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足の指

お部屋の模様替えが好きな大王様。
お家のことは完全にお任せ状態の私であるが、長年使っていたベッドを捨てることになった。

会社員になってからの私は、謎の腰痛と闘い、朝になると起き上がれなくなる現象が何か月かに一度あり、その時はお昼まで兵隊さんのようにほふく前進をするような有様。

そんな状態を何とか解消するために、ベッドの上にマットレスを敷いて寝る方法で、腰痛爆弾をしのいでいました。

そして何とか腰痛は収まり、20年近く。
今のベッドとマットレスには本当にお世話になった。
お別れの日は、粗大ごみに出すベッドを運びながら、少し名残惜しい気分となったのだ。

そして、新しいマットレスが来るまでは、今のマットレスは継続。
布団を敷くと言う生活に変わった。

実は私、生まれてこの方「布団を敷く習慣」がなかった。
シーツを引き、ふとんを敷き、枕をセットする。
こんな日常、人によっては当たり前の方も多いと思うが、生まれてからずっとベッドと一緒の生活であった。

布団を敷く体験と言うのは、私は修学旅行で経験するものだと考えていた節がある。

実際にベッドがなくなり感じたのは、寝室が広くなったこと。
部屋がこんなに大きかったのかと感じた。

大きな空間になった部屋を眺めながら、ベッドのない生活はこれでありなのだと素直に思うようになった。

ところが、快適になった部屋で過ごしていた矢先。私に悲劇が起こった。

寝ることが大好きな我が一族であるが、大事な用事を忘れて寝坊。

「起きてちゃんとやらんかい!どうなってるんや!」

占いの時の私を知っている方からすると驚くかも知れない怒りっぷりであるが、私も怒る時は怒る人である。

私は怒号をあげながら、一族を起こしにかかろうとする。

その時だ。
布団にかけていたシーツに足を滑らせて、転倒。

あまりの痛さに大声で叫ぶ。
「痛ってぇーーーーー」

その言葉は、家中に響きわたる大声。
近所迷惑も甚だしいが、久しぶりに味わう、尋常じゃない痛みだった。

そしてこの痛みはおさまらない。当たり前である。

十分に悶絶してうずくまった後、足の指を見た。
内出血している。

「あ、折れたなこれは」

直感的に感じた。

過去に二度ほど骨折しているが、いずれもバスケットボールの試合で指の負傷。

その時と同じような腫れ方で内出血。
確実にアウトである。

翌日病院に走ったが、診断の結果は全治一ヶ月。
案の定の骨折であった。

小さい整形外科でせっせとギブスを作り、何とか固定したのだった。

ところが一ヶ月を過ぎても、骨がなかなかくっつかない。
実はそんな状態にも関わらず、仕事のため私は福岡へ飛んだのだった。

そして竈門神社で、何故かおみくじを引きたくなったので、引いた。

運勢を見る前に、おみくじの裏側を読んだ。
そこには、こう書かれていた。

あまりにも印象に残ったので持って帰ってきた

「あつい寒いと歎くも無駄よ、苦情言わずにこにこと」

もうね、ぐうの音も出なかった。

じわりと来る足の指の痛みが、この文章で抑えつけられた。

竈門神社は、これを伝えたかったのか。
そう知った時、僕は笑った。
少し苦虫を噛み潰したように。

そっとおみくじをひっくり返すと、表には「大吉と」あった。
この旅を照らしてくれるのだと感じた。 

その後、太宰府天満宮で激しい山登りをしたのだが、お茶屋で休んでいる時に私の守護がこう言ったのだ。

「これで足の指も大丈夫だ!」

どんな修行や!

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