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【創作小説】会津ワイン黎明綺譚(第4話)

4 開拓者たち

  桃子は役場の仕事では大活躍を見せていたが、譲二が懸念していたとおり農園の作業員としては足手まといだった。新鶴村では葡萄棚を用いて葡萄を栽培しており、高い位置にある枝に対して手入れを行う必要がある。
 農薬散布、整枝、剪定などただでさえ慣れない仕事であり、加えて背が低い桃子は高い位置で行う全ての作業が難しかった。集荷用のプラスチックケースを足場にして作業をするものの、一つ一つの手順を考えながら行うこともあり遅々として進まない。
 しかし譲二も佳代子も桃子を責めることはなく、丁寧に教えながら作業を進めた。葡萄と併せて桃子の育成をしているかのようにも見えた。
「もともと戦力として期待している訳じゃない。気にしなくていい」
「アンタに教えることで作業の意味を確認できる。俺も勉強になる」
 受け止め方によっては冷たいとも感じる譲二の言葉は、言葉を飾らない本音が多いだけで冷たくも嫌味でもないことを感じていた。
 譲二は土も天気も人もただあるものに向き合いながら、愚直に作業を続ける男だった。何か問題が生じても不平不満を言うことなく、責任転嫁をすることなく黙々と対応した。その背中を見ながら桃子も懸命に作業をする日々が続いた。熊田農園の葡萄は順調に育ち、葉が色を付け開花し実りの姿を見せた。

 葡萄畑と周囲の季節が移ろう景色は、日本の原風景のようであり作業後の桃子の心に温かいものを感じさせた。
 9月初旬、葡萄は収穫の時期を迎えようとしていた。
 小さな葡萄の実を前に譲二と桃子は午前の仕事を終えた。これらの葡萄は全て国内ワインメーカーであるマルシャンに納品される予定になっている。マルシャンでは1970年からこの地におけるワイン用葡萄の栽培を支援していた。
「マルシャンの橋本さんに現場を確認してもらう必要はあるが、後は収穫するだけだからあまり手はかけなくていい。ここまでよく頑張ってくれた」
譲二が柔らかい微笑みを浮かべた。仕事中は真剣な厳しい表情が多いので珍しいことだった。爽やかな初秋の風が二人の間を吹き抜ける。会津の秋の訪れは早い。
「もう収穫するんですか。まだこんなに小さいのに」
「この後、長雨のシーズンになる。雨に打たれた葡萄は病気になる。だからその前に収穫するしかない。確かに早すぎる。20年以上マルシャンの指導を受けてシャルドネを栽培しているがB級品しか作れていない。
 ここの葡萄はマルシャンワインの国内生産量を増やすためだけの数合わせみたいなものだ。残念ながら品質では山梨の足元にも及ばない。
 けどいつか特A級の美味い葡萄を栽培して、マルシャンブランドじゃなくて会津ブランドのワインを醸したい。この土地にはそれだけの力があると信じているしそれを証明したい。土壌のポテンシャルはあると思う。
 いやそういう理屈とかは関係なくこの土地が好きなんだ。この景色を見ていると、俺はこの美しい世界で生きていきたいという思いが溢れてくる」
 収穫を前にした喜びのためか譲二はいつになく饒舌で、少年のように目を輝かせていた。
「土地に恋しているみたいです。成就すると良いですね」
「毎年振られてばかりだ、雨にも降られてばかりだな。それでもここで一人で生きていくさ」
遠くを見つめながら応えた譲二に
(そう言いながら、智恵子さんを待ち続けるのですか)
と聞きたい気もしたが、何も聞かずに譲二と同じように眼下に広がる葡萄畑、そして会津盆地を眺めた。
「お婆ちゃんの家に葡萄の木があるせいか、なんとなくですけど、いつかワインを醸したいと考えていました。会津の中でも葡萄畑があるこの地に来ることができて良かったです」
「ワインの勉強なら山梨の方が良かったんじゃないか」
「お婆ちゃんが『会津の人たちには凄くお世話になった。会津の人たちは優しくてとても助けられた』と話をしてくれました。小さい頃から何度も聞かされていたから凄く会津に憧れていました。それで会津の歴史や文化を調べて更に会津を好きになって、いつかは会津で暮らしたいって考えていました」
「お婆ちゃんは、会津で暮らしたことがあったのか」
「いえ、小学校から亡くなるまで山梨県の都留市で暮らしていました」
「じゃぁ、その都留に会津出身の人が居たということか」
「違うんです、お婆ちゃんは今で言う帰国子女だったんです。百年以上前の話ですけど、お婆ちゃんの両親、私の曾祖父と曾祖母が、ワインを造る勉強をするためにカリフォルニアで六年くらい生活していて、そこでお婆ちゃんは産まれたんです。その頃のカリフォルニアに若松コロニーという、会津出身の方々の集落があり、お婆ちゃんは会津の人たちに凄く可愛がられたって言っていました」
「そうか、若松コロニーか」
「ご存知でしたか。凄いですよね、百年以上も前、飛行機も車も無い時代、二ケ月もかけて海を渡り、異国の地で開拓に励んだ人たちがいたなんて。実家がある調布市と行き来する時に、何度も『遠い』と思いましたが、車で半日なんて昔の人たちに笑われちゃいますね」
「それで、お婆ちゃんは会津のことに詳しいのか」
「はい、お婆ちゃんからは什の掟も習いました。何度もしっぺされたって」
「残念だけど、什の掟なんてものは、もう、物語の中にしか残ってないだろうな。時代が変わった。風習として残っている地域はないだろう」
「そうですね、時代も風習も変わりました。だけど、大切なものは受け継がれて、残っていると思います」
「そうだな、だと良いな」
「残ってなきゃ駄目です。大切なものは守り受け継がなくては駄目です。ならぬものはならぬものなのです。
 それにしても、百年以上前に海を渡り開拓に挑んだ人たちがいたって、凄すぎです」
「昔の人たちは凄いな。日本では刀と鉄砲で戦争、アメリカでは西部劇、幌馬車の時代に、海を越える覚悟をしたんだから」
 かつて「戊辰戦争」という戦があり、会津藩は新政府軍の敵とされ、朝敵とされた。会津のお殿様は、会津藩の文化、誇りなど、大切なものを守るために、領民を日本から脱出させ、米国への移住を敢行したのかもしれない。
 カリフォルニアで開拓に励んだ先人たちに、二人は思いを馳せた。
「……譲二さん、幌ですよ、幌。雨が当たって葡萄が病気になるなら、雨を避ければ病気を防げるかもしれないです。こうビニールハウスで覆うとか、どうでしょうか」
桃子は、目をまん丸に開きながら譲二に提案した。
「そんな栽培法は聞いたことが無い。いろいろな薬や栽培法を試したが、病気には勝てなかった。そんなビニールハウスなんて、単純なもので……」
 譲二は言葉を続けることができなかった。桃子はしゅんとなった。
「素人が変なことを言ってすいません」
「いや、ちょっと待ってくれ。単純すぎるけど誰も試したことは無いかもしれない。逆に言えば失敗した人もいないかもだ。マルシャンの橋本さんに相談してみよう。一度家に帰ろう」
 自宅に戻りマルシャンに電話をすると、折よく橋本は在室していた。
「譲二さん、雨除けに防水シートを被せるなんて話は聞いたことが無いです。それに手間もコストもかかる。急に言われても、我社からそんな費用は出せないです。納期を遅らせることは何とかできると思いますけど、無謀というものです」
「手間とコストはうちで持ちます。御迷惑はおかけしません。いや葡萄を駄目にして納品できなくなると、御迷惑をおかけしてしまいますが、挑戦させてください」
「駄目モトですか」
「根拠が無い予感ですが駄目だとは思わないです。今、うちの村に新しい風が吹いています。その風に乗りたいです。挑戦しないまま行動しないままで後悔したくないのです」
 側で不安そうな顔で声を殺している桃子に、優しい眼差しを向けた。
「風、ですか。心もとない話ですね。しかし、その栽培法が成功したら、熊田農園の独占的・特許的な技術になりますね」
「成功したら、栽培法を独占するつもりは無いです。これまで、マルシャンさんから指導していただいて、生産組合で磨いてきた技術の延長にあるアイディアです。上手くいったら、皆で活用できればと考えています」
「欲のない話ですね、失敗したら自腹を切る、成功したら技術を共有ですか」
「欲はあります。今よりも美味い葡萄を作りたいです。特A級の葡萄を作りたいです」
「譲二さんの考えはわかりました。私も欲深い人間なので、美味い葡萄が欲しいです。その風に乗らせてもらいましょう。今、約束できるのは防水シートを被せること、納期を遅らせることを承知するところまで、です」
「ありがとうございます」
「ご存知のとおり、我社はワインの国内シェアでヨントリーさんを越えたことが無いです。あの会社には創業者の口癖である『やってみなはれ』という社内文化があるそうです。良いところは、真似というか学ぶ必要があるのかもしれません。
 譲二さん、そこまでの覚悟があるなら、やってみなはれ!……と言いたいところですが」
「問題がありますか」
「えぇ、真似をするだけでは越えられないと思います。譲二さん「やってみなはれ」じゃなくて、一緒にやりましょう、その風とやらに僕も乗せてもらえますか。成功したら、他の畑でその技術を使わせていただけることが前提になりますが、我社からも資金を出せるようプロジェクトとして提案してみます。できる限りの応援をします、僕も覚悟を決めます。一緒にやりましょう」
「ありがとうございます。やらせていただきます」
 譲二は電話を切ると、桃子に笑顔でサムズアップした。
「悪いな、忙しくなる」
桃子は笑顔で頷いた。

 二人で納屋に向かいビニールハウスの部材を確認し、軽トラックに積み込む。春先、稲の育苗用ビニールハウスを設置するため、ある程度の部材は納屋にあったが、数が足りないため、数軒の農家に声をかけ、部材を借りてから葡萄畑に戻った。

 畑を前にすると、材料、時間、人手、全てが足りない現実に、譲二の胸が痛んだ。
(やるしかない。やらなければ何も変わらない)
 桃子に指示を出しながらビニールハウスの完成形をイメージし、鋼管パイプを準備する。
(本来なら囲いや出入口も必要になるが「雨除け」だけを考えれば、屋根だけの簡易なものでいいだろう。部材と手間の節約にもなる)
 そんなことを考えながら、葡萄と葡萄の木の間、地面にドリルで穴を開けていく。根を傷つけないように慎重に穴を掘る。譲二が穴を開けた場所に、桃子が支柱となる鋼管パイプとジョイント部品を置いていく。そこまでは比較的順調に進んだが、鋼管パイプを地面に刺しパイプを繋いで屋根を設置する段階になると、途端に効率が落ちた。桃子ではパイプを地面に深く刺す力が足りず、背も足りず、その分譲二の負担は大きかった。
 通常、ビニールハウスの設置は5~6人で行う作業である。そのため春先には集落の農家ごとに日程を組みお互いに協力して作業を行う。二人で行うような作業ではない。
 しかし今回は育苗ではなく葡萄。しかも熊田農園が単独で行う作業になるため、他の農家に手伝いを頼むことが躊躇われた。共同作業は「お互い様」を前提としている。その日の作業は順調とは言えなかった。それでも(大藤が居てくれて良かった)
 その思いが譲二の力になった。自分一人では、こんな発想は出なかったし、行動に移すことも出来なかった。熱に浮かされたような、風に押されたような、突飛な行動ではあったが、譲二の胸は新しいことに挑戦している高揚感に満たされていた。
 桃子も譲二が自分のアイディアを採用してくれたことが嬉しく、いつも以上に作業に力が出るような気がしていた。
「今日のところは、終わりにしよう」
「けど、まだこれしか出来ていないです。このままじゃいつ終わるのか」
「明日以降もやれるだけやる。が、日も暮れてきたし今日は無理だ。アンタも疲れただろう。無理はしないことだ」
「わかりました。じゃぁ、また明日、この続きですね」
「アンタが農園で勤務するのは、火・木の約束だ。明日は役場で勤務してくれ。母さんと二人でやる」
「後で菊地さんに確認しますが、私の場合、勤務時間の定めが無いので、明日も農園で作業しても大丈夫なはずです。ちゃんと屋根をかけるまで、作業したいです。私の思いつきで、譲二さんだけに負担をかけられないです」
桃子の目に涙が溜まりだす。
「わかった、泣かないでくれ。正直に言う明日もいてくれると助かる。戦力として当てにしている。大丈夫なら一緒に作業をして助けて欲しい」
「もちろんです。じゃぁ今日のところは帰って、明日に備えて早く休みましょう。ただ今日は疲れて晩御飯の支度が難しいので、譲二さんの家で夕飯を食べさせてもらえますか」
「母さんが喜ぶ。明日の朝飯もうちで食べるといい。それからハウス造りだ」
「わかりました」
 桃子の笑顔を見ながら、何としても雨が降る前にビニールハウスを設置するという決意を固めた。
 帰宅した桃子は、夕食をとる前に菊地に電話をして、明日以降もビニールハウスの設置が終わるまでの間、熊田農園の仕事をしたいことを伝えた。

「確かに勤務時間の定めは無いですから、ルール的には毎日、熊田農園の仕事をしても問題はないです。ただタイミングが悪いです。桃ちゃんが企画した『田舎暮らし体験ツアー』、これから本格的に進めるところです。それなのに担当者が不在というのは厳しいです。2~3日であれば僕もフォローできますが『いつまで不在かわからない』では、課長にも旅行代理店さんにも説明できないですし、僕も担当する自信が無いです。桃ちゃんの視点や考えを活かしたい企画ですから僕では駄目なんです。ツアーの企画は、一旦没にしますか」
 菊地の口調は優しかったが、話す内容は甘く無かった。
「大事な時に申し訳ありません、急いで農園の仕事を終わらせるようにします。もし大丈夫であれば、夜にツアーの準備を進めますから、ツアーの企画を進めたいです」
「桃ちゃん、夜に仕事をするのは駄目です。体調管理も大事な仕事です。とは言え、幸い、明日は金曜ですから、取りあえず課長には、明日は急遽農園の仕事をすることになった旨を伝えます。で、土日が入りますから、その間の進捗状況を見て、月曜以降の仕事の進め方を考えましょう。ただ、話を聞く限り、2~3日でハウス作りが終わるとは考えられないです」
「ありがとうございます。日曜日に、あらためて進捗状況を報告します」
「桃ちゃん、いつも頑張ってくれてありがとう。桃ちゃんが村に来てくれたことを感謝しています。初めて会った時
『大藤さんの視点で見て、感じたことを基に行動して欲しい、全面的にバックアップする』
と話したと思う。今もその気持ちに変わりは無いです。だからできる限り応援します。だけど無理はさせられないし、気持ちだけでは実現できないことも、今、桃ちゃんにしかできないこと、やらなきゃならないことがあることもわかって欲しい」
「はい、わかりました。明日はよろしくお願いします」
桃子は受話器を置くと、パンッと両手で自分の頬を叩いた。
(明日は明日の風が吹く。どうなるかはわからないけれど、今からできることは、ご飯を食べて、ちゃんと眠ること。明日のために、今やるべきことに集中しよう)
 不安な気持ちを心に仕舞い、譲二と佳代子が待つ家へと向かった。

 受話器を置いた菊地は、不安な気持ちを抱きながら、自分は何ができるのか、何をすべきか最適解を考えていた。桃子の気持ちを活かしてやりたかった。
(譲二、偶にはお前の後始末をしてやるよ)
 菊地は再び受話器を手にした。

  翌朝、譲二と桃子が葡萄畑に着くと、既に数人の男がビニールハウスの設置作業を進めていた。
「遅いから、勝手に始めていたぜ。こんな感じでいいんだろう」
作業を止めることなく、譲二に声をかける。
「みなさん、すまない。ありがとう。でもどうして此処に」
 譲二の言葉にそれぞれが応えた。
「夕べ、役場の菊地が電話しできて、譲二と桃ちゃんが変なことを始めだがら、手伝いをしてくんちって頼まれた」
「菊地のヤロウには義理も借りも無ぇけど、桃ちゃんのために一肌脱ぐべ」
「また、桃ちゃんに倒れらっちゃら、親爺とお袋に俺らが怒られるべ」
「譲二、おめのためじゃねぇべ。桃ちゃんのためだぞ。勘違いすんな」
「作業が遅れじまって、葡萄が病気になったら可哀そだべ」
「菊地の野郎、俺らさ声かけだくせに、自分は来やしねぇ。ふてぃ野郎だ」
「アレが来だって、口ばっかで役に立だねぇべ。邪魔になるだげだ」
それぞれが楽しそうに冗談を飛ばす。その度に笑い声が起きた。
「俺らにも菊地にもお礼も感謝もいらねげど、桃ちゃんには感謝しどげよ」
立ちすくんでいた譲二が我に返った。
「良樹はいつも余計なことを言う。けれど、アイツとアンタのおかげで、上手くいきそうだ。ありがとう」

 譲二は桃子に頭を下げると、目を輝かせながら足早にビニールハウス設置作業に加わり、桃子はその後を追った。
 部材と人手が揃い、初日の時点ではいつ終わるとも見当がつかなかったビニールハウスの設置作業は、作業を始めてから三日目、土曜の午後に終えることができた。この間、雨は降らなかった。
「譲二、うめぇ葡萄をつぐれよ」
「期待してっぞ」
「来年は、オラげの作業を手伝ってもらがんな」
 笑顔で立ち去る男たちを見送りながら、譲二は拳を握りしめた。

  その年、熊田農園の葡萄畑には、健康でこれまでにない芳醇な葡萄が実り、マルシャンの橋本を驚かせ、関係者を唸らせた。

 翌年は春から準備を始め、熊田農園だけではなく生産組合の半数近い農家がビニールハウスの設置に挑戦した。マルシャンはプロジェクトとして材料費を支援するとともに、次年度に向けて気象条件や育成状況のデータ収集を行った。
 ビニールハウス葡萄は、全ての農家が育成に成功しマルシャンでは露地の葡萄よりも高値で購入した。

  この年、葡萄だけではなく桃子の私生活も充実していた。会津を越えて県内外に遊びに行く余裕が生じたことで、同行する佳代子を喜ばせた。
「今日ねぇ、桃ちゃんとホントの親子と間違えられたのよ」
 桃子との外出から帰宅した佳代子が、嬉しそうに話すその日の出来事を、聞かされる譲二が苦笑いを浮かべることも多くあった。佳代子の本音としては、譲二と桃子にデートして欲しいという気持ちだったが、二人だけのデートが実現することはなく、稀に遠出をする時に譲二が運転手を命ぜられて、三人一緒に出かけることがあるくらいだった。

 ある時、佳代子と桃子が二人きりの時に、佳代子が業を煮やし
「やっぱり、桃ちゃんから見ると、譲二と本当にお付き合いするなんてことは無理かしら」
と聞いた時には、
「会津の三泣きになりそうですね」
とはぐらかされ、別な会話に移った。

【会津の三泣き】
 会津の特性を表す言葉として、地元に伝えられている言葉である。
1 初めて会津に来た者は、雪の多さとよそ者に対する冷たさに泣き
2 会津の生活に慣れると、温かな心、情の厚さに泣き
3 会津を去る時には、離れがたくて三度目の涙を流す
(第4話 ここまで)

第5話

第3話

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