見出し画像

自分の実践に影響を与えた本紹介⑥

前回は学校の「宿題」について考えました。今回も「宿題」について考えてみたいと思います!

今日は工藤勇一氏の『学校の「当たり前」をやめた』を紹介します。

ご存知かもしれませんが、工藤氏は東京都千代田区の中学校の校長先生です。
この先生が、学校の「当たり前」を考え直し、いろいろなことを改革していきます。簡単に紹介していきましょう。

手段の目的化

本書の大きなテーマが、手段の目的化です
本来手段であるはずのものが、目的となってしまう現象です。
工藤校長は、手段の目的化にメスを入れ、学校現場のある「当たり前」を廃止しました。この本から抜粋して2つ紹介したいと思います。

1・宿題を廃止する

前回の記事でも伝えたと思いますが、宿題はあくまで「手段」です。
子どもたちにも4月にその話をします。

しかし、宿題をすることが「目的」となってしまっている子どもたちが多くなっているのではないかというのが、この本の論点になります。

ただ、こなすだけの「作業」になり、何のためにするのかが見えてこない。先生にやれと言われたからやるというものになっている。

そんな宿題で、本当に「学力の向上」という目的を達成することができるのでしょうか。「家庭学習の時間確保」ぐらいしか達成できていないのではないかと考えてしまいます。

そこで、そのような宿題を出すのを廃止しました。すると、中学3年生の生徒はとても喜んだそうです。なぜか。

受験勉強に集中できるから。

宿題をする時間を、本当に必要な受験勉強の時間に充てることができたということです。もちろん宿題が受験勉強につながっていないわけではないと思います。しかし、高校受験が学校によって特色のある試験も多く(特に私立高校)、宿題がすべての受験生のニーズに応えられるはずがありません。

宿題の廃止により、自分達に必要な学習の時間を確保することができるようになった生徒が多くいるのではないかと感じました。

2・定期テストの廃止

中学校といえば中間テスト、期末テストの「定期テスト」ですね。そもそも、「定期テスト」はどうして実施するのでしょうか。

・子どもたちが授業を受けた内容を覚えているかの確認
・知識の定着、学力の向上 など

が考えられるでしょう。しかし、本当にこの目的は達成されているのでしょうか。

私も中学生の時経験があります。前日になって一夜漬けしてテストを受けた日を。そして、すぐほとんど忘れてしまうあの無意味な日々を。

子どもたちは定期的に行われるテストに向けて勉強はします。しかし、それが終われば、もう終わりといった具合に勉強しなくなる人が多いのではないでしょうか(私はそうでした)。

そこで、工藤校長は定期テストを廃止し、単元テストを導入しました
小学校と同じように、単元の終わりにテストを行うのです。定期テストは学期に2回ですが、単元テストなので、学期に何回もテストがあります。

しかも、この定期テスト、何度も受け直しが可能なのです!間違えても勉強してやり直すことができるのです!!

さらに、学力テストの回数を増やし、受験対策もグレードアップさせます。単元テストの力を学力テストに生かすのです。

すべては評価を取るための仕組み

工藤校長は、宿題や定期テストの仕組みが「通知表をつけるため」という目的の手段になってしまっていると考えています。

そもそも学力を「ある時点」で切り取って評価することに、意味があるのでしょうか。たとえ中間考査が行われる5月下旬時点で解けなかったとしても、7月上旬までに完璧に習得していれば、通知表に「5」をつけてよいのです。学習に「早い」「遅い」は関係ありません。
『学校の「当たり前」をやめた』p.28

工藤校長は、このように言われています。
まさにその通りだと思います。何度も諦めず努力することが、学習指導要領で謳われている「粘り強さ」につながるのではないでしょうか。

「何のために?」と問いかけることから

何事も、「何のために?」と問いかけることが大切だと感じました。宿題や定期テストの例を出しましたが、他にもたくさんの改革をおこなっています。本を手にとって読んでみてください!

次回は、工藤校長繋がりの本を紹介します!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?