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マグカップのマグ

なかなかに気に入っていたマグカップが割れてしまった。
お茶を注ぎ足す前に軽く水でゆすいで、水を切ったその時に。持ち手からマグカップのカップの部分がすとんと離れていったのだ。
「あ、壊れちゃった。明日はごみの日だったな、捨てないと」
ごみの分別について検索できる自治体のアプリを開く。


食器(陶器・ガラス製)
厚紙等に包み「ワレモノキケン」と表示


重ねた新聞紙でもいいかしらと包む。
次の日の朝、出勤ついでにごみ出しを忘れずに。

無意識に手放していた。気に入ってよく使っていたはずなのに、まるで思い入れなんてなかったかのように。

捨ててしまったその日の夜に急に思い出しては金継ぎする選択肢だってあったのに、どうしてすぐに手放してしまったのだろうと妙に落ち込んだ。普段ならあとで捨てようとか、直してみようとかそんなことを考えてしばらくは取っておくのに。

ここで別れるのが良さそうだと、思われたのかな。
マグカップに?
別れを告げて、新たな出会いがあるかしらと待ってみる。
もうあれから4ヶ月が経っていて。
ないならそれはそれでと、日々は過ぎていくのか。

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