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皮膚と肺

1997年11月13日(木)
女が横たわっているのを右側から見ていた。紙のように白い顔で、真っ黒な髪。非常に容態が悪そうだった。静かにしていたが、首の辺りに巻かれた生成りの布をとられたとき苦しんだ。首から胸にかけて赤黒い点々が覆っていた。肩口辺りでかっきり一直線に皮膚病の肌と健康な肌に分かれていた。血が滲む点々に薬をつけられると凄く苦しんだ。ひどいアトピーなのかなと思った。
女がもがき苦しんだとき、淡いピンクのゆかたの脇から中が見えた。わき毛も胸もなく、重さがなさそうな痩せたからだだったから、子どもなのかもしれない。
ゆかたの脇はあいてないから新生児に着せる肌着か?

この人は一人では起きられない重病なのに「犯人」と目されていた。

逆さに吊るされてこうもりのようになってる女。さっきの人と同じものを着ていた。栗色の髪で、肌はあの人ほど白くなかった。
背後から照らされて肺を見られていた。
眩しそうに左手で光を遮っていた。

わたしはあの皮膚病の人と自分のアトピーには関係があると思って、母に質問した。
「赤ちゃんのとき、あんなことになってなかった? あの人と関係あると思うんだけど」
「そんなことなかったけどぉ」
無関心な感じにわたしは混乱した。変だと思った。

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