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生成AI使いこなしの前に仕組み化について調べた

生成AI、いいですよね。

いわゆるプロンプトエンジニアリングのテクニックは、一週してきた感があります。
そろそろ「自分の業務をどう切り出してAIに渡すのか?」を考えなくちゃな〜という感じです。
これって、言ってしまえば、古くからある「業務の仕組み化」だと思います。
というわけで、「仕組み化」について色々調べてみました。


仕組み化って何なの?

仕組み化とは、個人的なイメージでは「アウトプットの上振れを取り込み、下振れを減らすためのアセットづくり」だと思います。

人間がなにかをつくるときには、いろんなブレが生じます。
「スキル・やる気・記憶」といった不確実要素によらず、質の高いアウトプットをラクに出せるようにしたいです。


人から不確実性を引き剥がすための方法として、「チート戦略」「習慣化戦略」「意識化戦略」の3つを考えます。

チート戦略は、そもそも人にやらせない。(システムにやらせるなど)

習慣化戦略は、人が無意識にやりやすくする。

意識化戦略は、人が意識的にやりやすくする。

行動を変えるデザインより

他に似た考えとして、リスク管理の4象限(回避・転嫁・低減・保有)もわかりやすくてスキです。

回避は、そもそも起こらないようにする。(フールプルーフ)

転嫁は、別の人にリスクを負わせる(保険会社など)

低減は、起こったときのダメージを少なくする(フェイルセーフ)

保有は、リスクをそのままにする

リスク管理の4象限より

どちらにも共通しますが、そもそもやらない/起こさないことが大事ですね。孫子もそう言っています。


仕組み化のものすごく素敵なイメージとして、敬愛する深津貴之さんの図を引用してみます。
ここでは、ユーザーが投稿で炎上を起こさないためのシステム(仕組み)を考えています。そのために、炎上発生のプロセスを整理し、手前から防ぐ思想で優先順位づけをしています。ここまで分けられたら、いろんな対策(仕組み)が思いつきます。

深津さんの「すでにやらかしてる」から引用、神整理

仕組みに落とし込む

ここまでで、仕組み化のイメージは湧いてきた気がします。
では、どうすればいいんでしょう?


まずは、アウトプットを生み出すためのタスクを洗い出すところからです。

続いて、タスク遂行の解像度をあげてみます。このへんはI-P-Oにいろいろ勝手につけ足してみました。
特に、タスク遂行の質をあげる要素を充実させると、横展開もしやすそうです。

インプット:アウトプットの材料・作成に使えるリソース
プロセス:インプットをアウトプットにする手順
アウトプット:今回つくるもの
アウトカム:アウトプットで満たしたいユーザーのニーズ

タスク遂行の要素

レシピ:プロセスの見本
完成見本:アウトプットの見本
テンプレート:穴埋めでアウトプットが作成できる(論点一覧)
評価基準:アウトプットがクリアすべき条件
理論:インプット・プロセス・アウトプットの質を高めるために使える理論やメカニズム

タスク遂行の質をあげる要素


タスク遂行の解像度をあげるには、KPTやYWTといったふりかえりで、うまくいった/いかなかったことの明文化と、次に活かすことができればと思います。
また、勉強会や社内SNSでの報告などの機会があり、(ちゃんとみんながやると…、)形式知化が進みます。

こうやって、上振れや下振れを取り込んでることが大事ですね。

また、形式知化できていると、生成AIに渡しやすいはずです。

ここまでできたら、誰にやってもらうかを整理します。

選択肢は、下記の通りです。

人間がやる(自分でやる or 外注)
機械にやってもらう(DX)

チート戦略(機械にやってもらう)

合理的なコストで、機械にやってもらえるならそのほうがいいですよね。チート戦略で、人が介在することで起こるミスを減らせます。
機械が得意なのは、繰り返しの作業や大量のデータを読み込むことです。発生頻度が高ければ、置き換えたときのメリットは大きくなります。

言わずもがな、生成AIの進化でどんどんできることは増えてると思います。
先程も少し話にタスク遂行の解像度をあげておけば、生成AIとつくるアウトプットの精度は高まります。

few-shotが完成品見本に、chain of thoughtがプロセスにそれぞれ対応しています。その他、インプットや理論を入れても、精度が高まりますよね。(AIだけに任せることは当然できないので注意です)

こうやって機械にやらせる方法を導き出し、機械を導入できれば、強力なアセットになりますね。まさに仕組み化です。
一時期盛り上がったRPAや身近なエクセルのマクロも、このへんの話ですね。

一方、機械にやらせないほうが合理的なケース(コストや責任)ももちろんあります。
また、あえて人間がやることで付加価値を出すのもあります。
ちなみに、外注するかどうかは、自分(たち)にノウハウをためたいか次第で判断できそうです。


人間がやるときには、習慣化戦略と意識化戦略をとります。

意識化戦略(なんとか頑張って人を動かす)

まず、意識化戦略についてです。

人間が行動をおこすまでにクリアする条件として、「キュー」と「反応」と「評価」「アビリティ」「タイミング」の5つの要素があります。(5つも!)

あっ(キュー)
やりたいなあ(反応)
やったらいいことあるかなあ(評価)
やれそうだなあ(アビリティ)
今やりたいなあ(タイミング)

「行動を変えるデザイン」より引用、こちらも神書籍

例えば、15時になり、小腹が空いて、戸棚にお菓子があれば、つい食べてしまいます。
ここで、家にお菓子がなくてコンビニまでいかなくてはならない(アビリティ低い)となると、行動する確率は下がります。

CREATEのそれぞれについては、下記のような対策が打てます。
ただし、5つすべてをクリアしてもらうのなかなか難しいですね。

こちらも行動を変えるデザインより

無意識化戦略(習慣のチカラで人を動かす)

そこで、無意識化戦略です。
習慣化することで、CREATEモデルにおける「評価」「アビリティ」「タイミング」をスキップすることができます。これは強力です。

そのためには、きっかけ→ルーティン→報酬の流れを強固にすることが必要です。

具体的には、「動機を高める」・「行動を促す」・「フィードバックループを生成する」・「競合を排除する」・「障害を取り除く」の5つがとれます。

特に仕組み化っぽい話でいうと、インセンティブのあるルールを設けたりする、でしょうか。

また、競合の排除として、ライバル行動を持たせる考え方も便利です。

行動デザインシートでは、望ましい/望ましくない行動に対して、対になる行動を用意します。

例えば、カロリーの高いお菓子をつい食べすぎてしまう場合は、「歯の健康によいガムを代わりに食べる」ようにする、とかよさそうです。

ちなみに、悪い習慣をやめさせるのがもっとも難しいらしいです。

おわりに

仕組み化の話をしてたはずが、行動を変えるデザインの話ばかりになってしまいましたが…、
いかにアセットを整備して、自然と良い方向の行動をとる確率を増やせるかが大事だと思いました。


参考文献









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