織笠志保

ぷすっと、こころにつまようじを。 エチケットですからとしたたかに。

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最近の記事

テーブルいっぱいの中華と1曲目と

中華は3人以上で行くとたくさん食べられるから楽しい。 それに、いつもは食べないものにもチャレンジできる。 それでもまずはいつもの餃子に炒飯。 私は餃子が大好きだ。 私の友人は餃子を頼むかもう確認しないのだ。 「しほちゃんは餃子でしょ」 「あ、はい!」 飲み物が運ばれ、ひと口ふた口と飲むとすぐに餃子が届く。これだから中華は。 私は、早い安い美味いが大好きだ! パリッと焼かれた餃子は大ぶりで、肉汁が溢れる程だ。 まだ食べられそうよねと、よだれ鶏と棒棒鶏の2択で選ばれたのは

    • はじめての半休

      もう5年目に突入するぞという時に、初めて半休を取った。急に私用が入ってしまったのだが、休みが取れずに半休ならばという流れだ。朝は普段通りに出勤し、お昼休憩を取らずに12時45分に退勤となる。 「半休ね、いいよね、お昼どこいくの?」 「え、決めてないです」 「決めとくでしょ、半休なら」 「あ、そういうもんなんですね」 「俺はね、勧めてもらった皿うどんの店に行ってきたよ」 「ちゃんぽんじゃなくて皿うどんにしたんですね」 「そう、美味しかったよ」 なんて話を前日にしたもんだから

      • 私が渡したいもの

        OVER THE SUN が好きだ。 ジェーン・スーさんのことばが好きだ。 堀井美香さんのテキトーさが好きだ。 いや、他にも好きなところはある。 ありすぎて語り尽くせないのだ。 OVER THE SUN の中でも好きなエピソードは文字起こしをしていて、読み返したり聞き返したりしている。 おばさんから学ぶことは本当に多くあるのだ。 おばさん最高! いつか私もこんな風になってダラダラと友人と語り合っているのだろうか。 たくさんの好きなエピソードの中でも、仕事をしていく上でこ

        • はじめて手にした音楽

          あの出会いは衝撃だった。 今でも鮮明に覚えている。 Mステにて。 ドラマ「歌のおにいさん」主題歌 矢野健太 starring Satoshi Ohno “曇りのち、快晴” 「え、え、すごい!だれ!」 その歌声に痺れたのだ。 当時、12歳、小学6年生。 これが私と嵐との出会いである。 その時の嵐は既にデビューから10年が経っており、相当の人気があっただろう。それでも私はアイドルに全く興味がなく、もっと言うとドラマも映画もほとんど見たことがなかった。「野ブタ」も「プロポー

        テーブルいっぱいの中華と1曲目と

          やすみの日のふたり

          土日休みがこんなにも楽しいとは知らなかった。 27歳にして初めて気付いたのだ。 私はシフト制の仕事に就いているため、土日休みは月に1度か多くて2度だ。それ以外は自由に休める場合が多く平日休みがある仕事である。 『へいじつやすみ』それはもう最高なのだ。 けれども平日休みのはなしはまた今度。 土日はどこに行っても混んでいる。だからといって家で2日もダラダラしていたら仕事に復帰できなくなりそうだとなんとなく思っていて、1日はちゃんと起きて外に出る。友人とご飯を食べに出かけたり

          やすみの日のふたり

          映画『夜明けのすべて』を見た日

          「なんとなく、映画館を出てまだ明るくて まだまだなんでもできる時間がいい気がする」 私は映画館を出て、もう日付が変わっていて、この余韻までも夜が包んでくれているのだという感覚が好きだ。そして夜型人間、夜更かし大好きなこともあり映画もドラマもラジオも夜に限ると思っている節がある。 けれども友人からこんな風にお勧めされたのであれば、できるだけ早い時間帯に観ようじゃないか。 昨日は天気が不安定で晴れていたと思ったら急に雨が降り出したり、地震があったり、そんな日だった。そのうえ、

          映画『夜明けのすべて』を見た日

          この春、社会人5年目

          世界だったり制度を変えるには、どうしたって力がいる。 経済力だったり、影響力、統率力、求心力に説得力も。 変えたいという情熱は若い頃がいちばん大きいのではないだろうか。今まで触れたことのない社会で、いちばん多くのことを感じる。そうして思うのだ。 「社会人って、なんなんだ」 どうしてこんなにも課題が山積みで、うまく回っていない社会で知らないふりして過ごせているのだ。 到底理解できない社会で揉まれた人の思考回路を想像して、私は大人になるのをやめたいと思った。こうだからって、

          この春、社会人5年目

          冷めたコーヒーを

          今日の用事を済ませ、コーヒーのお店へ向かう。 前から行きたいと思っていた。別店舗に伺ったことがあったが、ここは川沿いで景色がとても良いのだ。 メニューはほぼコーヒー。 クッキーが数枚、ガラスドームに閉じ込められている。 「アメリカーノを1shotでお願いします」 「ホットでよろしいですか」 「はい、温かいもので」 やたらと声の大きい人がいる。 かたや近所のおばさま方の女子会。 窓際の席に座ることにした。 エスプレッソが落とされ、声をかけられる。 「アメリカーノできて

          冷めたコーヒーを

          西の香り

          初めての場所に向かう。 新横浜から東海道新幹線に乗り、京都を超えた。 ここでお手洗いに行っておこうと席を立つ。 席に戻ろうとする頃には新大阪へ到着する間際だった。 降車する人々を見送ってから自分の席へと戻ると先ほどまでとは雰囲気が違う。 車内が関西になっていた。 目的地まであと一駅、乗車時間は12分である。 関西弁が飛び交う。 席に着く前に 「席、まわるん?」 「まわるまわる、はよまわして」 「デザートあるで」 席についたらもうすぐに旅行は始まっていて。 なんなら家を

          母と見上げた星空に

          もうこんなにも時間が経っていたようだ。 私は当時14歳、中学2年生だった。 教室の後ろから2番目の席。 近くに座っていた子と手を握って「大丈夫」と言い合った。 3.11の夜、光が無くなった世界でふたり。 母と見上げた星空に 「すごいね、綺麗だね」 「こうやって星見てる人、沢山いるのかな」 「いるんじゃないかな」 「私、この景色ずっと忘れないと思う」 そう言ってちょっぴり泣いた。 今でも鮮明に覚えている。 これからもきっと、いや絶対に忘れないのだろう。 #防災いまできること

          母と見上げた星空に

          憧れのデートコースで

          交際してから初めてのデートだ。 恋人が住んでいる神戸へ足を伸ばす。 街を歩くと目につく看板があちこちに。 『餃子』 私は餃子が好きだ。 好きな食べ物を聞かれたら餃子と答える程に好きだ。 あちらこちらに餃子店。 私の頭の中にこんなことばが浮かんだ。 「餃子はしごデート」 好きな食べ物をはしごするデート。 とても、それはもう、非常にやりたい! いやでも付き合いたてで「餃子店をはしごしたい」だなんて言えるはずもない。本当は昨日から『餃子』の二文字が頭の片隅にいるのに。家に帰

          憧れのデートコースで

          母の味

          母の味といえば、真っ先に思い浮かぶのは餃子だ。 家族も親戚も、母がつくる餃子が美味しいとそろえて言うのだ。 「そんなことないよ」 母はそう言うが、料理が上手なのだ。 母のごはんはいつでも美味しい。一人暮らしが長くなって余計に感じるようになった。私もそれなりに料理をするし、あの味を再現できるものもある。それでもやはり母がつくるからこそ、母の味なのだ。 そんな母の味を再現できず、越えられもしない料理のひとつが餃子だ。 これはお母さんあるあるかもしれないが、レシピを聞いても適当だ

          早起きしてさいごにもう一度

          朝がかなり弱い。 早く起きなくてはならない日は、もう寝ない方が良いのではと思うほどだ。起きられないのではないかと不安でまた眠れない。寝る支度はとっくに済ませているのに寝付くまで2時間以上かかり、睡眠時間は3時間ほどになってしまう。私はいつもこうだ。 早起きということは一日が長いということなのに、かなり寝不足の状態でスタートするのだ。 曽祖母が亡くなった。 今年で100歳になる予定だった。 あと数週間で、というところで旅立った。 大人になると気付くことのひとつで、親戚がた

          早起きしてさいごにもう一度

          母と娘と

          「結婚はしてもしなくても良いのよ」 なんて話題になったのだ。 母と買い物に出かけた帰り道。 西陽が柔らかく差し込み、フロントガラスが眩しい。 「結婚しなくても兄弟と楽しく旅行したり友達と遊んだり、ぜんぜん良いんだよ」 「そうだね、それが全てじゃあないよね」 「でも、独身と比べて良かったなぁって思えることは 買い物の時に荷物を持ってくれることかな」 「あ、そうなの?」 「なんだかんだ鬱陶しいって思うことも多いけど、重いもの買った時に持ってくれるでしょ」 「まぁ、一緒に行ってた

          徒歩5分のワナ

          5分かけて歩いた駅までの道のりをね 電車に乗ってすぐ戻るんだよ あせあせして一生懸命に歩いて でも乗り過ごしちゃうことがあるじゃない そうすると10分は駅で待って ものの10秒で部屋の横を通り過ぎるの 15分前にそこにいたのに つぎ、部屋を借りるときには 電車の進行方向とは違う方向に住もうと思う

          徒歩5分のワナ

          マグカップのマグ

          なかなかに気に入っていたマグカップが割れてしまった。 お茶を注ぎ足す前に軽く水でゆすいで、水を切ったその時に。持ち手からマグカップのカップの部分がすとんと離れていったのだ。 「あ、壊れちゃった。明日はごみの日だったな、捨てないと」 ごみの分別について検索できる自治体のアプリを開く。 食器(陶器・ガラス製) 厚紙等に包み「ワレモノキケン」と表示 重ねた新聞紙でもいいかしらと包む。 次の日の朝、出勤ついでにごみ出しを忘れずに。 無意識に手放していた。気に入ってよく使っていた

          マグカップのマグ