クリスマス反省会
昨日までの世間のクリスマスムードから打って変わって、最早世の中は年末ムードまっしぐらです。もう一週間もしなうちに次の年がやってくるなんて、一年はあっという間に思います。
さて、そんなクリスマスの反省会として今年は高島屋の配達ケーキがボロボロになるという事件が発生しました。
「大手百貨店だから大丈夫だろう」という購入者をあざ笑うかのごとく、ボロボロな状態で届いたケーキの画像がSNSに溢れています。高島屋は返金対応も実施すると表明していますが・・・。
現代の冷凍技術の進歩はすさまじく、そんな簡単には崩れることなどありません。しかし、冷凍ケーキがあんなボロボロの状態になるということは、どこかで温度管理が悪かったのでしょう。
今日はそんなクリスマスの反省会として、クリスマスケーキにまつわる話題を一つ・・・。
クリスマス時期、繁華街や百貨店、ショッピングモールの店先でケーキを販売する姿が目立つようになりました。 クリスマスは家族でケーキを食べる。そんな昭和から変わらない定番の過ごし方ですが、クリスマスケーキに対する消費者の意識と、それを取り巻く商環境は大きく変化しました。
商環境が大きく変化した原因としてはコストプッシュインフレがその背景にあります。 コストプッシュインフレとは、原材料やエネルギー価格の高騰によって物価が上昇することです。
賃金上昇が物価高に追いつかないため、買い控えが広がって企業の利益を圧迫。企業は賃金アップを図ることができず、人々の消費意欲が減退するという悪循環を招きます。
総務省統計局の小売物価統計調査によると、砂糖1kgの価格は1年で15.9%、バターは9.6%、チョコレートは6.8%上昇しています。 原材料高の影響を真正面から受けている会社に一つが不二家です。
2023年1-9月の洋菓子事業は23億4700万円もの赤字を出しています。前年同期間は9億円の赤字でした。赤字幅が大幅に拡大しています。 不二家はこの期間に店舗数が13店舗も減少しています。
それに伴って売上高は1.5%下がりました。不二家はフランチャイズ加盟店が全体の7割を占めています。加盟店は仕入先を変更して経営改善に努めるといった自由がほとんどできません。つまり経営不振を脱却する術が限られるのです。
しかも今はアルバイトの人件費も高騰しています。この状態が続くと、加盟店は店舗運営を継続する体力を失い、更なる店舗縮小に拍車がかかる可能性もあります。
そんな不二家はクリスマスケーキの値上げを進めています。「クリスマスプレミアム濃厚ベイクドチーズケーキ」は4300円。昨年は3900円でした。1割近い値上げです。
不二家はレストランのケーキ食べ放題の価格を500円程度値上げしましたが、店頭の定番商品は2022年に入っても価格改定を行っていません。最も稼げるクリスマスシーズンに勝負をかけたというところでしょう。
実はクリスマスケーキの価格が昨年と変わらない会社があります。それがサーティワンアイスクリーム。店舗によってケーキの価格は若干変動するものの、6号サイズの「クリスマス パレット8」は、今年も昨年と変わらず4500円で販売しています。
サーティワンの売上高全体に占めるケーキの比率は、1~2割程度。大部分をアイスクリームが占めており、ケーキの値上げを行って客数減のリスクをとる理由がありません。しかも、今年は猛暑だったこともあり、一店舗当たりの売上高が過去最高を記録。
25か月連続の既存店売上高増を達成し、2023年1-9月の売上高は前年同期間比12.9%増の188億1000万円、営業利益は同1.0%増の19億3700万円となりました。営業利益率は10.3%でした。足元の業績は絶好調なのです。
同社は一時業績が低迷し、営業利益率は2%台まで低下していました。秋から冬にかけても暖かい日が続いており快進撃を続けています。
そして実はサーティワンの大株主が不二家であり、43%超の株式を保有しています。サーティワンは不二家乳業などグループ会社を通して仕入れや製造委託を行っているのです。
そんな不二家とサーティーワンの関係はさておき、コストプッシュインフレによるクリスマスケーキ、来年はどんな模様になっているのでしょうか。
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