視点を変えるまで その2

我が子への接し方で視点を変えるきっかけになったのは長女の幼稚園を選ぶ時のことです。ちょうど次女が生まれて長女が次女にやきもちを焼くようになっていた頃です。住んでいる所が近くに遊ぶところもなく子供たちもいないところだったので、少しでも子供たちに触れる環境に入れたくてカトリックの幼稚園に電話したときのことです。電話に出たシスターに「子供に期待してはいけません」と言われました。ずっと子供に期待しすぎていた私には、衝撃的な言葉でしたが、私が実際視点を変えるまでには相当時間がかかりました。

そこは「モンテッソーリ」という教育方針を実践している幼稚園でした。わかりやすく言えば子供の興味のあることを何でもやらせる教育です。そして特徴はその教材の豊富さと縦割り教育。登園した子はその日に興味のある教材を使って遊ぶのです。保育参観に行くとお茶を入れている子、数で遊んでいる子、アイロンをかけている子など様々なことをしています。年齢差もなく何の縛りもなく、みんなイキイキとやりたいことをやっていました。

モンテッソーリの幼稚園ではこれからの子供に必要な資質は『柔軟性』と言われました。そして「小さい時に楽しいことをたくさん経験させなさい。そうすれば大人になってつらいことがあっても『人生捨てたもんじゃない』と思えて生きていけるから」といわれました。

この教育方針のせいかこの幼稚園出身者は大学の付属小に合格率が高い反面、学校に行ったとき机にじっとついているのが苦手だったり(今のADHDとは違います)先生の言うことを聞かないで自分勝手に興味を持ったことをやり始めるというのも聞いたことがあります。しかしその因果関係ははっきりしませんし、いつまでもそんなことをしているわけではありません。最近でも将棋の藤井聡太くんがモンテッソーリ教育を受けたということで話題になり、この教育方針についての新しい映画もできたそうです。

このやり方は私の子供教育に対する考えに大きく影響しました。つまり子供のやりたいことをできるだけやらせてやろうと思ったのです。小さい時こそ底辺を広げる時期だと。なので、やみくもに色々なお稽古事をさせるよりも、小さい頃に興味を持ったことを思い切りやらせて自分でやりたいことを見つけてほしいと思いました。モンテッソーリは少なくとも我が家の娘達には様々なことに好奇心を持ち続け、やりたいことには挑戦するという種をまいてくれたと思います。

もう一つ私の教育方針に強く影響を与えたものがあります。それはシュタイナー教育です。子安美智子さんの書かれた「ミュンヘンの小学生」を読んで感銘を受けました。子供の感性を育てようという考えはとても難しく良く理解できないことも多かったのですが大事なことだと思いました。できればドイツに行ってその教育を受けさせたいくらいでしたが、実際にできたのはせいぜいTVをできるだけ見せないとか、長い目で子供を見るようにと心がけたことくらいでした。

それでも付け焼刃の知識や真似事ではうまく行かず、前述のように算数のテストの結果にショックを受けドリルをやらせては、やらないと破り捨てるという馬鹿なことをやっていましたが。シュタイナー教育を実践している学校は世界中にありますが、日本でも根強い支持者がいてあちこちで実践をしてるようですが自主的な運営にとどまっていましたが、2007年時点でとうとう日本でも正式な学校になりそうだと最近小さく新聞に出ていました。今はうまく行っているのでしょうか。

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