中東の戦闘激化による供給不安が、原油価格の上昇を招いているということです。9日の米指標のWTI（ウエスト・テキサス・インターミディエート）先物は前営業日比で一時5%超上昇し、1バレル90ドルに迫りました。これは、2014年11月以来の最高値です。

この背景には、イランやサウジアラビアといった産油国の原油輸出の停滞による需給逼迫が意識されたことが挙げられます。

イランでは、米国による制裁の再発動を受けて、原油輸出が停滞しています。サウジアラビアでは、イエメン内戦の激化を受けて、原油施設への攻撃が相次いでおり、原油輸出に支障が出ています。

これらの情勢を受け、市場では原油の供給が減少し、価格が上昇するとの見方が強まっています。

具体的には、以下の要因が原油価格の上昇を招いていると考えられます。

• イランの核合意の再交渉が難航しているため、イランからの原油輸出が停滞するリスクが高まっている。

• サウジアラビアは、イエメン内戦の激化を背景に、原油施設への攻撃を警戒して、原油の生産を抑制している。

• 米国は、ロシアへの制裁を強化しており、ロシア産原油の供給が減少する可能性がある。

原油価格の上昇は、世界経済に大きな影響を与える可能性があります。原油は、ガソリンや灯油などの燃料や、プラスチックなどの原料として広く使用されているため、価格の上昇は、輸送費や製造コストの増加につながります。これにより、インフレ率が上昇し、経済成長が鈍化する恐れがあります。

今後も、中東情勢の変化に注視し、原油価格の動向を注視していく必要があります。

怜音カルロス