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放射線科の先生との出会い

私にとって、放射線科の先生との出会いは大きいものになった。

そのまま入院して標準治療を受けることになった私は放射線科の先生と対面していた。そこで理解したのは、これからは放射線による治療が、治療のメインになるんだ、ということ。
もちろん、服薬による治療も同時進行で行なっていくわけだが、説明を聞くと、放射線で悪性細胞を破壊し、そこで取りこぼしたものを服薬によってカバーしていくという印象を受けた。
この放射線科の先生の診察が週1回行われていくことになるのだが、毎回私は大号泣。最後の方は人生相談のようになり、診察時間は1時間にも及んだ。
なんてはた迷惑な。
しかし、それを見越して先生は私の診察をその日の一番最後に予約してくれるようになった。

病気がわかってから、初めて先生は私に血の気の通った言葉をくれた人だったように思う。
先生自身の言葉を医者が使える精一杯の表現で伝えようとしてくれた。

医者の立場から、希望的観測で物事を発言できないのは理解できる。
なので、科学的根拠がないことは言わない。いや、言えない。
100%確証のもてる事実しか伝えないし、伝えてくれない。
もちろん、科学的根拠のある説明は信頼できるし、好ましい。
でも、それだけじゃ頑張れない。
先生自身はどう思っているのか。私どんな感じなんですか。私は先生自身の思いや考えを少しでも聞きたいと思った。
事実だけでは頑張れない。

私は元来頭のつくりが文系でして。先生たちは理系の世界に住んでいるひとたちなので、すべて理系の言葉で説明し、話しかけてくる。でも、私は文系の言葉が欲しい。
そんな根拠のない言葉をもらってどうするんだと、そんなものに意味はないと考える人もきっといるだろう。
でも、私みたいな人間には文系の力が必要なのだ。
そしてその文系の言葉を、力をくれたのが放射線科のM先生だった。

嗅覚過敏と食欲不信、夕方に訪れる鬱タイムに悩まされながらも、無事標準治療を完遂。
10月末、晴れて退院となった。

で、これからどうすればいいんですかね。


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