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剣道具の変化と剣道の変化 其の4 刃筋について

私は剣道具・剣道を研究する上で「刃筋」を剣道の原則的条件としている。
有効打突の条件にも「適正な姿勢」「竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突」「残心のあるもの」とあり全て刃筋(刀法)が条件になっているように考えられる。
また最近よく読ませていただいているshinshinoharaさんの記事を読んでハッと気付いたのだが
「サッカーにおける手を使ってはいけない」=「剣道の刃筋正しく」
であり、剣道の根本的奥深さ楽しさはそこにあるのではないかと考えている。

しかしながらフィンガーグリップ型の甲手の誕生・流行をみるに
剣道からは刃筋が失われている
様にみえ、それによって剣道の根本的奥深さ楽しさが減少しているように思う。

フィンガーグリップ型は指先で操作しやすく一見すると細かい操作が可能で良さそうだが、手首(刃筋)の固定がしにくい上に横振りに適した構造になっていて、控えめに言っても余程の熟練者でない限り刃筋正しい打突は不可能であると思う。

刃筋が失われること(指先で細かく操作する)によって現れる現象は

  • 強度をだすために小手先を強く振る

  • 姿勢が崩れる、特に後ろ足が跳ねる

  • 残心ではなくフィニッシュになっている

また指先操作を重視するということは、意識が強くなるため力が入り(力み)筋力のスピードとパワーに頼ることになる。その無理が肘・肩・腰・足にかかり故障が増えている。それは竹刀や剣道具の傷みかた(特に甲手)にもあらわれている。

さらに問題は、ある程度の段階にいってからスピードとパワーの剣道を剣術剣道とミックスした場合、運動原理が違うためより故障を起こしてしまうことである。

刃筋を重視した剣道は、脱力を主体とした剣道のため無理(故障)も少なく経験を重ねるにつれ変化をしていくことができる。
また無理が少ないということは竹刀や道具に優しいのである。
考えてみれば、刃筋(刀法)を基準に考えられた剣道と剣道具なので無理が少ないのは当たり前のことである。

剣道で無意識に刃筋が重視されなくなって時がずいぶん経ってしまった気がする。これは意識的に刃筋を重視しなかった場合より悪いと思う。
私はこのことに非常に危機感を持っている。

剣道はいまだに上からの指導が絶対的な世界である。
私は刃筋問題に関しては変化するにしても良く考えて意識的に変化していってほしいと思う、そのためにも剣道界を引っ張っていく責任ある指導者には意見交換の機会を作ってほしいと思っている。その結果意図的に刃筋をなくす方向になったらさらにガックリときてしまうと思うが、、、。

また刃筋(刀法)を意識するにしても、これだけ失われてしまうと前と同じ事をするには余程の努力が必要であると思う。
そのためにも剣道の考え方や学びかたをアップデートした方が良い様に思う。

前提をよく観察し、今に合った考え方や学び方にアップデートできたらもっと良い形で後世に剣道を引き継げる気がする。

最後に最近の私のオススメ

おすすめの本 shinshinoharaさん著の「世界をアップデートする方法」
體の使い方を知りたい人に 松村卓先生
日本人が本来持っていた體の使い方メソッド 「骨ストレッチ」    







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