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「キャリア」ページから応募しないで!リファーラル制度のすすめ

転職したいなと思い始めたら、まず他社の求人情報を探す方が多いでしょう。良さそうな求人の募集要項を見つけたら、応募時に必要となるレジュメを用意します。さあ、レジュメを書き終わったらいよいよ応募する時が来ました!その会社の「キャリア」ページをクリックして、「応募」ボタンを押しま…ちょっとお待ちください。実はこれ、本当にもったいないんです。

この記事では、複数の外資系企業で転職を成功させてきた経験に基づき、リファーラル制度とは何か、どんなメリットがあるかをご紹介します。

P.S. リファーラル制度を紹介する側として活用したい場合は、以下のnoteにポイントをまとめておりますのでぜひご覧ください。

外資系企業の採用プロセスと関係者


ここで一歩下がって、外資系企業の採用プロセスと関係者を俯瞰してみてみましょう。まずは採用プロセスの関係者から見ていきます。企業内ではどのような方がどんなパワーバランスで動いているかを知ることで、より効果的に採用プロセスを進めることができます。

採用プロセスの関係者

Recruiter = 人事部門に属する採用担当者。あなたの採用プロセスを最初から最後までサポートしてくれる強い味方です。面接担当者との面接スケジュールなども行ってくれます。Hiring Managerと協業し、Hiring Managerが求めている人材の認識をすり合わせて、募集要項をホームページに投稿したり、候補者を探してきます。どれだけの候補者に応募してもらえるか、何人採用することができているか、などがRecruiterのKPIです。一般的に、Recruiterは採用不採用に関する意思決定者ではありません。

Hiring Manager = 求人を募集しているマネジャーのことで、多くの場合あなたの上司になる方です。採用プロセスの中で必ず一度は直接面接をすることになります。彼ら・彼女らは採用不採用に関する最終的な意思決定者です。

Interviewer = 採用プロセスの中の面接にて、あなたの面接官となる方です。Hiring Managerは上司となる方ですが、Interviewerはチームメイトとなる方だったり、実際の業務で協業することになる他部門のマネジャー職の方だったりします。Interviewerの面接結果のフィードバックは、Hiring Managerの意思決定に間接的に関わります。

以下で述べる各プロセスにおいて、RecruiterとHiring Managerは裏では密に連携しています。毎回の面接結果は必ずRecruiterとHiring Managerの間で共有されており、連絡はRecruiterから来ることが多いです。

初めて転職活動をされる場合だと、Recruiterとの連絡にもとても気を遣うでしょう。それにRecruiterにも好印象を持たれたいと思うかもしれません。好印象を持ってもらうに越したことは無いのですが、Recruiterは最終的な意思決定者ではないので、過度に緊張することなく、いつも通りに接すれば大丈夫です。

また、基本的にRecruiterはあなたに成功してもらいたい(採用してもらいたい)と思っています。なぜなら、RecruiterのKPIは候補者の総数や、実際に採用された数なので、少しでも多くの候補者にポジションに興味を持ってもらい、Hiring Managerの探してる人物像にマッチさせたいと考えているからです。そのために、面接のプロセスに関してアドバイスをくれることもあります。Recruiterはあなたの伴走者だと思って、過度に構えることなく進めていきましょう。

採用プロセスの流れ


さて、次は採用プロセスです。候補者側から見ると、ざっくりと以下のようなプロセスになります。

  1. レジュメを添えて求人に応募する

  2. Recruiterがレジュメを確認する(書類選考)

  3. Recruiterと最初のスクリーニング面接を実施する(スクリーニング)

  4. Hiring Managerと面接(面接1回目)

  5. Interviewersと面接(面接2~3回目)

  6. 最終プレゼンテーション(有無は職種によります)

プロセス1~3は「面接に進むための準備運動」で、プロセス4~6が「面接本番」とイメージすると良いですね。面接本番に進むためには、レジュメをRecruiterに見てもらい、Recruiterとの最初の連絡(スクリーニング)にこぎ着けないといけません。

大手外資IT企業の場合、Workdayなどの採用候補者管理システムを使っていることが多いのに加え、候補者のレジュメスクリーニングシステムを採用している企業もあります。そのような企業では、この候補者のポジションへのマッチ度合いがどれくらいかをシステムが自動的に判断し、書類選考の合否を判断する(またはその後のプロセスでレジュメを確認する人事担当者の意思決定に影響を与える)ことになります。

もしここで落とされてしまうと、数週間待っても連絡が無く不合格を察することになる、ということにもなりかねません。システムに判断されるのではなく、生身の人間にレジュメを見てもらって判断してもらう、というのが一番良いですよね。

リファーラル制度を活用しよう

概要

そのためにはどうすれば良いかというと、「社員のどなたかに紹介(リファーラル)してもらう」のが一番です。外資系企業の場合は必ずといってよいほど「リファーラル制度」という制度があり、社員の知り合いを、募集中のポジションに紹介(リファーラル)できる仕組みで、採用された場合にはその従業員にリファーラルボーナスが数万円~数十万円支払われる仕組みです。

メリット

なぜこのような仕組みがあるかというと、一言でまとめると採用コストを抑えられるからです。たいていの企業では転職エージェントと契約し、転職エージェント経由で候補者を探してきています。(ただしGoogleは一切転職エージェントからの経由を受け付けないことで有名です。キャリアページからの直接採用・リファーラル採用のみです。)

転職エージェント経由で応募してきた候補者を採用する場合には、成果報酬を転職エージェントに支払わなければならず、その額、採用された方の年収の実に1割程度支払われることがあるそうです。例えば700万円で契約したとすると、成果報酬は70万円になります。マネジャーレベルの求人だと1000万円を超える契約もありますから、成果報酬だけでも100万円以上のコストがかかることになってしまいます。

社員によるリファーラル制度のボーナスはそれと比べると何分の一の支払いで済むため、企業としては社員に知り合いを紹介してもらい採用できるほうが、ずっと採用コストを抑えることができるのです。

リファーラル制度を利用した場合、社員はリファーラルボーナスを手にすることができる可能性があるので、気合をいれて応募プロセスをバックアップしてくれますし、前述の通りリファーラル制度は転職エージェント経由よりも採用コストを安く抑えられるため優先度が高くなり、リクルーターにもほぼ間違いなくレジュメに目を通してもらえて、次のステップに関する連絡をとってくれます。

また、リファーラルしてくれている社員の方は、その募集ポジションの担当リクルーターが誰かという情報も社内なら確認ができますので、万が一リクルーターから連絡が滞ってたとしても、社内からプッシュしてもらうことができます。

知り合いがいないときは・・・

とはいっても、「応募したい企業に知り合いがいない」ということもあるかと思います。そんな時は、TwitterやLinkedinでその企業で働いている方に連絡を取ってみましょう。新たなチャレンジに挑戦しようとしている方はきっと喜んでサポートしてもらえますし、それにリファーラルボーナスを欲しがらない人はきっといないでしょう。

かくいう私も実際に、見ず知らずの方にLinkedinで連絡を取り、興味のあった会社について聞かせてもらったことがあります。Zillowというアメリカの会社で、不動産売買のプラットフォームサービスを提供しているサービスなのですが、Zillowで働いている知り合いがいませんでした。そこで、現職の企業からZillowに転職した人をLinkedinで検索し、5人ほどにメッセージを送ったところ、1人から返信をもらえたので、彼女と一度Zoomミーティングを設定して軽く自己紹介、Zillowの社風、業績、職種などについて聞かせてもらいました。

そのタイミングで別の企業からオファーが出たので、応募自体はしませんでしたが、リファーラル制度の利用については快諾してもらえました。この方法だと、応募する前に社内の中の人の声を聞くことができるので、社風・仕事内容が実際のところどうなのかを事前に確認することもできるのでおすすめです。

まとめ

以上、リファーラル制度の活用についてご紹介してきました。とはいっても、キャリアのページから応募することを全否定するつもりはありません。現職でも、キャリアのページから応募して合格した同僚もいます。ですが、リファーラル制度を利用して合格した同僚の割合のほうが圧倒的に多いです。

せっかくならリファーラル制度を活用することで、より「面接本番」に確実に進めることは間違いないと思います!


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