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総合的な探究の時間 出前講座in盛岡第一高等学校 レポート

盛岡という星でBASE STATIONでは、イベントプログラム「盛岡という星でタンキュー部」をはじめとするBASE STATION内での探究サポートと連携し、高校生のみなさんが、地域の魅力を知り、課題を自分ごととして考えることで、自身の活動を盛り上げていただけるように、高等学校に出向いてプログラムを実施しています。
 
11月7日には、盛岡第一高等学校1学年のみなさんを対象に、盛岡市内でさまざまな取り組みを実践されているゲストから地域課題解決のプロセスを学ぶ講座を実施しました。
生徒の探究テーマや興味・関心に応じてさまざまなノウハウを持った皆様にご協力をいただき、前半は課題解決に関わる活動事例についてご紹介いただきました。

「医療」岩手医科大学 准教授 高田亮さん


「科学技術」株式会社TOLIMS 代表取締役 片野友貴さん、
盛岡市商工労働部ものづくり推進課工業振興係 係長 上森貞行さん


「子ども」岩手県保健福祉部子ども子育て支援室 主査 下川結さん


「デザイン」合同会社ホームシックデザイン 代表社員 清水真介さん


「環境」NPO法人環境パートナーシップいわて 坂下慶夏さん


「経営」 社会保険労務士法人ワイズコンサルタンツ 代表 山本正人さん


「スポーツ」白堊ランナーズ 代表 阿部飛雄馬さん


「音楽」NPO法人いわてアートサポートセンター 古舘順一さん

後半には「探究相談会」ということで、生徒の探究テーマをもとに、今後どんな広げ方ができる?どういうアクションを起こしてみたらいいか?などなど、ゲストのみなさんとの会話の中で探究を深掘りする時間を設けました。例えば、「筋肉は世界の共通言語になるか」というテーマの生徒に対して、ゲストとしてご担当いただいた阿部さんからは、ご自身も走ることを共通言語にしたいとお話しいただいたうえで、「まずは実践してみたら?周りの人に話してみることも、同じ気持ちを持った人や機会とつながるきっかけを与えてくれるかも」というアドバイスをいただきました。
実際に各分野で活躍するゲストのみなさんから、説得力のあるアドバイスで取り組み方の道すじを明らかにしていただいたことで、まずどんなことから取り掛かってみたらいいか、今後の活動を勢いづける後押しになったのではないでしょうか。
 

実際に、生徒のみなさんからは次のようなご感想がありました。

・自分の探究につなげられるヒントを得られたと思います。世の中の出来事に対してアンテナを高くしておきたいです。
・自分の一高手帳に対する小さな引っかかりに対して、実例を踏まえて的確なお話をいただけたことが非常に参考になった。
・私が今探究しているテーマの難しさは、ターゲットとなる人を考えていないことだと、お話をきいて印象に残った。
・連携先を選ぶ際、人脈を大切にして人との会話からきっかけを見出すという視点を大切にしていきたいと思いました。様々なトピックで課題解決を考えられて面白かったです。
・自分達の探究活動の矛盾点や疑問点を指摘してもらえてとても役に立ったし、探究テーマをおもしろいと言ってもらえてうれしかった。
・他との差別化や自分の体験・経験談を通してアドバイスを頂き、改めて「アウトプット」という事がどこまで難しく、そして武器になるのかを感じました。また、最初の時間に聞かせていただいた「差別化」「1位になれるジャンルの一極化」などのように、探究だけでなく様々なことにつながることが印象深く残りました。他の人のアドバイスなども参考に自分の探究をもっと深めていきたいです。
・たくさんの人に知ってもらいたいことを共有するのは難しいことだけれど、できるようにこれから考えていきたいと思いました。個人的には耳が聞こえない人も楽しめる音楽というのが印象に残ったので、それについて掘り下げていきたいと思いました。
・今の私には楽しさを追求することだけでなく、それで社会と何ができるのか、受け取り手においても楽しめているか、そこを考えてやっていくことが大切だと感じました。

このような感想に加えて、参加した生徒のみなさんには、ゲストの方々からお聞きした課題解決の事例をもとに、身の回りで感じる課題と、解決策を自分なりに考えてもらいました。ここではその一部をご紹介します。


高校生が考える「医療」の課題とその解決策

課題:岩手県民は塩分摂取の量が全国で見ても上位となっており、それが原因で病気になる人がいる。
解決策:大切なのは、どの地域にも広めていくこと。塩分を抑えた料理レシピや岩手の特産を使った料理を考える。県内の病院でパンフレットを置いてもらい手に取れるようにする。地域ならではの“市”でそのような商品を売りに出す。

課題:祖母が地方に住んでおり、仮に祖母が急に体調を崩したときに充実した医療とインフラ整備が整っていないと救急車もいけないので地方の医療状況が課題。
解決策:高校生にできることは限られてくるし、大掛かりなことはできないと思うので、現在の医療の課題に対しての知識と解決策を考えて探究活動で発表し、皆にも考えてもらうことが大切だと思いました。また医療だけを発達させても他の要因が絡んで命を救うことができないこともあると思うので考慮する。

 

高校生が考える「科学技術」の課題とその解決策

課題:岩手特に盛岡で、世界で活躍している企業が少ない。
解決策:まず岩手にどんな企業や取り組みがあるのかを知ること。それを別の人にも伝えることが必要。

課題:全世代での共同地域参画があると面白いんじゃないかと思う。反面障壁も多く町のインパクトが残りにくくなっているかなと思う。
解決策:高校生の立場は結構フリーダムなのであれもダメ、これもダメというより、とりあえずやってみるのが大事かと思います。まずは「やってみて、触れて、感じて、つなげる」。

 

高校生が考える「子ども」の課題とその解決策

課題:少子化なのに増税。
解決策:人生ゲームとかを使って、20~34歳までを詰め込んだものをアプリ等でつくり、簡易的な人生体験。 

課題:高校生のうちに自分の具体的なライフプランを考える機会がないこと。
解決策:大谷の目標達成シートみたいに○○のライフプランシートを流行させる。

 

高校生が考える「デザイン」の課題とその解決策

課題:一高の校舎が分かりにくい。外部から来た人が迷う。私達も分からない。
解決策:案内経路(邪魔に感じない&わかりやすいもの)。その場所で出来ることも書く。

課題:盛岡には様々な年代の人が交流したり同じ空間を共有して過ごせる施設がないと感じる。アバウトに言えばおしゃれじゃない町。
解決策:高校生にもできるようなイベントを開いて、多くの盛岡市民の方に「今日のこのイベントみたいな町で毎日過ごしたいなあ」と思ってもらう。資金を確保出来たら大規模にやりたい。今日のゲストの清水真介さんのお話からもっと違う方法を考案できるかもと思った。

 

高校生が考える「環境」の課題とその解決策

課題:最近熊の出没が多い。
解決策:熊が出没する理由を知る。木の実の不作など。熊と出会ったときの対処。熊予報とか。

課題:環境問題についての話を伺っても他人事のように感じてしまうこと。
解決策:今もハト少前で行われている「コンタクトの空ケース回収」のように、あまり手間をかけることなく“それくらいならやってもいいかな…”という段階から働きかける。

 

高校生が考える「経営」の課題とその解決策

課題:アイデアが思いつかない。抽象的に何がしたいかは決まっているが具体的なことが思い浮かばない。
解決策:自分だけで考えずに、他のもの、アイデアを組み合わせて、新しいものをつくる。簡単なことから考えてみる。固執しすぎない。

課題:岩手の最低賃金が全国でワーストなこと。経営のデジタル化などがあまり進んでいなくて、作業効率が悪い?
解決策:山本さんがおっしゃっていたような、企業経営理論の講座があるとしたら積極的に参加したい。また、その知識を活かして、今すぐには出来なくても、自分が大人になってからそういう分野に携わって知識を沢山の人に広めていくことで、岩手県の企業が発展して、賃金も上がっていくのではないかと思う。

 

高校生が考える「スポーツ」の課題とその解決策

課題:自分は野球をやっているのでもちろん野球に興味があるが、野球以外のスポーツに対して興味をあまり持てていなかったり、関心を持てないということ。
解決策:普段から他のスポーツをよく見たり、学校の友達で他の部活をやっている人と交流してみて、知ったり、興味を持ったり、関心を持とうとするアクションを起こすということ。

課題:上の立場(企業のような)からのトップダウンをまっていること。課題解決の対象が一部に限られていること。
解決策:高校生は自治体や企業のように市民に対して企画する立場ではないかもしれないけれど、そういう立場じゃないからこそ高校生としてボトムアップして阿部さんのようにどんどん企画したり発信したり、一部だけではなく老若男女をまきこんで行く方法があると考えました。


高校生が考える「音楽」の課題とその解決策

課題:芸術祭などのコンサートがあること自体知ってる人が少ないと思うので、興味のある人に情報を伝えることが課題だろ思いました。
解決策:自分の周りで音楽に興味がある人を増やすことだと思います。良さを知らないだけで音楽がきらいな人はいないと思うので、クラシックなどを知ってもらうことが必要だと思います。

課題:音楽とか芸術って、みんなに良いと思ってもらえるものって少ないよなって思ってた。みんなで芸術に触れる方法ってないのかな。
解決策:個人的には合唱は好きだから合唱コンテストみたいなのを学校でやりたい。時代背景とか、意匠とかいろんな人の意見をきく機会を作ってみたい。

 

ゲストのお話しをお聞きするというだけではなく、実際に自分自身のとらえた課題や探究テーマとしている内容を踏まえて、課題解決のプロセスについて学びを深めた今回のプログラム。高校生がとらえる課題は、想像以上に身近でリアルなものばかりで、探究活動の時間を活用して、ぜひ実際に解決のためのアクションに挑戦していただきたいと思います。

地域で活躍されている方々とつながってより取り組みを広げたい!というときには、盛岡という星でBASE STATIONをご活用ください。

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