古賀弘規

古賀弘規

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  • 小説 コーチ物語

    コーチングのコーチ、羽賀純一。 彼のもとには多くのクライアントがやってくる。 この物語は、羽賀コーチによってクライアントがどのように成長し、羽ばたいていくのかをクライアントの視点から描いた物語である。 現役のコーチングのコーチが描く、人生のエッセンスが詰まった小説です。

  • 幸せな男女関係

    このマガジンでは、毎回幸せな男女関係を築くための考え方についてお届けします。 これから彼氏、彼女を作ろうと思っている方、すでにパートナーはいるけれど、もっと仲良くなりたいと思っている方におすすめの情報です。

最近の記事

コーチ物語 クライアントファイル13「オレが法律だ!」その6

「で、羽賀よぉ、お前どんな魔法を使ったんだよ?」  署に戻り、川上美穂からは一応事情を聞くということで新見がそれに対応をすることに。オレは羽賀とトシを連れて取調室へと足を運んだ。そして開口一番、この質問を羽賀にぶつけた。 「竹井警部、そんなに慌てなくても。今日くらいはカツ丼おごってくれるんでしょ?」 「ったく、しゃぁねぇな。今日だけだぞ」 「あ、ボクもお腹が空いたのでカツ丼をお願いします」  オレはトシをギロリとにらんだ。そのくらい自分で払え、というつもりだったのだが。トシは

    • Cafe Shelly 〜サンタの贈り物〜

      あらすじ 飲んだ人が今欲しいと思った味がする魔法のコーヒーを淹れてくれる喫茶店、カフェ・シェリーが舞台の物語。三年前に事故で夫をなくした真理恵は、息子の裕貴が「パパをプレゼントして下さい」とサンタにお願いする姿に困っていた。真理恵とあるきっかけでは喫茶店のマスターと店員のマイ以外は信じられなくなっていた。だが、同級生の隆史はふざけながらも真理恵のことを見守っていた。そしてクリスマスイブ、カフェ・シェリーでのパーティーにサンタがやってきた。真理恵はそして裕貴はサンタに何をプレゼ

      • コーチ物語 クライアントファイル13「オレが法律だ!」その5

        「これでよし。このマイクでお前と新堀の会話はこちらに全て聞こえる。やばそうになったら有無を言わさず乗り込むからな。安心しろ」  料理研究会の白石幸子の娘、川上美穂を取り戻すために、羽賀はこれから紅竜会の若手幹部である新堀順司と会いに行く。新堀はコーチングに興味を持ち、羽賀に会うことを希望している。その話を持ってきたのが、新堀の大学の後輩である葉山敏博、通称トシという男だ。  さすがに民間人だけに任せておくのは危ない。そのため、オレは隠しマイクを羽賀に取り付け、新堀との会話を聞

        • コーチ物語 クライアントファイル13「オレが法律だ!」その4

          「実は羽賀さんに会わせたい人がいるんですよ。ボクの大学の先輩なんですけど。ちょっと変わった人で」  トシってのがゆくりとソファに座りながら羽賀に語り始めたわ。 「変わった人って、どんなふうに?」 「えぇ、なかなか頭のいい人なんですけど、今ちょっととあるところに就職していてですね……」  そう言いながらオレらの方をちらちらと見るトシ。 「なんだよ、オレ達に聞かれたくねぇって感じだな」 「あ、いえ、そうじゃないんですけど……でもなんか警察の人がいる前では言いにくいかも……でも、ま

        コーチ物語 クライアントファイル13「オレが法律だ!」その6

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        • 小説 コーチ物語
          110本
        • 幸せな男女関係
          21本

        記事

          コーチ物語 クライアントファイル13「オレが法律だ!」その3

          「よし、行くぞ」 バタン 「警察だ。覚醒剤所持の疑いで今からこの部屋を家宅捜査する。みんな、動かないで」  部屋に踏み込むと、そこには四人の若い女の子がいた。ファッション雑誌が部屋に転がって、テレビがつけられている。中にはヘッドフォンで音楽を聴いている子もいた。  みんなギョッとした表情。どうして警察が踏み込んできたのかわからないといった感じだ。 「おい、この子たちの身元を確認してくれ」  オレはそう言いながら一人ひとりの顔を確認した。だが残念なことに羽賀から身柄の確保を頼ま

          コーチ物語 クライアントファイル13「オレが法律だ!」その3

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント2 オレのやり方

           昼の居酒屋。まだ店内は静まり返っている。オレは一人で黙々と仕込みの準備。実は見習いの板前がいたんだが、ついさっきまでの会話を思い出していた。 「もう大将のやり方にはついていけません。今日限りで辞めさせていただきます!」 「おう、おめーのような根性無しはこっちもごめんでぇ。とっとと出て行きやがれ!」 「はい、そうさせて頂きます。短い間でしたがお世話になりましたっ!」  そう言ってバシッと入り口の引き戸を叩くようにして去っていった見習い。まったく、今の若けぇやつらは根性がねぇや

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント2 オレのやり方

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント3 私の役割

           いつもの朝、いつもの場所。そしていつものように仕事が始まる。今日も店頭に飾られたお花からいくつかのものを選び、それをアレンジして飾っていく。これが私の仕事。  フラワーショップ・フルール。ここが私、吉田恵子の勤め先。私よりも一回り近く年下の舞衣さんが店主のこのお花屋さん。舞衣さんのお母さんがやっていたころからここに勤めて、そしてフラワーアレンジメントを行なっている。舞衣さんのお母さんにこの仕事を教えてもらい、技術を磨いて今に至る。これが私の役割だって思って、このお店の役に立

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント3 私の役割

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント4 愛する人へ

           ふぅ、ったくわかりづれぇところに事務所を出したもんだな。それにしてもこんなチンケなビルの二階とはな。昔のあいつだったら、高層ビルのおしゃれなところか、街の真ん中に出すところだろうけど。あいつも変わったなぁ。  なるほど、一階が花屋か。薄汚れたビルでもちっとは華やかに見えるな。 「えっと、ここに二階、二階……あ、ここか」  二階の扉には何の看板も掲げられていない。ホントにあいつ、仕事やってるのかな? 「おい、羽賀ぁ、いるか。おーい」  ドンドンと扉を叩いてみるが、何の反応もな

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント4 愛する人へ

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント5 対決!ファシリテーター

           朝九時。携帯電話の呼び出し音がけたたましく部屋に鳴り響く。  この時間、私にとってはまだまだ早朝に当たる。昨日は佳子のやつがもう一軒なんて誘うもんだから、ついハメをはずして飲み過ぎちゃったし。 「ハイハイ、もうちょっと待ってよ……」  布団の中から手探りで枕元においたはずの携帯電話を探る。けれど手の届く範囲にそれはない。 「ったく、うるさいなぁ……」  眠気よりこのうるささのほうが勝ってしまった。私は仕方なしに上半身を起こして、目をこすりながらあたりを見回す。 「あ、あそこ

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント5 対決!ファシリテーター

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント6 疾走!羽賀コーチ

           はぁ、はぁ、はぁ。こ、こんなに走ることになるとは……。追っ手はとりあえず巻いたようだな。風呂敷に包まれた荷物を胸に抱え、夜の街を右に左に走っていく。普段からこんなに走ることなんかないから、もう息が上がって……とりあえず暗い路地に身を隠し、体力の回復を待つことに。  あの人のところまでもう少し。あそこまで行けば落ち着くはずだ。あとはあの人に任せればいい。  ネクタイをゆるめ、一番上のボタンをはずす。営業マンとしてこんなにだらしない格好はご法度なのだが。今は事態が事態だからな。

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント6 疾走!羽賀コーチ

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント7 明日は晴れ!

          「じゃぁ、軽部のやったことを見逃したってのか?」 「見逃すも何も、軽部くんは何もしていないよ。ただ紅竜会のチンピラに連れ去られた彼女をボクと一緒に助けに行った。ただそれだけのこと」  羽賀さんの事務所。私は羽賀さんを尋ねてきた唐沢さんとの会話を聞きながらお茶を入れている。時間はもう夜の八時を過ぎている。 「それにしても羽賀くんらしいわね。でもそんなことでこれから大丈夫なのかしら?」  もう一人、和菓子をおみやげに持ってきたファシリテーターの堀さんもいる。 「舞衣さんも早く来て

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント7 明日は晴れ!

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント1 舞い降りたコーチ

          あらすじ コーチングのコーチ、羽賀純一。以前は地方都市にある大企業、四星商事のエリート営業マンであった。数々の功績を残しつつも、とあることがきっかけで会社を辞め、東京でコーチングの修行を行い、元住んでいた地方都市へと舞い戻ってきた。そこでさまざまなクライアントと出会い、周りの人の力も借りてコーチングで問題を解決していく。それが四星商事時代の後輩である軽部、そしてかつての上司である畑田専務の目論見を意図せず邪魔をすることに。その結果、羽賀コーチと四星商事の対立となってしまった。

          コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント1 舞い降りたコーチ

          幸せな男女関係「男も女もお互いに哲学者であれ」

           ギリシャの哲学者、ソクラテスの言葉にこんなものがあります。 「ともかく結婚せよ。  もし君が良い妻を持てば、幸福になるだろう。  もし君が悪い妻を持てば、哲学者になるだろう」  これは男性に向けた言葉ではありますが、妻を夫に変えればまったく同じことが女性にも言えます。  もちろん、私たちは幸福になりたいです。だから、「良い妻」「良い夫」を 結婚相手として求めるでしょう。  しかし、結婚前まではお互いに「良い妻」「良い夫」と思っていても。結婚 生活を続けると、いつの間

          有料
          100〜
          割引あり

          幸せな男女関係「男も女もお互いに哲学者であれ」

          コーチ物語 クライアントファイル13「オレが法律だ!」その2

          「実は私のクライアントの娘さんなんですけど。高校二年生で、夏休みに入ってからちょっとあやしい連中とつきあい始めちゃったらしいんですよ」  まぁよくある話だな。特にまだ若い連中は身の危険も考えずに、今が楽しけりゃいいってなるからなぁ。 「さすがにクライアントさん、あ、その子の母親なんですけどね。これはやばいと思って忠告をしたんですが……」 「腹を立てて家出をしてしまった。おおかたそんなところだろう?」 「さすが、竹井警部。で、問題はその家出先なんですよ。幸い携帯電話にGPSがつ

          コーチ物語 クライアントファイル13「オレが法律だ!」その2

          コーチ物語 クライアントファイル13「オレが法律だ!」その1

           ったく、なんでこんなに事件が多いんだよ。おかげでまともに家に帰りゃしねぇや。おっと、どうやらまたお呼びだ。 「警部、竹井警部、また取り調べをお願いできないですか?」  ほらきた。最近はなぜかこの役目がオレに回ってくることが多いんだよなぁ。 「このくらいお前らで処理しろよな。オレはオレの事件があるんだから」  そう言いながら重い腰を上げて取調室へ向かう。そういやいつからこの役目がオレに回ってくるようになったんだっけな。そうそう、あいつとつきあい始めてからだ。ったく、あいつとつ

          コーチ物語 クライアントファイル13「オレが法律だ!」その1

          コーチ物語 クライアントファイル12 ミクの恋愛物語 その8

          「確か今日がトシくんの退院の日だったろう。ミク、病院には行かないのかい?」  あれから二週間。私は羽賀さんのところに行く前には必ずトシのところに顔を出すようにしていた。そして今日、トシの退院の日。 「うん。妹の百合さんが付きそうって言ってるし。それに私が行っても役に立たないだろうしね。でもその足でそのままこっちに来るって言ってた。百合さんも羽賀さんに会いたいらしいしね」 「えぇっ、ミク、そんなことは早く言ってくれなきゃ。えっと、こんな格好で大丈夫かな?」  羽賀さん、若い女の

          コーチ物語 クライアントファイル12 ミクの恋愛物語 その8