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忘れられない初恋〜2つの決断〜


2018年、9月。
僕は芸人を辞めた。

ともみちゃんと飲んでから、半年後。
ようやくコンビを組むことができ、舞台へ戻った。
このコンビでは1年活動したけど、休んだ分のブランクを取り戻すことができず、限界を知った。
そう思えたからか、辞める時は清々しい気持ちだった。

解散してからの僕は、コンビを結成する頃にはじめた映画館のバイト先で、社員になることを視野入れ働いていた。
普通の幸せを手に入れるための決断だった。

お笑いは相変わらず好きで、賞レースには毎年テレビにかじりつく。
芸人を辞めてから観た賞レース、2018年のキングオブコントには芸歴の近い先輩が決勝に進出していた。
劇場で観ていた先輩が憧れの舞台に立っている。
羨望の眼差しを向けていたテレビ画面から、得点が振るわず表情の浮かない先輩の姿に、改めてこの世界の厳しさを思い知る。
諦められてよかった。
心の底からそう思うことができ、それからは純粋なお笑いファンとして、ただただ賞レースを楽しめるようになった。

M-1グランプリも楽しみで、M-1予選で面白いと思ったコンビを見つけては、ともみちゃんに送る。芸人を辞め、ライブを誘うことを連絡手段にできなくなっていた僕は、こうして、連絡をとっていた。

決勝の日も、ともみちゃんとLINEをしながら観ていた。
誰が面白かったとかお互い言いあって。
1人で夢中になってみるM-1とは別の楽しさがあった。
いつか隣で一緒にみたい。
芸人は諦めたけど、ともみちゃんのことはまだ諦められなかった。

2019年、4月。
僕はともみちゃんをライブに誘った。
もちろん僕のライブではない。
僕のライブに来てくれてからともみちゃんが好きになり、僕のいちばん尊敬するニューヨークさんの単独ライブ。

このライブを一緒に観て、
長年胸にしまってたともみちゃんへの想いを伝えよう。
お笑いを辞めたことで、ようやくできた僕の決断。

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