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『裸の銃<ガン>を持つ男』:1988、アメリカ

 ベイルートで、アメリカに敵対心を抱く国々の首脳が集まった極秘会議が行われていた。アメリカへのテロ攻撃を繰り返すという結論を出した首脳たちの前に、旅行中だったロサンゼルス市警のフランク・ドレビンが姿を現し、彼らを叩きのめした。

 帰国したフランクは上司のエドから、相棒のノードバーグが重傷を負って入院していることを知らされる。ノードバーグは大物実業家ヴィンセント・ラドウィッグのドックで船を調査している時に負傷したらしい。そこでフランクは、ラドウィッグに会いに行く。

 フランクはラドウィッグのアシスタントであるジェーン・スペンサーから、船による輸入品リストを受け取る。密かに麻薬密輸を行っていたラドウィッグは、社内の問題を詳しく知っておきたいと理由を付けて、ジェーンに対し、フランクに接近するよう指示する。

 ノードバーグに麻薬事件に関与している疑いが生じたことから、フランクは24時間以内に嫌疑を晴らすようエドから指示される。一方、ラドウィッグはパプシミアという男から、ある人物の暗殺依頼を受けていた。ラドウィッグは催眠信号を使って、何も知らない素人を自覚の無い暗殺者に仕立て上げるという策略を練っていた。

 ラドウィッグは医者を操ってノードバーグを殺させようとするが、フランクに発見されて未遂に終わった。フランクはラドウィッグのマンションに潜入し、彼がエリザベス女王の暗殺を計画していることを知るが、証拠を燃やしてしまう。さらにフランクはエリザベス女王の歓迎レセプションでトラブルを起こしたため、警察をクビになってしまう。

 フランクはラドウィッグの正体に気付いたジェーンから、女王が試合を観戦する野球場で、7回終了時に選手によって暗殺が行われると知らされる。野球場に向かったフランクは、国家斉唱の歌手や審判に化けて暗殺を阻止しようとする…。

 監督はデヴィッド・ザッカー、原案&製作総指揮はデヴィッド・ザッカー&ジム・エイブラハムズ&ジェリー・ザッカー、脚本はジェリー・ザッカー&ジム・エイブラハムズ&デヴィッド・ザッカー&パット・プロフト、製作はロバート・K・ワイズ、製作協力はジョン・D・スコフィールド&ケヴィン・M・マーシー、撮影はロバート・スティーヴンス、編集はマイケル・ジャブロウ、美術はジョン・J・ロイド、衣装はメアリー・E・Vogt、音楽はアイラ・ニューボーン。
 主演はレスリー・ニールセン、共演はプリシラ・プレスリー、ジョージ・ケネディー、リカルド・モンタルバン、O・J・シンプソン、レイ・バーク、スーザン・ボービアン、ナンシー・マーチャンド、ジャネット・チャールズ、エド・ウィリアムズ、ティニー・ロン、“ウィアード・アル”・ヤンコヴィック、レスリー・メイアー、ウィニフレッド・フリードマン、ジョー・グリファシ、トニー・ブラファ他。

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 全6話のテレビシリーズ『フライング・コップ』の劇場版。
 フランクをレスリー・ニールセン、ジェーンをプリシラ・プレスリー、エドをジョージ・ケネディー、ラドウィッグをリカルド・モンタルバン、ノードバーグをO・J・シンプソンが演じている。

 冒頭、カダフィー大佐、ホメイニ師、アミン大統領、ゴルバチョフといった面面がいる中に、我らがバカ刑事のフランク・ドレビンが登場。ゴルバチョフの額のシミをこすって消したり、ホメイニ師を殴って髪形を一瞬にしてチェンジさせたりする大活躍。

 続くオープニング・ロールでは、パトカーを運転している人間の視点で映像が移動していく。パトカーは歩道を走って人々を蹴散らし、洗車場を通り抜け、屋敷の中に入り、女子シャワー室に突入し、ジェットコースターのレールを進む。
 麻薬密輸の船に単独で潜入したノードバーグ、勢い良くドアを蹴破ろうとして足が挟まってしまう。大勢の連中の銃撃を受けたノードバーグ、頭を打ち付けたり、ペンキ塗り立てのドアにもたれかかったり、ケーキに顔を突っ込んだりしてから海に転落。

 中盤、フランクはノードバーグ殺害を狙った医者を追うために車を止めるが、乗り込んだのは教習所の車。トラックの運転手にニラまれた時、おっとりした老人教官が、おとなしい女性教習生に「手を外に出して、中指をゆっくり突き出す」とファックを指示。
 フランクは空港で自分を待ち受ける人々が集まっていると思っていたら、それはアル・ヤンコビックを歓迎する人々。ワイヤレス・マイクを付けたままトイレに行き、必ず車を何かに衝突させ、勢い良くドアを開けたら勢い良く戻ってきて顔面痛打。

 フランクとジェーンは安全のために、全身コンドームで体を包んでセックスする。大笑いで映画館から出てきた2人が観賞した映画は『プラトーン』。波打ち際で手を握り合って走る2人は、向かいから来たカップルにクローズラインを食らわせる。
 野球中継のアナウンサーは異常に多い。監督や選手や観客席の妻は唾を吐きまくる。女王が紙コップを隣に回したり、ウェーヴに参加したりする。フランクのジェーンへの愛の告白に感動したユダヤ教のラビとイスラム教徒が抱き合う。

 ベタでストレートなギャグ、権威をコケにするギャグ、ビジュアルだけで分かるギャグ、シニカルなギャグ、ダジャレや言葉遊びのギャグ。
 様々な種類のギャグがある。
 とにかく間違い無く言えることは、そのギャグの量がハンパじゃなく多いということだ。

 少しの隙間があれば、何かギャグを挿入しようとしている。
 例えばフランクが最初にラドウィッグのオフィスを訪れた時、フランクが水槽に手を突っ込んだりするギャグ・シークエンスが一段落付いた後、フランクがラドウィッグと握手する時に、服の袖から水が垂れる。最後のツメまでギャグを忘れない。
 「くっだらねえ」という笑いが満載だ。

(観賞日:2003年1月26日)

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