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読書感想文 『成瀬は天下を取りに行く』

宮島未奈さんの本。これがデビュー作。
この記事だったか、どこかでインタビューを見かけていて、今日本屋さんに行ったときに、これか!と平積みから購入。
GWで断食道場的なところにこもっている最中(外出は自由)だったので、明るくてまっすぐな爽やかなお話で気を紛らわしたくて…。

期待通りの、まっすぐな成瀬の爽快感あるお話でした。3時間くらいあれば読みきれると思う。互いに関連のある短編が6編。うち4編は書き下ろし。一つの世界をさまざまな視点で描きながら追っていく感じで、個人的に好きな構成でした。
コロナ禍の日常を切り取っていて、10年後の中学生が読んだらわかるのかな?前はこんなんだったのかと都度気付きながら読み進める感じになるような表現もあり、それもまた味わい深いなぁと思ったりしました。

成瀬のものの見方、振る舞い方はすごく"事実を事実として捉えてる"感じがして、つい最近聞いた話にもつながるなと思ったので書いて残しておこうと思って久々にnote開いて、今です。

この、一休さんのエピソード。"まっすぐに見る"ことに関するもので、ありの〜ままの〜というトレンドにも繋がるものがあると思ってたんですが。

成瀬は中学校のクラスで起こる女子同士の関わり合いの変化とか、高校の部活で知り合った他校の男子の発言とかについて、何も勘繰らずに、そういうものとして、解釈をせずにまっすぐに受け止めている。そこに(こういう発言をするということは、こういう意図があるのかもしれない)いう"邪推"はない。
それが成瀬の、ああだこうだと必要以上に心かき乱されることなく、自分の信じるものを追い続けられる芯の強さに繋がってるのかも?にわとりたまごかな。

世の中では、意図を汲むとか考察するとかに秀でている方がベター、ポジティブに受け止められている気がしているけど、実はそれもTPOによるというか、基本は成瀬/一休さんのスタンスで、必要に応じてそういうスキルをコントロールしながら使うのが自分にも相手にもいいのかなぁとヒントをもらう一冊でした。

追記
成瀬、脳内では新しい学校のリーダーズすずかちゃんで再生されるのは私だけでしょうか?


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