文系大学院1年生の前期を振り返る①【研究編】

皆さん、こんにちは。9月に入りました。8月は何も投稿できませんでした・・・。バイト先の塾の夏期講習(1日10時間×9日間)、帰省、インターンと忙しく過ごしていました。9月はもう少しゆとりができるといいのですが・・・。


今日のお話~この半年を振り返ろう

今回は、法学を主専攻とする文系大学院1年生の前期を振り返ります。この記事の主たる目的は、私の「ガクチカ」(学生時代頑張ったこと)探しです。そろそろ、就活が本格化すること、そして、公務員試験に向けての勉強が本格化する時期に、しっかりと自己分析をしようという趣旨です。もっとも、このような意味だけでなく、この記事を読んだ大学院(特に、文系)進学希望の方(あるいは、進学予定者)に対して、文系大学院生の日常生活につき参考たりえるものを提供するという趣旨もあります。さらに、希少種たる?文系大学院生につき、世間一般の皆さま方に発信していきたいという想いもあります(なかなか文系大学院生あるいは文系大学院出身者に遭遇する機会はないと思われますので・・・)。

まずは、研究の話から

まずは、大学院生の「本分」たる研究の話から。2023年前期の間にしてきたことは以下のようなことです。

4月~6月中旬:研究テーマ(ざっくりとした分野・テーマ)の決定
6月中旬~:先行研究の調査

研究テーマの決定(4月~6月中旬)

大学院入学後から6月中旬までは、ざっくりとした研究テーマ・分野を決める作業をしていました。私の主たる専門分野は【刑事法(特に、刑法学)】です。しかし、刑事法(刑法学)内においても、様々なことが議論されています。例えば、特殊詐欺事件における詐欺(未遂)罪(あるいは窃盗(未遂)罪)の成立時期(細かく言うと、いつの時点で詐欺の「未遂」が成立するか)、AI(自動運転)の刑事責任(自動運転車が事故を起こし、被害者が死亡した場合、誰が刑事責任を負うのか)、名誉棄損罪や侮辱罪といった名誉に対する罪とSNSの関係などなど・・・様々なことが研究者間で議論されています(具体例は、刑法をあまり知らない方でもとっつきやすいものを選んでみました)。

研究テーマを決定するために、以下のことをしていました。

①どんな論文を読むか―研究のトレンドを探る
②論文を読む
③論文の内容をノートにまとめる

【①どんな論文を読むか―研究のトレンドを探る】
論文を読もうにも、まずは、どんな論文を読むか決めなければなりません。そのためには、研究の「流行」を探る必要があります。社会一般において、服や食べ物、言葉、タレント・芸能人など「流行」があります。例えば、お笑い芸人の世界では、「錦鯉」「見取り図」「ニューヨーク」(敬称略:敬称があるかはわかりませんが)といったコンビをよく見ます。食べ物では、「10円パン」などが流行しているそうです(私は、流行に疎い人間なのでよくわかりませんが)。このような感じで、様々な分野・世界において「トレンド」が存在します。

当然、法学(刑事法学)の世界においても「流行」「トレンド」があります。まずは、刑事法学の世界でどのような研究が流行しているのかを調査しました。

では、どうやってトレンドを探るのか。法学の世界ではおなじみ?の雑誌「法律時報」を使います。「法律雑誌」12月号で、「学界回顧」特集が組まれます。1年間にどんな論文が世に出たか、また、注目すべき論文は何かが示されます。まずは、数年分それを手に入れます。そのうえで、どんなテーマがよく研究されているかを調査しました。そして、どんなテーマの論文を読んでいくかを決めました。

【②論文を読む】
次に、論文を読みます。研究テーマを決定する段階なので、比較的短い(であろう)論文を中心に、各テーマ3~5本読みました。この作業の目的は、学説上いかなる議論がなされているかなので、論文の著者の主張・見解は当然、学説上の議論も把握するように努めました。

【③論文の内容をノートにまとめる】
②で読んだ論文の内容をノートにまとめました。wordにまとめてもよかったのですが、手書きノートにしました。手で書くことで、より論文の内容を理解しやすくなること、個人的にこちらの方が作業しやすいことなどを考慮した結果です。

この段階では、以下のことに留意していました。
・研究者間の議論も簡潔にまとめる
・各研究者の見解・主張の問題点を探る
・テーマにおける問題点、争っている点を探る
・なるべく、簡潔に(ノート見開き1ページ以内)する

この段階では、「研究テーマを決める」という大きなゴールがあります。そのゴールにたどり着くために、テーマ自体の問題点、論点(争っている点)をまとめました。そのため、細かな部分はノートにまとめないということを心掛けました(でないと、時間がかかりすぎます)。

こういった作業を通して、ざっくりとした研究テーマ・分野を決定しました。

先行研究の調査(6月中旬~)

6月中旬以降は、研究テーマに関する「先行研究」の調査を行っています。「先行研究」とは、自分が研究しようとしているテーマと同じ分野で先に発表されている研究のことをいいます。漢字の意味をそのままイメージしてください。

そのテーマでどんなことが研究されているかや、どのようなことが主張されているのかを整理することで、どんなことが研究されていないのか、または、先行研究の弱点・課題を抽出することができます。それによって、具体的な研究内容を決定することができます。

先行研究の調査では、以下のようなことをしています。

①論文を読む
②論文の内容を整理する
③カテゴリーごとに研究者の見解を整理する

【①論文を読む】
研究テーマの論文を読みます。研究テーマの決定段階では、まず、読む論文そのものから決めます。しかし、この段階では、cinii等でどんな論文があるか検索することができます。読む論文を決定するのは大変ではありません。比較的最近(2010年代以降)に発表されたものや、そのテーマで有名な論文(注を見ればわかります。繰り返し引用されているのがわかるので)を中心に読みます。

【②論文の内容を整理する】
論文を読み終わると、その内容をノートに整理します。引き続き、手書きノートにまとめています。

この段階では、以下のことに留意しています。
・論文で、どのようなことに問題意識を持ち、どのようなことを論じているのかを把握する
・研究者間で、どんな議論が行われているのかも把握する
・著者の見解も当然整理する

この段階では、【研究テーマの決定】よりも細かく論文の内容を整理します。もっとも、細かすぎるとまとめるのが大変なので、その塩梅が難しいところです。

【③カテゴリーごとに研究者の見解を整理する】
各論文の内容を整理して終わりだと、学界全体がどのようなことに問題意識を有しているのかなどがわからなくなります。なので、カテゴリーごとに論文の内容を整理します。

まずは、カテゴリーを決定します。カテゴリーとは、分析の軸となるものと考えてください。
これが意外と大変でして・・・。というのも、この作業では、研究テーマを鳥瞰する必要があります。先ほどまでとは異なり、かなりマクロ的な視点に立たなければなりません。そのうえで、論文の大枠を振り返りながらカテゴリーを決定します。「鳥瞰的な視点」に立つのが大変でした・・・。

あとは、カテゴリーごとに各研究者の見解を整理します。

今はこの作業をしているところです。

今日はこの辺で・・・

この時点で約3000字。研究に関してはこの辺で。このnoteを見て、少しでも文系大学院生が普段何をしているのかがわかっていただけたなら、大変ありがたいです(希少種たる文系大学院生の日常を世に広めるという謎の使命感を持ってnoteを始めたので)。

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