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続 子どもへのまなざし を読んで

題名:続 子どもへのまなざし
著者:佐々木正美

以前熱量高く紹介した「子どもへのまなざし」には続編がある。
こちらをこの度読了したので、ここに記しておこうと思う。

前作を読んだ読者の質問への回答に、本著は大幅に紙幅を割いている。
質問を寄せている読者の素直で真剣な問いには思わず共感してしまうし、
またそれについての回答は相変わらず佐々木先生のやさしい言葉で書かれているので、読みやすく、理解もしやすい。
そして一貫して主張の根底にあるのは前作と同様、子どもの望んだことを望むように叶えてあげる、最初に受け止めてあげる経験の大切さである。

また、それ以外にも
・家庭での役割(母性と父性について)
・育児と社会(いじめ、不登校、家庭内暴力…などについて)
・障害を持つ子ども(知的障害、ADHD、自閉症など)
上記のトピックについての内容も含まれていた。

特に家庭での役割の章では、以下のような言葉が続いている。
(以下、「」内は引用)
「育児は一番価値のある仕事です」
「私は育児にうちこめる人が、本当に人生を楽しんでいる人だと思っているくらいなんです。それから、育児にうちこめる人が、他の仕事にもうちこめる人だといっていいかもしれません。」
「金銭に換算できないものを、仕事と思わなくなってきました」

正直に言って、ぎくりとした。特に一番最後の言葉に。
私たちは貨幣経済の中に生きていて、日々いろいろなものを金銭に換算して生きている。
育休中は仕事をしていない分、お金を稼げていなくて申し訳ない…なんて思ったりもする。
でも本当はそんな風に思わなくてもいいんじゃないだろうか。
私たちはその辺りの感覚を忘れているのではないだろうか。
そんな気持ちになった章だった。

「家庭に必要な二つの役割」
「くつろぎといった母性的なものと同時に、どういう価値観をもっていきるとか、社会的ルールを教えるという父性的なものが、そろって必要なものだと思います。」
「子どもたち一人ひとりに、甘え、えこひいきを実感させてあげることができなかったら、むずかしい問題はなかなか直らない」
「子どもを十分に受け入れてあげる、子どもの望んだことを望んだ通りに与えるという、母性的なものを子どもに満たしてあげたうえで、こういうことはやってはいけないという父性的なものを教えていけば、子どもはうまく育っていくものです。」

母性を満たしてから父性、というこの順番が大切だということを佐々木先生は繰り返し述べられている。
前作の子どものまなざしや子どもの要求を受け入れることの重要さもこの母性的な部分につながっていた。
どちらか一方だけでもダメで、両方とも備わっていないとバランスが悪く、必ずしもママが母性、パパが父性というわけではないが、家庭でそれぞれの役割があることが大事だそうだ。
ちなみに今の我が家はどちらかが父性を発揮するときは、もう片方が母性という「時と場合による」パターンが多い気がしている。

今回も一番自分に刺さったポイントのみ書いてはいるが、育児と社会、障害を持つ子どもの章も読みごたえがあり、
また子どもの成長に合わせて再読したいと思う本であった。

いい本に出逢えたご縁に感謝。


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