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もしも宮沢賢治が猫を撮ったら

どういうわけか、そんなタイトルがついてしまいそうな1枚になった。ニュアンスだけでも伝わると嬉しい。初めて見る桜に、猫はなにを思ってくれただろうか。

ひらひらと桜の花びらが舞い始めた。こんなご時世、感染症のリスクを考えると桜を見に行くことは不要不急の用事に分類されることは間違いない。とはいえ、家から徒歩1分の満開の桜と共に、ほんの数枚だけ家族写真を撮ることくらい許されないだろうか、と一眼レフを手にする。幸いにも今日は夫も半日休暇。出かける前に娘にコートを着せていると、猫が寄ってきた。……家族写真なのだから、と猫の首輪にリードをつなぐ。

思えば、私と娘が外に出るのは3月20日ぶりだった。室内飼いの猫に関してはいつぶりだろうか。

桜の前で猫を片手で抱き上げて、カメラを向ける。慣れないリードに繋がれていることや、家の中ではあたることのない冷たい風に驚いてしまい、心臓がぶるぶるしていた。

娘は初めて桜を見た。生後4か月になり絵本やおもちゃに手を伸ばすことを覚えた娘は、不慣れな手つきで桜に手を伸ばしていた。0才児なりに、なにかを感じ取ってくれていたら母としてこれ以上のことはない。

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医療従事者ではない私にできることは家にきちんとこもることくらいしかない。来年はシートでも広げてゆっくりと花見を楽しめる春が訪れることをただ祈っている。

2020/04/03 こさいたろ


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