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湿った風がひゅうひゅうと

こんばんは。

私の住む東京では、「台風前夜」といったところで、湿った風がひゅうひゅうと吹いています。
顔に吹きつける風を感じていたら、かつて毎年のように訪れていた、母方の曾祖父母の家のことを思い出しました。

その家は、千葉県の鴨川市という房総半島のだいぶ南寄りの地域に建っていました。
先ほど「曾祖父母の家」と書きましたが、彼らは私が生まれる以前に亡くなっており、それ以来そこはずっと空き家。たぶん、「家に風を入れに行く」という名目で夏になると訪れていたのだと思います。
家の目の前に太平洋が広がっており、夕方になるとさながら今日のような湿り気を帯びた風が吹いてきたものでした。

私は東京で生まれており、母親も同じく東京生まれなのですが、母親の母親(つまり私からすると祖母)はその鴨川の家で生まれました。そして、私の曽祖父もまた、そこが生家。
曽祖父は現役時代、鴨川の家を残したまま東京に居を構え、仕事も東京でしていたそうです。そして引退後、鴨川に帰って暮らし、「東京オリンピックが見たい」と言いつつも1964年の8月にその生涯を終えたそうです。

おじいちゃんっ子だった母親は子供時代、夏休みになるとそれこそ毎年鴨川の家を訪れていたとのこと。そのため、私にとっては「ずっと空き家で、ちょっと怖いところ」だったその家も、母親にとっては思い出深いものだったようです。

その後結局、今から7年ほど前にすべてを取り壊して更地にしてしまったため、今となっては跡形もありません。東京から行くのにはかなりの時間がかかり、管理も大変だったようなので仕方がないことだと思っています。
ただなんとなく、「自分のルーツは千葉県にある」という意識だけが残っているのです。

つらつらとそんなことに思いを馳せた、立秋の夜でした。
皆様、明日の台風にはくれぐれもお気をつけください。

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取り壊す前に、「これだけは」と思うものを取りに行った時に撮影した写真がありました。せっかくですので何枚か貼っておこうと思います。

外観。瓦は定期的に葺き替えていたようなので、綺麗です。


室内。漁師の家だったので、かつては広間で作業をしたとか。


このあたりの本は、きっと曽祖父のものだったのでしょう。


家の目の前に海が広がっていました

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