オジサンたちは若い人たちに経験を伝えよう!

1.はじめに

『賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ』と言われています。
広義に解釈すると、この歴史とは歴史書であったり、人生の先輩である高齢者であったりすると思うのです。若い人たちが積極的に高齢者に教えを請うのか、高齢者が主体的に若い人に経験や知恵を伝授するのか、あるいはたまたま出会った若者と高齢者がお互いにもっと話を聞きたい・話したいと思うようになるのか、そのシチュエーションは色々ありそうです。

2.若い人に経験や思いを伝えて!

参考図書1、『<育てる経営>の戦略』p.201には、”どうか、自分たちの経験や思いを若い世代に伝えてやって欲しい。・・・(中略)若い人は社会や会社のことは何も知らないのだ。”とあります。
昭和のオジサンとZ世代の若者とでは、話が合わないのは容易に想像がつきます。職場の飲み会があってもオジサンと一緒に二次会には行きたくないでしょう。それでも、オジサンたちは”自分たちの成功体験や失敗体験、そして、自分たちがどんなときに仕事のやりがいを感じ、どんなときにやる気を失ったのか、自分たちの体験を伝えるべきなのだ。”(同書p.202)とあります。まさにその通りだと思います。サービス残業も厭わず、がむしゃらに働いてきた昭和の時代。労働時間が厳しく管理される令和の現代。時代環境が違いすぎるでしょう。だからこそオジサンの体験を伝えて、学ぶべきところ、真似してはいけないところなど意見を交わし、生き方や考え方、価値観の多様性等を認識しあって欲しいと思います。
参考図書2『ユダヤ人大富豪の教え』p.197には”人は本来誰かを助けたいものだ”とあります。昭和のオジサンは体験を伝えることで若い人を助ける事になります。そこに喜びを感じることができるはずです。

3.「失敗体験」ではなく「アドバイス事例」を

同書では「失敗体験」という表現になっていますが、この表現には気を付けた方が良いと思います。
現役時代、”同じ失敗を繰り返さないために”と社内で大々的に「失敗事例」を募集したことがあります。ところが、1件も集まらないのです。誰しもが、自らの失敗体験を公開したくなかったのです。
そこで、”こんな場面でこう対策すればこんなミスを回避できますよ”という趣旨の「アドバイス事例」という名目で募集することに改めました。すると、続々とアドバイス事例が集まりました。本当は誰もが、自分の経験を仲間に伝えたかったのだと分かりました。
オジサンたちは経験知を若い人たちに話したいはずです。その機会があればいくらでも話すと思うのです。逆に、若い人はオジサンたちを掴まえて質問攻めにしても良いでしょう。

4.田舎の残念だった点・・・情報をくれる大人がいなかった

近くにスーパーも本屋もない山間部で生まれ育った私は、小学校から帰ると自宅の竈で燃やす柴を拾い集めるために(桃太郎に登場するおじいさんみたいに)裏山で柴刈りをしていました。当時の小学校の校舎脇には二宮金次郎の像があり、尊敬していたものです。TVは白黒、ネットもスマホもない時代、”あの山々の向こうには何があるんだろう”とずっと思っていました。
今から思えば、あの山の向こうにある様々な情報を教えてくれるような大人が周りにはいなかったことが田舎の残念な点だったと思っています。

5.おわりに

昭和のオジサンとZ世代の若者、年齢は親子ほど違うかもしれませんが、この同じ日本に生き、同じ時間を生きる者どうし、教えあって助け合って生きていけたらいいなと思います。

6.参考図書

(1)高橋信夫、『<育てる経営>の戦略~ポスト成果主義への道』(2005年、講談社選書メチエ)
この本は経営層や人事担当者が読むような内容ですが、高齢者になって読み返してみると新たな視点に気づかされました。自分の専門外の本でも手にしてみると新たな視点や考えるヒントに出会えるかもしれません。
(2)本田健、『ユダヤ人大富豪の教え』(2006年、だいわ文庫)
                          
                             以上


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