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【ウェブトゥーン】写植のお仕事

今回はウェブトゥーンをローカライズ(現地化)する際に行われる写植のお仕事内容について書いていきます。

その1 リサイズ

各掲載先ごとに、縦×横のサイズが決まっているので
それに合わせてファイルをリサイズします。
この作業がない会社もありますが
アクションに登録しておけばワンクリックで
済むのでそこまで手間はかかりません。

その2 訳文を入れていく

Photoshopに直接訳文が入力されている
場合もありますがそうでないときは
該当の箇所に訳文をコピペで入力していきます。
地味に面倒です(笑)

その3 フォントを設定する

写植にも設定集があり、セリフ/ナレーション/
手書きのセリフ/効果音などそれぞれ使うフォントが
決められているのでそれに沿ってフォントを
設定していきます。
効果音に使えるフォントは3種類ほど
用意されているのでその中から原作の雰囲気に
一番近いものを選びます。
会社によっては効果音に使えるフォントが一つしか
ないところもあります。

フォントのサイズや行間の距離なども
予め決められているのでその辺も一緒に
設定していきます。
これも初めにアクションを作っておけば
ワンクリックで終わります。

その4 フキダシを作る

フキダシは基本的にシェイプツールと
ペンツールを使って作成します。
装飾や特殊効果のついたものや手書きのものは
雰囲気を壊さないよう原作で使われているものを
そのまま応用したり似たものを自分で作ります。

その5 効果音に効果をつける

効果音(オノマトペ)には基本的にフチや色、
角度がついているのでこれも原作と同じように
効果をつけていきます。
ただのグラデーションとかならいいのですが、
ザラッとした質感や筆で描いたようなエフェクトが
ついていると再現するのが面倒です。
この辺りのエフェクトは再現しなくてOKな
会社もありますが、それだとやっぱり雰囲気が
出ないので少しでも原作に近づけられるよう
いつも頑張ってます。

あとフォントによっては「ッ」が「ツ」のように
見えてしまうことがあるので
この辺のバランスも整えます。
これも別にやらなくていい会社も多いです。

その6 コマ割りを編集する

ストーリが左→右に展開するコマの部分は
日本の漫画のように右→左に展開するよう
編集していきます。

コマを左右に移動させるのはそこまで
手間ではないのですが、作品によってはフキダシ同士の
間隔も原作と同じになるよう編集しなければいけない
ことがあり、正直この作業が一番面倒です…。
フキダシが縦長になったことでフキダシ同士の間隔が
どうしても短くなるため、それを全て原作と同じ間隔に
なるようコマとセリフの位置を上下に動かすのですが
ウェブトゥーンの特性上、一つ動かすと上下の
コマの位置全てがずれ込んでしまうので
左右にコマを動かすのとは比較にならないほど
手間と時間がかかります(泣)

その7 背景の修正

写植で一番大変だと思われているのが、
背景に映り込んだ韓国語の処理だと思うのですが
これは意外とそこまで大変ではないです。
(※もちろん大量に出てくると時間はかかります)

モザイク処理はアクションに登録しておけば
ワンクリックでできますし、
PhotoshopにもAIが入っているので周囲と上手く
馴染ませて対象物を消すツールは沢山あります。
このツールをいくつ知っているかが、
この作業のカギになりそうです。
逆に訳文をどれだけ背景に
馴染ませられるかの方が難しかったりします。

そもそも看板やスマホ画面など背景の修正が大量に
必要な作品はそこまで多くないと思うので
もしも当たったときは
単価を大幅に上げてもらうチャンスかもしれません。

その8 FBの反映

翻訳の場合、訳文の修正は校正さんが
やってくれると思うのですが写植の場合
FB(フィードバック)を貰ったところは自分で
修正することがほとんどです。
この時写植のFBと同時に翻訳のFBも
反映していきます。

この修正期間は通常2~3日です。
翻訳と違い手元に原本があっても訳文がないと
作業できないのでいわゆる前倒し納品が
難しかったりFBの反映があったりと、
写植は翻訳に比べて時間の融通が
利きにくいところがあります。

まとめ

以上が、ウェブトゥーンのローカライズにおける
写植のお仕事です。
簡単にまとめると以下の通りです。

  1. リサイズ
    アクションを使うとワンクリックでできる。
    しなくていい会社もある。

  2. 訳文の記入
    Photoshopに既に訳文が
    入っている場合はラッキー。
    そうでない場合はちょっと手間。

  3. フォントの設定
    アクションを使うとワンクリックでできる。

  4. フキダシの作成
    写植の基本のお仕事。

  5. 効果音の作成
    少ない/シンプル(単色とか)だとラッキー。
    多い/凝ったエフェクトが入っていると手間。

  6. コマ割りの編集
    流れを右→左に整えるだけなら簡単。
    フキダシ同士の間隔まで編集するとなると大仕事。

  7. 背景の修正
    ファンタジー系はほぼない。
    大量に出てくる場合は大仕事だけど
    単価大幅アップのチャンス。

  8. FBの反映
    FBナシを目指して頑張ります。
    写植のFBがないのに翻訳のFBの為に
    作業させられるのは正直萎えます(笑)

タスクがとても多いように見えますが、
Photoshopのアクション機能を使うことで
ワンクリックで済むものがあったり
会社によってはやらなくてもいい内容もあります。
タイトルロゴの作成はピッコマなどの掲載先が
作ってくれるので写植は基本ノータッチです。

私は写植というお仕事は、
「PSDなどの原本ファイル」を「契約している会社」の
求めるクオリティに仕上げることだと思っています。
それ以外の業務(サムネイルの作成や、掲載先など
自身が直接契約していない会社からのFBの反映)
を求められたりした場合は契約書を確認した上で
担当者に連絡し、業務を減らしてもらうか
単価を上げてもらうなどの交渉をしてみてください。

追記

今回書いたのは原本ファイルがPSDの場合であり、
JPGだと話は大きく変わります。
JPGの写植は1話仕上げるのに3日かかったりするので
下手に手を出さないほうが無難です…。

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