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スープに救われた話

プライベートでパートナーに手酷く裏切られたことがあって。
いまはなんとか回復したものの、そのときはしばらく立ち直れず、泣いて暮らしていた。
そんな日々のなか、スープを作って過ごしていた。

きっかけは、cakesでやっていたスープ作家有賀薫さんの連載。
その分かりやすいレシピに興味をひかれて作ってみたら悪くない出来で、分かりやすいお出汁を使わずに作るのが、新鮮でたのしかった。
スープをコトコト煮込んでいると、しわしわした心も落ち着いてくるみたいで、ちょっとしたマインドフルネスなんじゃないかと思ったりして。
できあがったスープも、具材の旨味がじんわり染み込んでくるような、そのときのわたしに寄り添った味で、安心感をもたらしてくれた。
あのとき作ったスープは数えきれないけど、特にピーマンのスープや、キャベツのスープが気に入っていた。
焼き目を付けて、野菜の旨味を味わうスープ。

江國香織の小説に、フィッシュスープをのんだことがある人は強いのだというくだりがある。海の底にいる動物たちの生命そのものみたいな味のするそれをのめば、悲しいことがあっても、動物たちに護られているから大丈夫だと思えると。
私の場合はお野菜だけど、それはお魚でもお野菜でも同じことだと思う。
命そのものを味わうことが、その人によきことをもたらしてくれるという意味では。

いまは、その日々からは離れて忙しく暮らしているので、さっと作れるスープ弁当のレシピ本(これも有賀薫さんのものだ)に助けられている。

もし次に大きく打ちひしがれるような日が来たら、またコトコトとスープを煮込もうと決めている。
そう決めていれば、毎日をなんとか過ごしていける気がするから。

#料理はたのしい

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