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映画があった人生50年

私が子どもだった50年ほど前、土日の夕方のテレビ番組で何かしらの映画をやっている地方チャンネルがあった。水曜、金曜、日曜の夜にはキー局テレビでロードショーを放映していた。
今で言うB級モノのアニマルパニック、白黒の西部劇、面白さがちょっと分からないコメディやラブロマンス、メイクだけ怖いホラー、そしてもちろんキー局では名作モノの数々。

空想好きで図書館が定位置の私にとって、空想でできた頭の中を映像で見れるなんて、それはそれは夢中になって観ていた。例え意味が分からなくても、何かが動き、唄い踊り、感動的な音楽が流れ、派手に爆発したり、悲鳴や歓声が響く。リアルとフェイクの狭間にある映像に心を奪われていた。

そして、小学生のある日とうとう、「E.T.」で映画館デビューを果たす。衝撃的だった。あの日の事は忘れない。人生を変えた1本を選ぶなら、迷わず「E.T.」だ。映画と共に歩み続ける人生は宇宙からの友達で始まったのだから。

こうして出来上がった映画ヲタクは結婚し子どもが出来ても変わらない。時はレンタルビデオ全盛期。子どもが分かろうが分かりまいが、心に訴える何かがある映画は片っ端から見せて育てた。もちろん、年齢は考慮するのでいつ何を見せるかは親のチョイスの腕の見せ所でもある。2歳で「もののけ姫」を100回以上観てる娘はそうそういなかっただろうし、同じく2歳で「ミッションインポッシブル」のテーマを口ずさむ息子もいないだろう。

最近、映画にまつわる事で、子どもに言われて感動した話がある。何度観たか分からないスターウォーズがテレビから流れてきた時、
「子どもの頃、ストーリーの全体像が分からず、ただ好きで、楽しんで観ていて、それでシーンやセリフは色々覚えてるでしょ。それを学生時代、さらに大人になって映画を見返した時に、毎回そうか、そういう事か、なるほどここが感動する、と気づきがたくさんあるし、特撮の技術や映像美なんかも分かってきて、映画の楽しみって本当に尽きないよね〜。前はルークの立場で観てたけど、最近はオビワンの気持ちで観るしね」

ああ、なんと豊かな映画人生だろう。そうなのだよ、映画はその時の自分の心によって、毎回感動する部分が違うのだよ。同じ気持ちで観る事なんてないんだよ。初めて観る衝撃も、繰り返し観る楽しみもある。ヒットしなかったけど、B級だけど、こだわりを探す楽しみもある。オマージュもパロディも全部楽しめるのだよ。
こうして娘と私は映画をサカナに話が尽きなくなるのだ。映画のある人生で良かった。

この話の締めくくりとして、この言葉を。
「いや〜映画って本当に素晴らしいですね」
「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」


#映画にまつわる思い出

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