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私は不倫している。19話:日常の会話

よく二人で話す話題として、バレたらどうするかと言うのがある。前にも話したことがあるが、主に誤魔化し方を打ち合わせしておく。まあ実際に見つかったら多分誤魔化しようがない事のほうが多いとは思うが。だから有名な観光地やショッピングモールっぽい所には基本近づかないことを心がけている。また、デートと言っても一日一緒にいられることは少なく、仕事終わりに食事に行くかたまに休みの日に会う時も夕方には解散ということが多い。ぶっちゃけ週に1回ちゃんと会えればいい方で、職場で一緒に仕事をするから沢山顔を見ることができている。というか職場が変わっちゃったら多分私たちの関係は終わる気がする。なんとなくそんな思いがある。

また、話題に挙げられない話というのもある。私達の場合お互いの本来のパートナーの話は結構出るが、その相手にヤキモチを焼くのはちょっとしたタブーにしている。それを言い出したらきりが無いというのもあるし、互いに(特に私には)言う権利がない。何と言っても妻と同じ部屋で寝たりしてるんだから、当然嫉妬などという感情は持ってはならない。というより私のほうが嫉妬の話題を避けている。
なぜなら私は離婚する気がないからだ。だからこの先に進むこともないし、お互いに嫉妬しても何も解決できない。
仮にそんな気持ちになっても言わないで済ますようにしている。あくまで自分は二番手なのだ。そう思って日々過ごしている。

付き合い始めのころ、彼女に言われたことがある。「あくまで職場の関係ですから依存しないようにしないとですね。」その時はどういう意味かよくわからなかったが、最近やっとわかってきた。彼女はあくまで職場恋愛であるという線引きをしたかったのだ。そうすることで日常生活すべてで依存しなくて済むように意識していたのかもしれない。もっとも意識しているということはもうすでに依存しているのではなかろうかとも思うけど。実は多くのカップルは職場恋愛で成り立つことが多いそうだ。さらに不倫関係ともなると、70%近くが職場で起こっているとのことだ。私たちの場合も同様だった。多分私は橘絵里の「職場の恋人」なのだ。いくつも姿を使い分ける。だから女は怖い。しかしそう割り切れるものだろうか?

最低な話、私は妻を抱く時ですら彼女を思い浮かべることがある。食事の時や散歩中、家でテレビを見ていても同様だ。では、彼女は?普段私を思い浮かべることなどあるのだろうか?どう考えても私の方が惚れている。以前も言ったが彼女は「自分と一緒にいて楽しいか」をよく聞いてくる。もちろん楽しいに決まっている。だって大好きだからね。普段の会話では毎度ロマンチックな話ばかりではなく、最近食べたおいしいものの話やプロテインの話、職場で起こったちょっとしたことなどが主な話題だが、こういったなんでもない会話がすごく楽しい。彼女はとにかく表情が良く変わり、感情表現が豊かだ。でもだからこそ本心が読めないことがある。明るく元気に会話していても、きっと私が楽しんでくれているか不安なのだろうと思うこともある。そんなところがたまらなく可愛いのだが。そんな不安を取ってやりたくて私も結構はしゃぐようにしている。そして、必ず楽しかったことを伝えるように意識している。多分彼女の「彼」はそういうことを言ってくれないのだ。彼女を不安にさせやがって。ぶん殴りたい(笑)

橘絵里は例の彼とデートしているときやベッドを共にしているときなど私を思い出すことはあるのだろうか?彼女の中に私がどのくらいいるのだろうか?あんまり自信がない。そもそもでいえば私は「彼の代わり」を買って出ただけなのだから。だから私と会っているときだけでも彼女が不安を忘れてくれていればそれでいいような気もする。多分それが私の役割だ。それ以上は求めてはいけない。


全然違う話だが、今の私はすごく「会いたい病」にかかっている。珍しく夢にまで出てくるほどだった。乙女のような自分の寝起きに笑ってしまった。私は正直彼女に依存している。今更彼女を失うことなどできれば考えたくない。でも、きっとその日は遠くなく来る予感もしている。その時、大人の余裕を見せてキレイに終われるよう今から覚悟しておかねば。なぜなら「職場の恋人」である私の異動はもう来年に決まっている。

あーでも別れたくねえなぁ。

支離滅裂な日記ですみません。

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