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病のはじまり

2020年8月26日、脳腫瘍の摘出手術をした。時はコロナ大流行の真っ只中、31歳の誕生日を迎えてから1ヶ月半のことだった。

もともと自律神経の調子が悪いタイプの人間だったので、最初は自律神経とコロナ禍のストレスによるものだと診断された。ふっと血の気が下がるような、目眩がするような、突如としてそうした症状に見舞われるのにはもう何年も悩まされてきた。ただ、ある日からそこに左手脚の痺れというかなんというか・・・こう、じーんとくるような感覚が起こるように。加えて、じーんと来るときには何かの匂いと記憶が巡るような感覚も。匂いと記憶のデジャブがセットでついてくるようになった。しかし、コロナの流行から酷暑の中マスク生活をしていたこともあり、それによって自律神経がおかしくなっているんだろうと、そう医者も私も考えていた。

ところがある日、記憶がとんだ。仕事が休みの日、昼食を作っていたはずだったが、気がついたら一人暮らしの家に母が来ていた。どうやら記憶がとんでいる内に昼ごはんを作りながら母に電話をしていたらしい。しきりにわたしは自分が今なぜここにいるのかわからない、仕事はどうしたんだっけ・・・?などと言っていたらしい。流石に様子がおかしいと思った母が私の部屋へと駆けつけてくれたそうだ。

やはり何かがおかしい。これ自律神経の問題だけか?そう思い始め、とにかくいろいろな病院に相談した。内科、耳鼻科、脳神経内科。血液検査もあちこちでした。でもいたって身体は健康体。なんの問題もでてこない。しかし、左手脚の痺れは毎日起こるし、体調も思わしくない。とはいっても、毎日仕事には通える程度の不調。きっとマスクがとれるようになったら体調もコロッと好転するんじゃないか。その程度のこと。

でも、やっぱり何かおかしい。

追い詰められた私は母に頼み、一緒に脳神経内科についてきてもらうことにした。そこまで困っているなら、じゃあ頭部のMRIでもとってみますか、ということに。何もないということを前提に。不安材料をひとつ消すために。そのために頭部のMRIを撮ってみることにした。


あるじゃん。原因が。


右側頭部に黒い影が。


病院を紹介してもらい精密検査をし、私の右側頭部には約7㎝の脳腫瘍が。しかも髄膜種ではなくグリオーマ。

ところが、担当医がそんなに焦っている様子もなく、別にすぐ手術しなくてもいいけどどうします?といった態度。いやいや、手術します。今すぐ取ります。と謎の決断力を見せた私は、一番早い手術日をおさえ、それに合わせて入院することに。

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