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オプチューンの開始

無事標準治療を終えた私は即座に退院し、現在は月に1度の服薬治療を続けている。
退院からおよそ1ヶ月後の2020年11月27日に退院後1回目の服薬を開始し、現在4回目の服薬期間を迎えている。薬の量は入院時の倍、服薬期間は5日間だ。
この11月27日に開始したことが服薬以外にもある。
そう、オプチューンだ。

オプチューンとは、ここ数年で保険適用された新しい膠芽腫の治療方法で、電極のついたアレイと呼ばれる粘着性のシートを頭部に貼り、電気を流して治療するというものだ。

このオプチューン治療のネックは、初発の時にしか保険適用されないという点だ。あとからやっぱり、ということはできないらしい。ところが、一度開始さえすれば、その後治療を中止したとしてもいつでも再開することが可能だという。要は、治療の選択肢をひとつでも多く残しておくためには、とりあえず治療をやってみるという選択をするほかないのである。

ということで、私もやってみることにした。

病院では私がオプチューン第一号となるらしく、先生方も興味津々。まぁ、辛くなったらいつでもやめればいいから。後々の選択肢を残しておくためにも、という先生の言葉もありこの治療に乗り切ったのだが。

まず第一の関門は、頭をつるっつるに剃らなければならないということである。これは辛い。

元々放射線治療で脱毛はしているのだが、私の場合局所的に当てていたため、側頭部は脱毛が激しいものの、頭頂部は普通に残っていた。そのおかげで髪の毛を工夫すれば脱毛部分を隠すことができた。これは想定外で、私自身もドラマでよく目にするような朝起きたら枕にごっそり毛が・・・!というような展開を今か今かと待っていたのだが、そんなことは起きなかった。頭を頻繁に洗える環境にいたのが良かったのか、毎日少しずつ脱毛が進んでいくという何とも心臓に優しい脱毛の仕方であった。
ということで、私には結構な髪の毛が残った状態から丸刈り、それもスキンヘッドにする必要があった。
オプチューンの営業担当の若い男性は私にいう。治療開始日までに髪の毛を剃ってきください。

いや、どこで剃れと?

お手数ですが床屋とかに行っていただいて。

床屋?本気で言ってる?

「お手数とかじゃないです。気持ちの問題ですよね。」と思わず声を荒げてしまった私。結局、院内にある床屋で手練れのおばさまに一思いにいっていただきました。高校球児も真っ青な見事な坊主っぷり。その後オプチューンの業者のひとの指導のもと電気シェーバーで見事スキンヘッドとなりました。

髪の毛ってなんでなんですかね。別になくても生活に支障はないし。別に、ねぇ。でも、すごく辛いし、なんだかぽっかりと心に穴が空いた感じというか。

このもやもやはテレビでインタビューに応える1人の男性が解決してくれた。コロナで外出禁止令がだされたイギリスだったか、禁止令は感染防止には仕方がないこと、でも、残念だと。

人生の喜びが少し減ってしまうから、と。

それだ。

たかが髪の毛、されど髪の毛。

髪の毛がないって寒いんですね。

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