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座右の書『徒然草』に何を学ぶべきか!その一例を紹介する!

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#吉田兼好 #座右の書  
日本の3大古典(随筆)、「徒然草」。誰もが学校で習っている名作といえる。作者は、卜部兼好(ウラベケンコウ)。占部家は、後に吉田に姓を変えたため「吉田兼好」とも言う。

鎌倉から南北朝に生きた吉田兼好。この時代にあった出来事を、独自の視線から描いている。政治についてや、近くであった雑多な事件を通して、自分の考えをまとめたもの。この作品を「座右の書」とする人は案外多い。

かくゆう私も、常に手の届くところに置いて読んでいる。ただし、読んでいるのは現代語訳の方だが…。今回は、この徒然草で、役立った話しをいくつか紹介しようと思う。

注目箇所、その⑴友とすべき人とは[117弾]
友達にすべき良い人とは、次の3つ。第一に物をくれる人、第二に医者、第三に知恵のある者。

第一のモノをくれるとは、広く捉えると自分に援助してくれる人と考えてよい。物品や金銭だけでなく、心の支えも含めていいと思う。

第二の医師。やはり医学や健康について知識のある友人がいると助かる。ウェブ検索しても、本で学ぶにしろ、わからないところは出てくる。そんな時に、頼りになるのは医師ということだ。

第三の「知恵もの」とは、生活や仕事に役立つ知識を教えてくれる人と解釈する。とくに、法律の知識を持っている弁護士や司法書士といった人たちがいると心強い。また金融の知識も現代では欠かせない。

現代社会で、そんな人たちを友に望んだとしても、そう簡単には見つからないだろう。そこで考えるべきは、自分がある程度、全てに精通しておくということ。現代においては、いろいろな情報が手に入りやすい。ウェブやYouTube、さらにテレビ番組や本雑誌など。それを手がかりに、学んでいくということだ。

その⑵友人ですべきでない人。
これも第117段。兼好が言うには、第一に高貴な人、第二は若い人、第三に頑丈な人、第四は酒好き、第五は勇猛な人、第六が嘘つき、第七は、欲ぼけ。この7種類の人は、友人としてはいけないようだ。

個人的に解釈していくと…。
第一の高貴な人とは、資産家で働いていない人たち。地に足がついていないから、彼らから学ぶ事はないと言っていいだろう。

第二の若い人。これは若さ、すなわち冒険心が旺盛と捉えることができる。危なっかしいことを、平気でする人たち。

第三の頑丈な人。体が丈夫なゆえに、そのような人と付き合うのは大変といえる。以前、フルマラソンを何度も走った知人がいたが、「なんでマラソンをやらないのか」と聞いてきた。さすがにこれは無理だと感じた。

第四の酒好き。毎日酒を飲んでいる人たちのことを指す。しかも、いつも帰りは「午前様」。何かの会合であっても、彼らにとっては会合は口実に過ぎない。とにかく酒を飲みたいのだ。当然のこと、話し合いは進まない。

第5第6第7、勇猛・嘘つき・欲ぼけ。これらの人と付きあうと、事件に巻き込まれる可能性が高くなるといえる。とんだ事件に関わり、無駄な時間を消費してしまう。
これら七種の人たちのことを常に考えておいた方が良いだろう。どの分類に入るか、見極めるべきと考える。一つの処生術とも言えるはずだ。

その⑶お酒についての考え[175段]
鎌倉時代から兼好は、酒が人に災いを与えることを力説している。私も、親族友人知人が、様々な失敗や事件を起こすのを見てきた。酒との付き合い方をきちんと学んでおくべきだろう。

この175段に、兼好は「酒は百薬の長」という言葉をあげている。たぶん酒飲みにとって、これは大義名分ともいうべき言葉だ。しかし兼好は、それをキッパリ否定している。「どんな病気も酒によって引き起こされる!」と…。

またこの言葉の元となった出典は、中国の漢書にある。「漢」という国を乗っとり「新」を作った王奔の言葉のようだ。中国12人の悪人にはいる王奔だが、酒を「国の専売制」にしたとき言ったとされる。そして「漢」の要人をうまく退けたようだ。

最近の医学研究でも、酒は「百害あって一利なし」とある。酒飲みの方には、辛い話しとも言える。しかし兼好、適度な酒は勧めていた。風流を楽しむのに、酒の力をかりる!これはお勧めしているのだ。

まとめ
酒については[53段]でも取りあげている。足付きのツボ(かなえ)を、酒に酔ったいきおいで被った僧の話しだ。ピッタリとはまってしまい、脱げなくなった。そこで、いろいろ策をめぐり、無理して引っ張ったところ、耳と鼻が取れてしまい、無くなったという。命は助かったものの、その後は病いで床に臥せった。

いまだに、飲酒運転をする人が絶えない。いつの時代も、同じと考えて良いだろう。兼好の話しは時代を超えて、我々に様々なことを教えてくれている。

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