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ターコイズブルー

Kさんが書いてくださっていたように、今日はKさんと家主のSさんとで西荻本めぐりツアーをした。

真剣に話そうとすればするほど言葉が出てこなくなる私の癖でつい口数が減ってしまったようにも思うが、お二人に楽しんでいただけたのなら嬉しい。

久しぶりに訪れる本屋Titleさんは変わらず居心地が良い。オープン当初と比べると、建具の風合いやお店全体の香りのようなものに深みが増している気すらした。

奥のカフェスペースには初めてお邪魔したのだが、ここがまた極上の空間。このカフェスペースの部分は壁紙がターコイズブルーなのだが、さり気なく飾られている絵も相まってゆったりとした気持ちになる。
実のところ、色単体で考えるともう少し薄めのターコイズブルーの方が私の好み。でも、テーブルの色なども含めた空間全体で考えるとちょうど良い気がしてくるから、色というのは(そしてインテリアデザインというのは)奥が深い。私が座った席からは、ちょうど店舗部分の天井をはしるむき出しの梁が見えて、梁の深い茶色と壁紙の深いターコイズブルーが呼応しているようだった。
そして、Kさんの座る席の横の柱には、きっとこの建物の昔の記憶を留めるものであろう"ほぞ"が開いていて、気づけば私はつい梁と柱を見てしまっていたのだった。

そういえば以前どこかでこの梁や柱の話を読んだような…と思って調べてみると、オープン前に店主の辻山さんが綴られた記事だった。

この中の、「ギフト/内装工事・後編」という記事。

天井を貫く大きな梁も、天井をめくる前はある事すら知りませんでした。天井はそのままでは使えない状態でしたので、はがす事は決まっていたのですが、この梁が出てきた時は、大きなギフトを頂いたように思いました。東京の住宅街の真ん中に、こんな古民家が残っていること自体が驚きであり、他にはないものですから。

木造建築は壊していくと、時間の積み重ねが見えてきます。材料が元々寄せ集められ、建てられた事を物語るかのように、柱には使われないホゾが多くの箇所に開き、この家の増改築の歴史を物語るように、かつて玄関だった事を思わせる屋根が家の横向きに付いていました。

この記事のことは忘れていたのに、今日実物を見て、こうして今日過ごした時間のことに思いを馳せながら文章を書き進めていたら記憶が蘇ってきた。思わぬ収穫だ。

今日は本と本屋さんのことを思いながら寝床に就くことにする。
改めて、お付き合いいただいたKさんとSさん、ありがとうございました。

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