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歌の上手い下手

子育てをしていると気になってくるのが親から子への遺伝というもの。

一説によると親の聞かせる子守歌などが後の子の歌唱力に影響を与えるらしい。


ということで今回は私の幼い頃の「歌」というものに関しての思い出をお送りいたします。


唐突ではありますが前提としてお話すると、私は結構歌は上手い方だと自負しています。
まぁ、圧倒的に上手いとか、プロ並みだとかいうわけではなく、平均よりちょこっと上程度、初めてカラオケに行くとか、少し口ずさむと周りの人から「上手だね」と褒めてもらえる程度のもんです。

前述の親の子守歌がどうこうに当て嵌めてみると、実際、私の母は詩吟を祖父から厳しく指導されていたらしく、歌に関しては下手ではありません。
父も、本格的に歌っているというのは聞いた記憶がありませんが日常での鼻歌などでは下手ではなさそうです。

ということで一応、私の歌は上手い方であるということには異論の余地が無くなりましたね。
では前提終了いたします。


小学校低学年時代。私は音楽の授業が大好きでした。
姉を真似してピアノを習った経験があり、楽譜の読み方も分かっていたし、何より歌うことに自信を持っていたからです。歌うのって気持ち良いなって感じていました。

さてある日の音楽の授業にて。
この日は課題曲があり、それを各自で練習して次の授業にて先生に対して独唱し、そして更に次には皆の前で、というものでした。

今までの経緯をお知りの方なら察していただけるかと思いますが、例に漏れず私はこの課題に熱く燃えました。
根拠不明の自信に満ち溢れた私は、「僕が一番上手く歌えるんだ!」と機動戦士ガ〇ダムの某パイロットの様に鼻息を荒くしました。


自己顕示欲の塊であった私は帰宅して早速課題曲を練習し、床に就く頃には皆の前で自慢の歌唱力を披露して賞賛されるという妄想を繰り広げて夢の世界に旅立ちました。


迎えた当日。
熱く燃え滾るハートは今にも爆発寸前。今か今かと自分の出番を待ち、1~5番の出席番号の男子生徒が先生に呼ばれて音楽準備室に入っていきました。
なるほど、僕のデビューステージはあの小部屋か。
などと心の中で呟く。
5~6分程度で次の出席番号6~10の男子生徒が入るよう言われます。出席番号10番であった私は、どうせ出席番号順で最後になるにも関わらず誰よりも先に先生の待つ音楽準備室に勇んで入りました。

まずは6番の子が歌います。へっ、なんだい?その歌声は?
次に7番の子。・・・えっ?君もかい?
8番の子。何か・・・みんな、僕と違う・・・?
9番の子。間違いない。みんな僕の歌い方と全然違うぞ!?

10番の子。私の番です。
ここまで来たらもう逃げる事は出来ません。愕然としたメンタルを何とか立て直し、意を決した私は今まで練習してきたままに思い切り歌いました。

まん丸く目を見開く級友達。何かをこらえる様に俯いて無表情にピアノ伴奏を続ける先生。
音楽準備室に響いた歌声は、先の男子生徒達よりも遥かに高い「裏声」で歌われたものでした。

後の皆の前で歌う授業に関しては割愛。



いや、なんか恥ずかしくて情けない話な感じで書いちゃいましたが、別に良かったとも思ってるんですよ。
初めて周りのことにも気を配ろうって思えた経験だったし、それに他の子達と違って裏声でも歌えたって、凄いことなんじゃないかなぁって。
理論的なことは分からないけど、裏声で歌えるという事は地声でも歌えたということだし、逆の場合だったなら多分歌えていない子が多数だったと思うんですよ。
なので、うん。
凄い。
・・・凄いということにして欲しいな。

以上。

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