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今年のバレンタインデー回想目録

とらねこさんの文豪のいざないに参加します。

今週のテーマは「今年のバレンタインデー回想目録」でした。

勢いとノリで書いています。

過去作はこちらです!




腹が減ったなあ。
 
出張先で買ったチョコレートが余ってるやん。
 
冷凍庫を開ける。チョコは凍らせる派です。
 
(ゴリ。ゴリ。ゴリ。)
 
硬すぎて、歯が折れそう。
 
(ゴクン。)
 
そういや、バレンタインデーか。




完!!


書く事が全くないので、仕方がない。
んー・・・何か・・・。





完!!


完。本日、叩きつけるようにキーボードを打った。「書くことがないから書かないではなく、書くことを絞り出すのだ。」諦めの悪い僕が出てきた。誰とも戦っていないのに、妙な拘りを持って、勝手に奮闘を繰り返す。日常を絞り出す作業こそが楽しい。余ったチョコを食べて、コーヒーを飲んだ。ああ、そういえば 。



先週の火曜日はオフィスに出社した。毎週、僕達はチーム会議を行う。海外の同僚の一人が呟いた。「明日はバレンタインデーだねえ。何かするの?」日本人の同僚が言った。「何もしないね。義理チョコもない。」
 
「え、義理チョコって何?」
 
そうなのだ。海外のバレンタインデーで義理チョコたる文化は存在しない。基本的に家族やカップルの相方にプレゼントやチョコを渡すのみ。と、いうかその前に普通に日本語丸出しに「Giri Choco」と言っても、伝わらんわ!と僕は思った。
 
「Obligatory(義務) Chocolateかな?」
 
僕は同僚に伝えた。英語に義理という単語は存在しない。より適切な表現はあるのだが、僕の英語力ではこの単語しか出てこない。Obligatory、義務的なという意味だ。オブリゲートリーチョコレート。高級チョコっぽい。
 
義理とはまた違うのでは?と突っ込まれるかもしれないが、一度はバレンタインデーで義理チョコ用のクリームをヘラで回している際に思った事はないだろうか?

めんどくさ!って。もう義務じゃないか!
 
誰かから何かを貰えば、お返しをしなくてはいけない。実は日本の独自文化かもしれない。義務に近い、Give & Take。この国は多方面Give連射が前提な気がする。逆に当然なので、別種の義務だ。
 
「日本は面白い文化があるよね。」
 
長年、日系企業で働いている同僚は「何の義務?」とか言う、わざわざ文化の真理に近づくような質問はしてこない。そういうものなのだ。と勝手に解釈をしてくれる。その後、「チョコ会社の広告で生まれた文化だよ。」とか他愛のない話をした。


もう何年も前の話。
 
総武線に乗る僕の両手の指は千切れそうだった。なんせ、30人分近くのホワイトデーのお返しチョコを袋に詰めて、乗車しているのだから。久しぶりに部活動の体幹トレーニングをしている気分だ。揺られる袋に身体を持って行かれないよう、臍の下に力を入れていた。ああ、あの日が始まりだ。
 
 
うちの部署では女子の新入社員がバレンタインデーに男性社員に義理チョコを配る文化があった。流石にもう存在していないと信じたい。市販のチョコであるが、彼女たちは大人数の男たちにせっせとチョコを配っていた。僕にも渡してくれたとき、労いの言葉を送った。

「大変やなあ、ありがとう、チョコ」

「ばりめんどい。」本音のお返しを受けた。

そして、間髪入れずに部長席に呼ばれた。

「K、ホワイトデーのお返しお願いな。」

 
ほらきたー!僕はただ一人の新入男性社員だった。頂戴したものはお返しするべきだ。ただ、「30人分。わしゃあ、一人ですぜ。会社に直送していいですか?」蒙古タンメン中本 五目タン麺ぐらい辛口の言葉は腹に留めた。また、現物のチョコを見ないと、心配になるので直送はやめた。結果、腹ではなく、総武線で指を痛めた。

 
僕は義理チョコ文化の反対推進者ではない。指は痛めたが、皆に「ありがとう。」と言われ、指の痛みを忘れて、悪い気もしなかった。ただ本来、ありがとう。を贈り合うのが、義理チョコの目的だと考えていて、その皆の「ありがとう元気玉」を一人で背負い、その日に渡すのが大変だった話である。

儀式的義務みたいだ。感謝に義務や義理はいらない。僕は感謝の交換は特定の日のみならず、もっと気軽にすればいいと思う。 ただ、ありがとう。ってのはやっぱり照れちゃうものだね (鼻こすり) 。
 
大阪のおば様、おばあ様を見習う。彼女たちは飴ちゃんを介して、コミュニケーションを図る。飴ちゃんいる?によって空間は一時的に止まる。傾向として、貰う飴ちゃんは感謝の気持ちが含まれている場合も多いにあるのだ (大阪の環状線で席を譲ると、高確率でこのパターンだ)。たまに、飴ちゃんを渡したいのか、感謝の気持ちなのか、よく分からない時がある。

感謝の気持ちは、特定の日にまとめて渡すではなく、飴ちゃんぐらいをチョコチョコ渡すぐらいが、一番嬉しいのではないか。チョコチョコで空気が冷凍したかもしれないが、自動変換のせい。飴会社よ、立ち上がれ。全人類よ、飴ちゃんをもて。

「飴ちゃんいる?」「あんとき、ありがとうな。」

飴ちゃん先か、感謝が先か。お好みで。
 
そういえば、出張先で買ったチョコレートをお土産として、オフィスに置いてきたのを思い出した。バレンタインデーの前日である。前日、出社していない人には、身元不明の無言義理チョコに見えたのだろう。それ、私のです。おおきに。

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