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【詩】始まりと終わり

わたしの投擲とうてきした
心臓ほどの大きさの石が
今 水底みなそこへ向けて
音もなく沈んでゆく

静寂のなかに
沈黙の逃走を準備して
訳知わけしり顔で振り返ると
死んでしまった言葉の遺体が
そこかしこに転がっている

わたしは海の名前を呼んだり
空や風の名前を呼んだりして
消えて無くなってしまわない言葉や
初めから存在しない言葉を
使ってみたくなる

白い画面の
滲んだ黒いシミのようなものか
空気を震わす振動なのか
表情や目の動きだったり その輝き
吐き出す吐息だけなのか

言葉を使い終わったら
わたしは何をするだろう

その意味だけがわたしを縛る
成し遂げられたことがあるのか
不安ばかりがつのるのだ

やっと石が水底みなそこに辿りついた

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