[短編小説]白い犬

私には仲良しの姉妹のようなペットがいました。

名前はユキ。

少し白いふかふかした毛。
ピンと立った耳。
クリっとした目。
体は中くらい。
とても優しくてかわいい女の子。

とても賢くて、私のお姉ちゃんのような存在でした。

一緒に散歩に行ったり、
水浴びをしたり、
おもちゃで遊んだり
時には喧嘩なんかしたりして
遊んだのをよく覚えています。

時が過ぎて
私が大きくなっていくにつれてユキはどんどん年を取っていった。

毛の艶もなくなって、
耳も垂れちゃって、
足元はフラフラで、
散歩もあまり遠くに行けなくなっちゃって。

心配して家族で連れて行った病院では
「もう十分なお年寄りですからね。もう年なんでしょう…」
とお医者さんから言われちゃったね。

それでもユキは私たちに弱い姿を見せまいと
いつも
いつも私や家族に会うと目いっぱい尻尾を振っていましたね。

そんな日々がずっと続くと思っていたのに。

ある時ユキはいなくなってしまった。

もうおばあちゃんだったのに。
どこにそんな力があったのか
つないでいたリードを噛み切り、逃げ出して行方知れずになってしまった。

そんなに遠くに行く力もなかったはずなのに。

みんなで家の周りも、家から随分遠い場所も必死になって探したっけ。

家族でいつか帰ってくるんじゃないかって待ってたっけ。

それでもいつまで待っても貴女は帰ってこなかった。

ああ、貴女は元気に過ごしているだろうか。
私はいつでもあなたの帰りを

ずっと

ずっと

ずっと待っているからね。


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