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ニーズを正しく把握するのは難しい

先月、長野県のとある企業が破産しました。
その企業が手掛けていた事業は、食用コオロギの養殖です。
コオロギは飼育に必要な飼料、水、敷地が圧倒的に少なく、低い環境負荷で生産することができます。
また、身体のほとんどが可食部の他、タンパク質やアミノ酸、鉄、亜鉛などの栄養素があるので、次世代の食糧として注目されていました。
パウダーにすれば、例えば、栄養価の高いパンを作ることもできます。

では、なぜ破産してしまったのか。
それは、見た目と見せ方、需要の3つがニーズに合わなかったからではないでしょうか。

まず、見た目ですが、お世辞にも「美味しそう」とは正直思えません。。。
そもそもあの姿を見て、「食べたい!」と思う人は少ないのではないでしょうか。
実際に、徳島県の高校でコオロギパウダーを使用した給食を提供した時、「子供に食べさせるな」といったクレームが相次いだそうです。
見せ方については、報道機関に、SDGsやフードロスを解決する次世代食糧と大々的に取り上げられてしまったことが悪影響につながってしまったと思います。
需要も関連しています。
確かに、将来的な可能性は秘めているかもしれませんが、SDGsやフードロス解決といった理想だけを突きつけてもいけません。
それよりも、各家庭の食べ残しや必要以上の購入、店舗側の賞味期限切れの食品の大量廃棄など、目の前の課題をクリアするところから始めなければいけないのではないでしょうか。

本来は、もっとひっそりとした状況で、食品に、または別の用途で使用できていれば、状況は違ったかもしれません。

と言うのも、私たちは普段の食生活で、直接的・間接的に虫を接種しているからです。
直接的な代表例ではコチニールカイガラムシでしょうか。
この虫からは、とても綺麗な赤色のコチニール色素(別名:カルミン酸色素)を取ることができます。
この色素はハムやソーセージ、かまぼこ、いちごシロップ、いちごジャムなどの食品に広く使用されています。
次に、間接的な代表例では、魚介類でしょうか。
知っての通り寄生虫がいますし、海や河の中で何を食べているか分かりません。
もちろん、しっかりと処理をすれば寄生虫は死滅するので問題はありませんが、私たちが普段口にしている食品に、実は虫が多く関わっているのです。

話が長くなってしまいましたが、知らぬが仏という言葉がある通り、見えなければ、分からなければ問題視されないというのが現実です。
あくまで私見ですが、コチニール色素のように、直ぐに虫と連想できない名称を付けることができていれば、どうでしょうか。
または、人が直接食べるのではなく、家畜の餌に使用するなど、間接的に使用できれば、需要はあったのではないでしょうか。

今回、食用コオロギに対し酷い言い方をしてしまいましたが、技術が高くても、ニーズにマッチしていないと受け入れてもらえない良い例だと思い取り上げさせていただきました。

自分サイドが良くても相手がどう受け取るのかが重要です。
皆さんはどう思われたでしょうか。


参考
・Yahoo!ニュース
【独自】食用コオロギの会社が破産…その真相とは 経済ジャーナリストが分析「SDGsというきれい事だけではビジネスはできない。ベンチャー投資ブームが終わった」

・わさビーフンのメモブログ
予想以上に需要が無く、食用コオロギ会社が破産!過去にヒットしたコオロギ食品はあるのか?

・ビューティラボ
コチニール色素って?


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