはかなり消耗するし、競い相手がいないと本当にモチベーションが続きません。

 どのような勉強を選択するにしろ、覚悟を決めて臨みましょう。

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